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正当なる王女は村育ち 共通①

「あーあ、やんなっちゃうわ」


朝起きて家畜の餌やり、売る為の花へ水を与えたり、変わらない毎日。


「おはようルーテア!」


お隣のベスが朝から元気に話しかけてきた。


「うふふふ」

「ちょ、なによその何かたくらんでそうなうさんくさい笑顔」

「まあひどいわね!それよりねえっ、昨日こんな噂を聞いたんだけど……」


――17年前にかつて王となる者が、成長する前に悉く暗殺されたアクアルド星。

苦肉の策として子を村へ放ち、成長するまで誰にも所在を告げずに王自らが伴侶さえも殺めて見守ったという。


「そしてその王の子がこの村にいるらしいのよ!」

「まさか、それはないでしょ」


例えいたとして、城に連れてくまでに暗殺されないとも限らない。


「でも王の子は安全のために性別も不明なのよね?」

「ええ、王子だったらこの国の騎士達がますます幅をきかせるでしょうね……」


この村かはともかく、17年前ということは、新たな王が誕生する日も近いということだろうか?


このアクアルド星では男が外で働き、女が家庭を守る文化が根強い。


「歴史上の女王は数名しかいなかったけど、もしも再び女王が君臨なさるなら……」

「ちょいとアンタ達!いつまで喋ってるんだい!」



「はあ……」


王子なんて高望みはしないから、未来の旦那を尻に敷けますように!


「そこの女、動くなよ!」

「きゃっ!?」


中年の男が私を拘束して馬車で山道を越えた。


「……」


これから人拐いに売られるのだと涙しながら馬車を降りる。


「着いたぞ」

「……えっ?」


拘束を解かれて、私が目にしたのは物語でしか観たことがないどこかのお城。


「皆の者、そこに居る者は我が娘ルーテアだ」


人拐いの中年男はそのままの衣服にマントを羽織り玉座に座っている。


「おおっ……」

「よくぞご無事で……」


なにがなんだかわからない。



今日は人拐いかと思えば噂の王の子が実は私で、つまり次期女王であると言われたりメイドにドレスに着替えさせられパーティーが開かれたり目まぐるしい一日だった。


「うふふ、お疲れみたいね」

「ベス!?」


今朝ぶりに再開した村の友人の悪意は感じ無いが不気味な笑みに私はすべてを悟る。


「まさか、貴女初めから知ってたんじゃないでしょうね?」

「ええ、私の一家は王が唯一信頼している王家を影から守護する一族なの」


まるで物語のようなドラマチックな展開が、私に起きているなんて倒れそうだわ。


「まあまあ、庭で気分転換でもしたら?」

「ベス、暗殺のくだり忘れた?」


殺されるなら端からパーティーで毒殺されていると暗殺のプロ一家の娘が言うので二人で庭園へ行く。


「あ、なんかブサイクな犬がいるわ」


ベスが指を指した先に犬がいた。


「なんか機嫌悪そうね、貶されてるってわかるのかしら」


◆この犬を……

〔撫でる〕

〔軽くつつく〕


私が犬に触ると煙が出て、人間のシルエットが浮かぶ。


「貴様、よくもブサイクと言ってくれたな!」

「どうなっているの?」


ベスを睨む彼は犬から人間となった。


「彼はとある理由からブサ犬になってしまい異性に触れられると一時的に人間に戻るらしいの」

「へえ」


落ち着いた彼は自分の素性を軽く話してくれるという。


「私はディルサヴィ・ディーセ=ピングーレ。プルテノの王族なのだが、呪いで醜い犬になってしまった」

「はあ……」


彼を哀れんだ父王がこの城に置いているらしい。


「呪いが解けるといいですね」

「あ……ありがとう!」


彼は照れたのか顔を反らしてどこかへ走って行った。


「」

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