7話…サクリとルガナー 2
「ではあなたが助けてくださったんですね! ありがとうございます。」
サクリがぺこりとお辞儀をする。
お辞儀も可愛い。
うん、こんな美少女を助けられたなら本望。走ったかいがあったというもの。
ただ気に入らないのは……。
「私、強くなりたくて無理言ってこの人……」
ちらっと青年を見る。
ちなみに青年は俺を何故かずっと睨んでくる。
「ルガナーに無理言って奥まで来ちゃったんです。地道に努力しなきゃいけないところを過信したからバチが当たっちゃったんだわ。」
しゅん、と凹む彼女も可愛らしい。
俺がいくらでも護衛してやりたい。
じゃなくて!
俺が気に食わないのはここだ!
普通チートとして異世界に来たらモテるのが普通だろう!?
なんでこの子俺に惚れないの?!
俺命の恩人!!
なんで……なんでルガナーとかいうやつ見て頬染めてるの?!
「だから無理だって言っ」
「いやいや偉いよ。努力は大事さ。」
無愛想な顔で否定にかかった#憎きヤツ__ルガナー__#の言葉を俺は遮っていう。
すると、こいつはさらに鋭く睨んでくる。
「お前は努力した形跡がないけどな。なんだ、あの剣の振り方。」
フッと鼻で笑われた。
なんという屈辱。
俺はそっとルガナーのステータスを見る。
名前:???
年齢:18
職業:双剣使い
ステータス:
体力:46800
筋力:70400
素早さ:30656
魔力:56
対魔力:4600
耐久:80200
知識:9600
「ふははっ! お前も随分努力に偏りがあるみたいじゃないか! 」
「はぁ? そういう素質なんだよっ! そういうお前どうなんだ? 偉そうなこと言えるっていう……はぁ?!」
少し目を細めて俺の方を見ると大声で叫んだ。
ようやく俺のステータスを見たか。
さあ! 敬え!
「どうしたの……?ルガナー。」
「こんなステータス見たことない……。あんな構えしてたやつとはとても思えない……。」
愕然とした表情のルガナーを見て眉をひそめるサクリ(言わずもがなその表情すらも美しい)。
「この方のステータスがすごいの?
……わああ! 本当だわ! 」
ルガナーと違って素直に驚き飛び上がるサクリ。
「おそらくここ数日間のうちに来られた方なのね? 私達2日ほどここで過ごしていたの。ねえ、どこからいらしたの?? 」
「俺は異世界のニンゲンさ。この世界を……人類を救いに来た。
所謂勇者ってやつかな! 」