4話…推察
「ふははっ!」
あの会話のあと、少々気分が悪くなった俺は少し部屋にひとりにしてもらうことにした。
ちなみに俺の旅のしたくはこの地域の住民が明日までに用意してくれるらしい。全く有難い。
みんな将来の英雄に対する態度がわかっているな。
[伝説の悪人]
そう聞いた時は流石に俺も驚いた。
気分が悪くなったのもそのせいだろう。
だが、1人になって考えて、聡明な俺は答えを見つけたのだ!
まず俺のステータスが下がっていたことに関して。
これはあまりにも高すぎる俺のステータスがこの世界に多少合わせようとしているだけなんだ。
なんせカンストするほどの高さだ。
少しぐらいここの奴らにも合わせてやらないとな。
そしてスキルについて。
とりあえず[無謀な勇気]については詳しいことがわからないから置いておく。
[傲慢さゆえの不幸]のなんだが…
おそらくこれはやはり俺の高すぎるステータスとバランスをとるためのものなんだろう。
あまりにも高すぎるステータスを持ってるんだ。これくらいの制限がないとハンデにもならないからな。
全く俺はどうしてこんなにできた人間なんだろう。
ここを救ってやるどころがわざわざ俺のステータスすらも合わせてやろうとするなんて!
「ははっ!まあ、俺を理解してくれる人間に対する恩返しとでもしておくか!」
「なんか暇だな…。」
俺の持ち物は全部ガナールたちが用意してくれるというし、だいぶすることがない。
そうだ。少しここの周りを歩いておくか。
少しくらい動いておかないと明日か明後日には発たなきゃいけないからな。
俺は宿の下働きのやつに頼んで1振りの剣と鞄を借りた。
俺が話しかけてくれたことに感動したそいつは鞄に水の入った筒を用意するという心配りまでした。
よく出来たやつだな。
「行ってらっしゃいませっ!!」
宿の美しい女中に見送られて外に出る。
「さて、と。こっちだったかな?」
俺は賑わっている、すなわち街の方とは反対側に向かって歩く。
そちらはここらで有名な狩場だそうで、よく獣が出るらしい。子供の良い練習相手となるものからだいぶ値がつくものまで多種多様な生き物が存在するところが〝売り〟だそうだ。
「ステータスから見て余裕だろうけど、少しぐらい慣れておいた方がいいな。」
「ここ、か。」
目的の狩場についたところで剣を持ち直す。
広々とした草地が広がっていて、ひょこひょこ何かが動いている。
きっと初心者向けの小動物なんだろう。
ところで、1つ問題が発生した。
俺は剣の使い方がわからない。