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3. 「ちゃんと、抑えて。そうそう、上手だね。」




「ほな、縹はん、お風呂借りますわ。」

「ええ、その血の匂い落として来い。」

 そろそろ、日の短い季節のこと。

 薄暗くなってきたその頃合に、縹と《L》は、やっと部屋から出てきた。

 最初から、指摘したかったようではあるが、先に情報の刷り合わせを優先したようだ。

 一応、《L》もそういわれることを覚悟していたのだろう。

 トラベルセットに、自分のシャンプーボディソープなどと着替え一式は持ってきていたようだ。


「つくし、今から夕飯作るから、手伝ってくれるかな。」

「……うん、何作るの? 」

「カレーとポテトサラダと南瓜コロッケ?

 後、カボチャ餡のしらたまかな。」

「縹お姉さん、料理上手なの!?

 僕のね、お母さんも上手だったんだ。」

「……っ、最近は違うの? 」

「あのね、最近は仕事の方が忙しくて、一緒にご飯は食べてくれるんだけど、作ってくれないんだ。

 たまにクッキーとかは作ってくれるんだけど。」

「そうか。」

 情報のすり合わせの最中に調べた裏づけありの実情を知っているだけに、一瞬固まるが、縹は会話をt付ける。

 それから、母親のことや兄弟のこと、自分が能力の制御訓練をサボったせいで殺された父親のことをはなしてくれた。

 実情は勿論、違う。

 だけれど、それを指摘しない。

 いや、指摘できない。

「じゃあ、作りましょうか。」

 つくしには、大きなエプロン。

 それを安全ピンであれこれ裾あげしている。

 元々、《L》も食べていくつもりだったのだろう。

 インカの目覚めと言う少々珍しいジャガイモを徳用袋で買って来る辺り、或いは豚バラをブロックで1k買って来る辺り。

 その他の材料も、食べ盛りと成人した男と縹の食べる量を考えて、それなりの量だ。

 一応、他の牛乳や食パンも飼ってきている辺り、気遣いは出来ているようだけれど。

「ちゃんと、まな板の上で抑えて。

 その上でピーラーでお願いね。」

 ジャガイモとニンジン、玉ねぎの皮むきを縹は、つくしに頼んだようだ。

 勿論、あらあらでいいからとそうお願いして。

 彼女自身は、まるの小さめ南瓜をふたつ、二センチ角に切った上で皮を剥いてシリコンスチーマーに入れて火を通して、餡とコロッケの種にするようだ。


 その他、手早く寒天を戻し、寒天を作ったり。

 剥いてもらったジャガイモニンジンを分けて、ポテトサラダの分のジャガイモは、南瓜と入れ替わりにシリコンスチーマーで火を通す。

 代わりに、つくしには白玉を作ってもらうことにした。

 白玉粉二袋400グラムに対して、豆腐200gと水を少量入れて練らせる。

 その間にお湯を沸かし、流しにボウルと笊を冷水をセットした。

「わぁ、しらたまが踊ってるみたい。

 浮かんできたら、いいんだよね。」

「そうそう、こっちのボウルで冷やしてね。」

「美味しい? 」

「ええ、もちもちしてて餡子と一緒に食べるととっても美味しいわ。」

 出来上がった。

 それから、ニンジンを細かくして玉ねぎをくし型の薄切りに、後はハムを短冊形にして、カロリーを気にせず、マヨネーズと隠し味にヨーグルトを少々入れてポテトサラダを完成させた。

 カレーも、ジャガイモと肉はごろっと、ニンジンは梅形に切ったり星型に抜いたりしたものを別にトッピングする形にしたり。

 甘口ルゥを多めに入れるのを忘れない。

 南瓜コロッケは、餡の味付けに隠し味として甘味噌を少しだけ使い、鶏挽き肉とチーズ入りの小さなそれだった。

 白玉の寒天だって、一部を牛乳、抹茶、イチゴシロップを混ぜたものを少しだけ作っていた。

 見た目も可愛らしくカラフルだと思う。


 ちなみに、豚バラの一部は幾つかの一口カツに仕立ててある辺り、成人男性のことも考えてはあるのだと思う。

 何と言うか、決して、豪華とは言えないが、食べる人のことを考えた食事だと思う。


「ええ匂いやな、縹はん。」

「食器並べてね、タイミング計ってたろ?」

「いやぁはっははっはは。

 ええやんええやん、自分が料理やろうとしたら基本、男の料理になんのやし。」

「お兄さんだあれ? 」

「すまんすまん、自分は、《L》って言う縹はんの同業や。

 今回の追って追い払うんに協力することになってん。」

「エルお兄さん?」

「せやせや。…………。」

「おにいさん? 」

 《L》は、ガタイがいい。

 190センチある縹ほどではないが、その分横にもデカイというかゴツイ。

 それが、つくしを無言で抱き上げて抱き締めているのだ。

 もしも、これが外ならば、つくしのきょとん顔と合わせて、職務質問待ったなしだろう。

「どうした? 」

「いや、つくしくんが天使過ぎて、生きるのが辛い。」

「……子ども好きではなかっただろ? 」

「だって、こう言う稼業で子ども言うたら、ああもう、やる気MAXやないですか。」

「とりあえず、冷める前に食べるぞ。」

 その後、かなり多めに……業務用の一番小さいサイズとは言え、たっぷり、二十皿はありそうなカレー鍋が三分の二以下になるぐらいまで食べきったようだ。

 勿論、おかずも軒並み、食べつくされた。

 ちなみに、食べ盛りと成人男性と小食気味女性と言っても、8合ほどあったご飯もほとんど、空に近い。

 縹が皿を洗っている間に、《L》はつくしを風呂に入れ、寝かしつけてくれたようだ。




「……会議、何時からなん?」

「25時から。

 《グレイトキャット》も参戦してくれるし、最低限、つくしを追わせないだけの痛手は投げなくちゃ。」

「縹はん、覚悟だけはしときや。」

「うん、亡くすにしても育てるにしても。」

 縹の言葉は、「育てる」と口にしていても、それを信じていないようなそんな口調だった。








何と言うか、次回以降は、マルチエンドの最終回までノンストップジェットコースターです。

次回以降は、「交戦中各自の場合」、「ピンチ、vsヘリファルテ」「エンド」の予定です。




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