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【第11話】冒険者生活第一歩

 

 ギルドの登録をすませ、俺たちはまずいらいの掲示板を確認に行く。

 ギルド長から簡易日本語変換表をもらい、この世界の文字を一文字ずつ確認しながらなので時間がかかる。


 ポイントは、討伐系、採取系、捜査系、護衛系、雑用系などで異なるマークがついている点だろう。

 文字の読めない冒険者でも、ある程度は推測出来、後は受付で確認してもらえばいい。


 俺は取りあえず、これはと思われる依頼用紙を数枚剥がし、受付で聞いてみる。


「カイシーギルド長、すまないがこの依頼の内容を教えてくれ。

 正直この世界の文字にまだ慣れていないんだ」


 俺が差し出した5枚の紙を見ながらギルド長が教えてくれる。

「こっちが周辺の魔物の駆除で、ゴブリン1体1000ドン、スライム一体200ドン、他は要相談となっているな。

 初心者には手頃な依頼だが、ゴブリンの集団は要注意だ。

 こっちは薬草の採集依頼だな。

 体力の薬草1本150ドン、魔力の薬草1本750ドン、速度の薬草1本250ドン、他は要相談となっているな。

 まだ読むか?」


「ああ、お願いする」

 俺の返答にカイシーギルド長は続ける。


「3枚目は警備・捜査協力の依頼だな。

 最近夜間の商業地区を中心に血痕を残して行方不明になる人が連続して発生している。

 これを警邏兵とは別行動で調査して欲しいと言うことだ」


「何で警邏兵とは別なんだ?」


「商業ギルドからの依頼で、警邏兵が巡回する頻度では解決しないか仮に出来ても時間がかかりすぎるのを嫌った依頼だったはずだな」


 俺はこの依頼の内容が妙に気になった。

 なぜなら、戦隊ヒーローや仮面ドライバーとして活躍していたときに日本で似たような怪奇現象によく遭遇していたからだ。


「俺は、その依頼を受けてみたい」


「一晩12時間勤務で10000ドンの依頼だ。

 正直、万一の時は命の危険があることも考えるとあまり割がいいとは言えないがいいのか」


「ああ、何もなくても10000ドンというのは魅力だ。

 取りあえず安定した収入が欲しい」


「なるほど、わかった。

 最初はユウの足のこともあるから、薬草採取ぐらいが無難だと思ったのだがな」


「ユウにはその間に魔法の訓練でもしてもらいたいと思っているんだが、ユウはどうだ」


「はい、かまいません。

 と言うか、先頭になったときにワタルさんの邪魔にならない程度には何か出来るようになりたいと思っていたんです。

 カイシーさん、ギルドで訓練出来るところとかありますか」

 ユウの答えに、カイシーギルド長は説明が書かれたボードを出す。

「ああ、この板に書いてあるように、初心者や実力アップを目指す冒険者向けの魔法講習や戦闘講習が毎日開かれている。

 初級は無料だが、中級以降の講座は一日1000ドンほどの有料講習になるがな。

 午前中が初級、午後が中級の講義と演習だ。」


「是非それに参加させてください」

 ユウが食いつくように参加を表明した。





 それから、俺たちはギルドで紹介された『安らぎ亭』という宿屋を訪ねた。


「いらっしゃいませ。

 ご宿泊ですか、お食事ですか」

 ホテルの開き戸をあけてすぐのところにあるカウンターから年の頃なら10歳程度に見える少女が声をかけてくる。

 ギルド長の説明では家族経営でやっていると言うことだったので、この宿屋の子だろう。


「ああ、ギルドに紹介されてきたんだが、宿泊で頼む」


「それでしたら、お部屋はどうしましょう。

 シングルは広さ12ヘーベーで、素泊まり一泊1400ドン、ダブルが16ヘーベーで1800ドン、ツインが18ヘーベーで2000ドンになります。

 他にドミトリールームの2段ベットがあり、1段目は600ドン、2段目は500ドンで宿泊出来ます。安いけど、その分、狭いからご了解ください。

 もし、他にもお仲間がいるのでしたらトリプル、カルテットのお部屋もございます」

 幼い少女がしっかりと説明している様に感心する。


「ツインで頼む。取りあえず5泊だ」

 俺はユウと打ち合わせた通り、2ベットの部屋を1部屋とる。


「お食事はどうしましょう。

 朝食はパンとスープの簡単な物ですが一人100ドンとお安くなっています。

 昼食、夕食は肉や野菜もしっかりとれて一人500ドンです。

 その場でも申し込めますが、事前にたくさん申し込んでいただくと割引があります。

 4回分予約していただくと5回目が無料になるサービス券が予約特典ですので、お客様方でしたら、5泊全部うちで食べていただければ最終日は無料になりますよ」

 宿の少女は実にしっかりしている。


 俺たちは朝食5食、夕食5食を予約し、最後の1食がサービスになったので、一人2400ドン、二人で4800ドンを、5泊分の宿泊費10000ドンと合わせて支払う。


 一週間程度の生活費に充てることが出来ると言われて、準備金としてもらった一人あたり20000ドンは、まだ2万5千ドン以上残っているので、この宿の格安さがわかる。


 鍵を受け取り、3階のツインルームへ向かおうとして、俺たちは宿にエレベーターがないことに気がついた。


 まあ、中世風の木造3階立て宿にエレベーターを期待する方が間違っているのだろうが、車いすのままでは上までいけない。


「ユウ、よかったらまず、松葉杖を買いに行こう」

「ええ、お願いします」


 俺たちは自室にチェックインすることなく、道具屋へと向かった。






 ユウの松葉杖を購入すると残金は10000ドンを切った。

 戦闘に巻き込まれたとき、松葉杖で敵の攻撃を受け止めることもできように、金属製のパイプを使ったものを16000ドンで購入したためだ。

 購入した松葉杖はジュラルミン製の物と同じ程度軽くて丈夫である。

 武器道具屋の親爺の話では、成分までわからなかったが、丈夫な分硬さに欠けるため、この金属で剣などの刃先が鋭い武器を作るのは難しいそうだ。

 本当は足を外側から支えて立ちやすくする補助具も欲しかったのだが、そもそもそんな介護用品モドキは取り扱いがないため、個別発注となり、手持ちの残金ではとても買えそうになかった。


 これは早急に稼がなければならない。


 俺たちは一旦宿に戻ると相談する。

「ユウ、俺は早速今晩から警邏に出ようと思う。

 夕食を食べたらすぐに依頼主に会って、そのまま今晩からパトロールする」


「わかりました。僕は明日の訓練に備えて早めに休むことにします」


「ああ、明日の朝食のときにまた話そう」


 俺は簡単に打ち合わせると、ユウと供に食堂へおり、夕食をいただく。

 ここから後は別行動だ。

 ユウは明日の訓練に備えて部屋で休息、俺は商業ギルドに依頼を受けた旨を伝えてそのまま商業地区の警邏に向かった。








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