【第19話】 輪っかがなければただのおっさん
激レア純金冠仮面は俺との激闘で魔力を使い果たし、全身傷ついて気絶している。
瀕死の状況だ。
ここで俺は逡巡する。
こいつにとどめを刺すべきか否か……。
こいつから採れるであろう魔石は、ハエ怪人ほどではないにしてもかなりの価値があるはずだ。
しかし、こいつを上手く尋問出来れば、俺が必要な情報を入手出来るかも知れない。
激レア純金冠仮面が持っているかも知れない情報。
例えば、敵の目的、規模、活動状況など、組織の全貌。
あるいは、この世界への召喚に関する知識。
一つでも明らかになれば、その価値は計り知れない。
特に召喚法は、その逆の送還法につながる可能性もある。
俺たちが日本に帰れる可能性がここにある。
「魔石はいつでも取れるな……」
俺は激レア純金冠仮面を生かすことに決めた。
逆らうなら、改めてそのとき魔石になってもらえばいいのだ。
「ブルーエリアヒール」
回復魔法をかけて激レア純金冠仮面の体力を回復させる。
俺のレーザーによって穿たれた脇腹の傷も修復する。
「うっ……
ここは……
何故生きている?」
激レア純金冠仮面は意識を取り戻したが、未だに混乱している。
「気がついたか。激レア純金冠仮面。
俺が回復魔法をかけた」
「き、貴様はカラフルブルー!
何故ワシを助けた!?」
驚きを隠せない激レア純金冠仮面に俺は説明する。
「何、簡単な話だ。
情報が欲しい」
「ワシが命惜しさにしゃべるとでも思ったのか!
どうせ全ての金冠を撃ち尽くしたワシは、ただの変顔真っ黒禿げ親爺だ。
さあ、殺せ!」
激レア純金冠仮面は開き直ったように大の字になる。
「せっかくこの世界で第二の生を受けたのに、そんなに死に急いでどうする。
それに魔力が回復すれば金冠は勝手に生えてくるだろ」
「それは違うぞカラフルブルー。
ワシの金冠は魔力そのもの……
金冠が一つでも残っていれば、そこから魔力を増幅させて回復出来るが、全ての金冠を貴様に消された今、ワシの魔力は二度と回復しないのだ」
驚いた。
奴の金冠は奴の毛根が髪の毛の代わりに生産していると信じていたが、どうやら違ったようだ。
大の字になった激レア純金冠仮面は、自身の置かれた状況に絶望とあきらめしかないらしく、黒い仮面の下から覗く垂れたシワだらけの両目からは小川のように涙を流している。
俺は激レア純金冠仮面が少し哀れに思えてきて、奴の勘違いを一つ訂正しておく。
「激レア純金冠仮面、貴様は一つ勘違いしている。
お前の金冠は消滅したのではない。
収納したのだ」
そう言うと、俺はアイテムボックスから1つだけ金冠を取り出し、奴に見せる。
「おおおぉぉ!
それはまさしくワシの金冠!!
カラフルブルー、頼む、一つでいいからそれを返してくれ。
そうすればワシは再びただのおっさんから激レア純金冠仮面にもどることが出来る」
「やってもいいが、ただじゃダメだ」
「何が欲しい。
ワシに出来ることなら何でもするぞ」
「では、お前の持つ情報と、これから悪さをしないという約束が欲しい」
「わかった。金冠のためだ。約束しよう」
こうして俺は激レア純金冠仮面に金冠を1つ返すことにした。
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短いので今日はもう一話投稿します。




