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死神美少女と童貞魔法遣いの俺  作者: ぢょほほん
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100メガショック! えっ嘘やろ、俺は死んじまっただ!?(4)

風邪をひきまして、寝込んでいました。

予定より遅くなりましたが、続きを書きました。

「あっ、申し遅れました。 ローゼ(Rose)です。 薔薇(ばら)のお花と、ワインの色と同じ(つづ)りです」



衣装は黒づくめながら、愛らしい頰も化粧気は感じない唇も薔薇(ばら)の花のような色だし、(あか)り越しにボトルを眺めたときの、透き通ったロゼワインのように美しい少女であるから、ぴったりな名前だと心から納得した。


……彼女の下着の色が薄い桜色の、ワインのロゼ(Rose)色だったことを想起したわけでは、断じてない。



「ローゼな、ええ名前やな、ローゼ」


「はいっ! わたしも大好きなんです!」


「自分のイメージにぴったりやし」


「えへへ、ほんとうですか?」


「ん、ぴったりやで」



適当に話を合わせながら、酒を探した。


目当ての酒はちゃぶ台の横の背の低い棚の中にすぐに見つかった。

これは常温で飲む酒だからこれでいい。


さて、つまみは何があるだろうか、簡単なものをさっと作ろう。

この部屋が俺が死んだあの夜の状態ならば、適度にサシの入った和牛のロースがあるはずだから……

などと考えつつ、冷蔵庫を開けながら、



「俺はつまみを作るからグラスを二つ出してもらってええか? ローゼ」


「はい☆ この戸棚の中ですねっ」


「むちゃくちゃ嬉しそうやな?」


「飲みすぎて死んでしまうほどお酒が好きな方が、人生の最後に選ぶお酒ってどんなかなあって、 ……すごく、興味深いです」


「興味深いのはええけど、俺はグルメとかとちゃうで? 期待しすぎんなや」


「わたしも詳しくないので、美味しいお酒のことを知りたいなって……」



喜ぶローゼを眺めてふと気になった。

この死神、歳はいくつなんだろう?



「酒のこと知りたいんのはええけど、まだ自分は酒飲める歳ちゃうやろ? オレンジジュース出したるわ」


「飲めますよ、二十歳(はたち)ですから」


「ふぁあああああっ?!」



驚きのあまり奇声を出してしまった。


よくよくローゼを見る。

背は低いし、化粧気はゼロ、肌はつるつる、髪はつやつや。

胸はつるぺ……た、とまでは言わないもののだいぶ控えめ。


特に髪。

西向きのマンションの窓から差し込む夕日を受けて、天使の輪が輝いている。


歳をとると、肌以上に髪の(ツヤ)は衰え、どんなにいいシャンプーやリンスを使っても、だいぶマシ(・ ・)になるだけで少年少女と同じような髪質にはならない。


全体的に見て、小学校高学年、どんなに頑張っても中学一年生くらいにしか見えない。

間違いなく若い…… というか幼い。



「自分が、はたち? にじゅっさい?? いや、いやいやいや! ありえへんやろ!!」


「死神は長命でして、歳をとる速度も遅いんです」


「具体的には?」


「ヒトの半分くらいです」


「ほな、見た目が十代なだけってことなんか?」


「そうです」



特に悪びれる様子もなく、淀みなく話すローゼの態度を考えると、嘘ではなさそうだ。

しばし熟考する。



「実年齢は二十歳でも中身は十歳やったら、未成年なんちゃうか?」


「いえ実年齢は二十歳なので、成年なんです。 ……同期には妊娠してそろそろ出産する子もいますよ?」


「ふぁはぁああああっ?!」



もっと変な声を出してしまった。

驚きすぎて変な汗をかいてきた ……もういちど、熟考する。



「な、なあローゼ? 妊娠した自分の同期って、同い年なんか? やっぱり見た目は十歳くらいなんやろ? で? 妊娠? してんの?」


「はい、二十歳ですから」


「ま、まままま、マジでか?!」



目眩がした。

そして俺の頭の中の、暗い暗い暗闇の中で、禁断の魔物が咆哮した。


『合法ロリ!』

と。



俺のオタク仲間には、それはそれは幼女がすきすき大好きな、どうしようもない小児性愛者(ペドフィリア)が数人いる。


あいつらがこの話を聞いたらなんというだろう。



つるぺた少女が妊娠(ハラポテ)

見た目十歳ちょっとくらいの死神少女が、妊娠して、出産。


どこの極悪非道ロリ同人誌だよオイ。

おまわりさんここに犯罪臭がしますいますぐ逮捕してください…… 誰を?



「そんなん、あ、あかんやろ?」


「あの、顔色悪いですけど大丈夫ですか?」


「大丈夫なわけあるかっ! アカンに決まっとるやろっ!!!」


「えっ??」


「…………すまん、ローゼが悪いわけちゃう、アカンのは、俺の頭とあのペドどもや」


「??」



とにかく。

ローゼは見た目は小学生並みだが、実際は二十歳であり俺と一緒に酒を飲んでも大丈夫であると言うことらしい。



「ま、まあ、もう一回確認するけど、自分、飲んでもええんやな? ほんまに?」


「はい!」


「酒、すきなんか?」


「えへへ、恥ずかしながら、大好きですっ☆」


「そ、そうか……」



真夏のひまわりのような笑顔で返事をするローゼ。

見た目は少女で、実年齢は二十歳で酒が好きとか、どんな死神だよいったい。


心情的に引っかかるところはあるが、嫌がる少女に無理やり飲ませるわけではない。

人生の最期の最後に、とびっきり可愛い女の子と一緒に美味い酒を飲めるのだから、これはこれでオツなもんだと考えよう。



使い込んだ純鉄のフライパンに火を入れる、テフロン加工はされていない。

テフロン加工は一見便利に見えるし、実際便利で余計な油もカットできるものの、一部でもコーティングが剥がれるとそこは焦げ付くようになるため、使いにくくなってしまう。


フライパンはちゃんと油を引いて温度を間違えなければテフロン加工されていなくても焦げ付きはしないし、仮に焦げ付いてもガンガン磨いて落とせばいい。

テフロン加工されたフライパンを何個か買い換えたのち、そういう結論に至った。


つまりは腕とやる気の問題だ。


このフライパンは一生使うつもりでいたし、実際死ぬまで使うことになったわけだが、あと三十年くらいは使えたはずだと思うと、もったいない気がした。



待ちきれない表情のローゼが、うきうきと語りかける。



「これ、赤ワインですよね? なんていうお酒なんですか?」


Napa(ナパ) Valley(ヴァレー)Pinot(ピノ)Noir(ノワール)。 アメリカのカリフォルニアにある、Napa(ナパ)っちゅうところで作られたワインやで」



1月8日に次話を公開予定です。

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