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【第13話】あかつきの決着


「お前は、カメロケットランチャー!

 貴様までこの世界に蘇っていたのか!!!」


 この化け物の名前はカメロケットランチャー。

 カメロケットランチャーはカラフル戦隊が戦ったジャアクドーの怪人ではなく、仮面ドライバーZ3が戦ったネオジャドーの怪人なのだ。

 しかもこいつは、俺が最初に遭遇した怪人であり、仮面ドライバー1号、2号が最後に戦った怪人でもある。

 奴の腹の中にはブラックホール爆弾という恐ろしい爆弾が内蔵されており、自爆と供に半径100キロほどの領域がブラックホールに飲み込まれる。


 そのあまりの破壊力に、カメロケットランチャーを作ったネオジャドーそのものからも放逐され、逆恨みしたカメロケットランチャーは東京をネオジャドー本部もろともブラックホールの藻屑に変えようとしたのだ。


 Z3キックで致命傷を負ったカメロケットランチャーが自爆を試みようとしたそのとき、いち早く事態を察した仮面ドライバー1号、2号が、スーパーダブルドライバージャンプでカメロケットランチャーもろとも大気圏外まで大ジャンプを行い、宇宙空間でブラックホール爆弾を発動したカメロケットランチャーは自らの作り出したブラックホールに飲まれて死んでしまった。


 このときの戦いで、1号ドライバーはシベリアに落下し、2号ドライバーは南アフリカに墜落し、しばらく日本に戻ってくることが出来なかったほどだ。


 もしも奴が未だにブラックホール爆弾で自爆出来るなら、この街はおろか、この国の大半が飲み込まれる。

 なんとしても、奴が爆弾を発動する前に仕留めなければならない。


「ラーーーンチャーーーー!!

 俺様も有名になったものだ。

 こんな訳のわからん青い奴にまで覚えられるとはな。

 だがな、一つ間違いがある。

 魔王ハマカーーン様によって蘇った俺様は『カメロケットランチャー』ではなく『ミシシッピアカミミガメトルネードロケットランチャー』なのだ!!

 何にしても俺様は、そこの使えぬぼんくらとは違うのだーーー!」


 俺が考え込んでいるとカメロケットランチャーは一人で盛り上がり始める。

 それにしても奴の名前は長すぎるので、俺の脳内では引き続き『カメロケットランチャー』と呼ぶことにした。


「ランチャーの!

 ぼんくらはないだろ、ぼんくらは!」

「貴様などぼんくらでも生ぬるいわ。

 ぼんくらが嫌ならゴミクズと呼んでやろう!

 カーメ、カメカメ!

 取りあえず、使えぬ愚か者はそこで黙って見学しておれ。


 死ね!!

 カメカメトルネード対人ミサイル、発射ーーーー」


 カメロケットランチャーの甲羅から生えた対人ロケットランチャーが火をふいた。

 今回のミサイルは回転しながら飛んでくる。

 どうやら命中したときの破壊力が改善されているらしい。


「トゥッ」

 俺はミサイルが当たる寸前でジャンプして躱す。

 俺の足下をミサイルが通過していく。

 そう、破壊力がいくら上がろうとも、当たらなければどうと言うことはないのだ。

 俺は無事に着地を決め、二体の怪人に向かって叫ぶ。


「そんなものは効かない!」


 しかし、対人ミサイルは熱感知型の誘導式だった。


 Uターンしたミサイルが俺の右後方からぶつかり、爆発する。


 俺は爆発の衝撃で吹き飛ばされた。

 衝撃でブルーのマスクにひびが入り変身が解ける。

『まずい。

 第二射が来る前に移動せねば……』


 俺は痛む体を何とか起こす。


 そのとき俺を見たカメミサイルランチャーが驚きの声を上げた。

「貴様は結城士ゆうきつかさ

 何故貴様がここにいる」


 そうだった。奴はZ3の正体を知る数少ない怪人なのだ。

 たいていの怪人は正体を知られる前に倒しているが、こいつだけは戦いに慣れていない最初期の時期に戦った敵と言うこともあり、偶然から本名と変身前の姿をを知られてしまっていた。もっとも、その後にすぐ1号2号の力を借りて倒したから、それ以上俺の変身前の姿が拡散することはなかったのだが。


 俺は、今回も早めに決着をつけるべく変身する。


「レディー、変身!セット!!」

 腰にベルトが具現化する。

 

「変身!Z3(ズィースリー)!!!」

 周囲の魔力を取り込みながらベルトがまわる。

 ここまでに受けたダメージは、変身時に取り込んだエネルギーによって全快する。


「おのれ、Z3。

 こんな異世界にまで現れおるとは」

 カメミサイルランチャーがわめく。


「悪がある限り、Z3は必ず現れる。

 お前達の最後のときだカメミサイルランチャー、極悪猛毒ガス仮面!」


「ララララ、ラーーーンチャーーーーー!!

 おのれ、やれ、やってしまえーーー」

 カメミサイルランチャーは先ほどの極悪猛毒ガス仮面のように両腕をグルグルと振り回す。

 先ほどと同様地面に魔方陣が現れ、今度は豚の化け物が10体ほど出てきた。

「ララララ、ラーーーーンチャーーーー!!

 やれ!

 戦闘オーク達よ!!」


 どうやら、さっきのゴブリンよりは強そうだが、Z3に変身した今、もはやゴブリンだろうがオークだろうが変わりはない。

 燃費効率最悪のZ3は短期決戦であれば無類の強さを発揮出来るのだ。


「Z3ファイヤートルネード!」

 東の空が白み始めた明け方の町に炎の竜巻が巻き起こり、オーク達を巻き込んでいく。


 付近の建物が煉瓦造りであったことに感謝する。

 Z3の魔法で町が燃えては申し訳ない。


 竜巻に巻き上げられた10体のオークは炎に焼かれて魔石へと姿を変え、地面に散乱した。


 続いて俺は、カメミサイルランチャーに急接近し一撃を加える。

「Z3パンチ!」

 必殺のパンチを鳩尾みぞおちにたたき込むが、そこにも硬い甲羅があり致命傷には至らない。

 しかしカメミサイルランチャーもダメージは受けたようで数歩後退するとよろめいている。


「ラララララ、ラーーーンチャーーー!!

 おのれ!Z3!!こうなったらこの街もろともブラックホールの藻屑もくずとしてくれる。

 極悪猛毒ガス仮面よ。

 どうせこのまま帰っても任務失敗で処刑されるだけだ。

 せめてブラックホール爆弾が作動するまでの時間を稼げ!!」

「ドークドクドクドックーーーーッ」


 カメロケットランチャーの後ろに控えていた極悪猛毒ガス仮面は、体勢を整えると猛烈な勢いでこちらに突撃を開始する。


 まずい。

 最悪のケースだ。

 ここで、極悪猛毒ガス仮面に手間取れば、間違いなくブラックホール爆弾が作動する。

 そうなれば俺はもちろん、この周囲100キロほどがブラックホールに飲み込まれ消滅するだろう。


 俺は焦る気持ちをおさえつつ、冷静に敵の動きを見ながら、対策を考える。

 要は、カメロケットランチャーがブラックホール爆弾を発動させる前に倒してしまえばいい。

 しかし、極悪毒ガス仮面を放置して攻撃すれば、毒ガス攻撃の餌食になってしまう。

 麻痺性の毒ガスでも使用されようものなら、しびれて動けない間にブラックホール爆弾が作動することは明白だ。

 二体の怪人をほぼ同時に倒す必要がある。



 ここまで思考することコンマ数秒。俺は一つの可能性を見つけた。

 もはやこれしかないだろう。


 極悪猛毒ガス仮面がカメミサイルランチャーの横をすり抜け、怪人二人が重なる一瞬に全てをかける。


 3、2、1…… 

 心の中でタイミングを測る。


「Z3ジャンプ!」

 斜め上方にジャンプし、体の動きにひねりを加える。

 勝負は一瞬だ。


「Z3、反転きりもみ光速キック」


 俺は光の矢となってカメロケットランチャーの爆弾が内蔵されている腹部に最大の衝撃を加え、跳ね返った勢いを利用して横をすり抜けようとしている極悪毒ガス仮面に回し蹴りをたたき込む。


 カメロケットランチャーは左に、極悪毒ガス仮面は右に飛ばされ、石造りの壁に激突した。

「ラーーーーンチャーー……」

「どくーーーー……」

 ドッガーーーーーン!  チュドドドーーーン!!


 弱々しい鳴き声と供に、二体の怪人は爆散し、後には大きな魔石が1つと中くらいの魔石が1つ残った。

 何とかブラックホール爆弾が起動する前に倒すことが出来たようだ。


 俺は変身を解くと、気を失っている冒険者の方へ駆け寄る。


「まずいな。生きてはいるが虫の息だ」

 二人ともかなりのどを絞められたようで痙攣しており、呼吸は弱く脈もほとんど止まりかけている。

 しかしこちらも先ほどの戦いでエネルギー切れ寸前だ。


「やるしかないか……」

 俺は再びカラフルブルーへと変身し、回復の魔法を発動したが、エネルギー切れ寸前であったため、何とか延命出来た程度までの回復に留まり、二人の冒険者は瀕死のままだった。


 もはやこれ以上の魔力使用は無理だ。

 魔力がゼロになると倒れることもある。


 俺は幾分呼吸に力強さが出てきた冒険者二人を左右の肩で担ぎ、引き摺るようにしながら冒険者ギルドを目指した。


 辺りは今、将に太陽が昇ろうとしてるところだ。

 夜のとばりは西の空へと去って行った。







ブックマークいただいた方ありがとうございます。

また、評価で5,5の満点をつけていただいた方、ありがとうございます。

とても嬉しく思います。

今後もよろしくお願いします。

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