嬉し恥ずかし! マダヲ(30・♂・童貞)のファーストキスはコーヒー&ワイン味?!(1)
ずっと書きたかった官能的なシーンがやっと書けました。
読み手の皆さんにもどきどきしてもらえたら嬉しいです。
「目を閉じて、心を澄ませて」
「済ます?」
「もう、ダメですよ? ……まず目を閉じて」
「お、おう」
なぜか頰の紅いローゼ。
まるで俺に要求されたから仕方なく儀式を行うかのような、言い訳を探していたような態度。
転生の儀式を行うのに言い訳が欲しかった理由なんて、童貞の俺にはわかるはずがなかった。
ゆっくりと息を吸って吐く。
転生の儀式って一体どんなものなのだろう。
どきどきしながら考えていた。
鼓動は止まっており、脈もない。
だから心臓そのものはどきどきしない、魂だけがどきどきしていた。
ふわりと後頭部を押さえられる。
何が起こるのか、予想がつかない。
ちゅっ
何か柔らかいものが俺の口唇に触れた。
それは甘く、挽きたてのコーヒーの香りと、ほんのりとカリフォルニアのピノ・ノワールの味。
目を閉じろと言われてはいたが、驚いて思わず目を開ける。
ローゼが俺の口唇に、自身の口唇を重ねていた。
えっ?
え
え
え
え
え
え
え
え
っ
!
?
ええええええええ え え
え え え
え え え
え ええええええええ え え
え え え
え え え
え
ええええええええええ え え
なんてこったパンナコッタ! こんなときでもダジャレやで! 死んでからも死んだ後に死ぬほど驚いてもダジャレやで!!!
新しいネタを考える余裕もないほど、全方位的に俺は驚いた。
まず、女子の唇ってこんなに柔らかいの?! ということに驚いた。
そりゃー童貞ですから、ファーストキスですよ初体験ですとも、三十歳過ぎての! はじめてのチュウ!
壊れた機械のような声の、キテレツ大百科の主題歌が頭の中でリフレインする。
なんというべきか。
マセたガキなら小学生とかで済ましちゃってるとかいう、伝説のアレですよ。
コレをアレか、例えば十五歳で彼女ができて、そこからずっとオンナが切れなかった三十歳の同い歳のヤツは、人生の半分はこんな感触をを愉しみ続けてきたってこと?!
ずーっと?!
スゲー羨ましいし、妬ましい。
これが生きた人間の快楽だというのなら、俺の三十年間の人生はなんだったんだ。
リア充死ねよ本気で絶滅しろよ。
政府はリア充にはリア充税を課すべきだ、リア充の年収は九十五パーセントくらいリア充税として徴収していいんじゃなかろうか? なぜなら俺は今、この口づけになら全財産をはたいてもイイと思ったから!
……給料は安いし、酒とヲタクライフにじゃぶじゃぶ金突っ込んで、ほとんど貯金なんかないけども。
しかし、だが、生前の俺の知り合い・友達のなかで、彼女がいたり結婚したりしたヤツは少数派だったし、その中でもこんな超絶美少女とイチャついていたヤツはいない。
というか、(中身の実年齢は二十歳だが、見た目だけは)十代前半の少女と淫行に及んだヤツは一人も居ないだろう。
最後発の俺が、一番イイ思い&犯罪的な行為をしている可能性も、なきにしもあらず。
リア充の所得に九十五パーセントの課税をするというのなら、俺なんか弁護士抜きの裁判にかけられて即打ち首、斬り落とされた頭と亀頭を四条河原あたりに晒されかねない。
それはまずい、リア充の悪口は今日までにしておこう。
次に、見た目が幼い上に純朴そうなローゼが、こんなに大胆な行為に及んだことが衝撃的だった。
こいつ、こんな可愛い見た目なのに!
オトコと遊ぶの、手馴れてるの?!
もしかしてビッチ?! 清純ビッチとか、エロマンガの中にしかいないと思ってた!
この世に実在したんだね!
いや、この世じゃないか、あの世? あの世でもないのか? ここって、俺の観念の世界とかなんとか言われていたっけ?
俺の観念の世界にしかいないロリビッチとか、もうなんなの俺の頭の中!!!
……いやいや、待て待て。
ローゼが手慣れていると決め付けること自体、尚早かもしれない。
このまま自身のバラ色の下着と俺のトランクスを引きずり下ろし、俺の股間と尻穴あたりを積極的にあれこれし始めたら相当疑わしくなってくるが、ちょこっとちゅっとするくらい、子供でも知識としては知っていることじゃないか!
童貞の俺だって知ってたよ! ……知ってただけだけど。
そう考えたら、ローゼだってこれが初めてかもしれない。
お互い初めてのチュウ。
いやきっとそうだ、そうだと思いたい。
でももし、俺の前任者がいるとしたらば。
この娘に最初にこんなこと教えたヤツ、 ……殺す。
ありえへんやろ犯罪やろ、どんなろくでなしがこんな少女に卑猥なコト、教え込むねん。
ああっ、でも、そう考えるとそれはそれで嫉妬に焦がれて、なんだか興奮する。
やベーな俺、変な性癖に目覚めそうだ。
とにかく詳細は、後できっちり聞き出そう。
そして最後に。
そもそもローゼは、なぜこんな恥ずかしいことをするのか、さっぱりまるで、皆目わからない。
心底、骨が軋むほど驚いた。
「んん……っ」
鼻にかかったようなちょっと苦しそうなローゼの声で、俺の意識は現実に引き戻された。
なんてエロい声なんだ。
だがエロいのは声だけではなかった。
不意に口の中に何かがねじ込まれた。
へへ……
……きたぜぬるりと…
そう言っていたのは若かりしころの赤木しげる。
「アカギ」の二巻の最後のあたり。
愛読書だもの、よく覚えている。
だが情けないことに、俺には赤木のような余裕は全くなく、白い牌よりも頭のなかは真っ白になってしまった。




