∬人工妖精の幸福 共通①
――この星の空気は苦しくて嫌だ。
『五代目の妖精姫が他の物より早く目覚めるようです』
『ほう……一番最後に造ったものが先とは驚いた』
早くこんな場所を逃げたくてしかたがない。
『おはよう、今日からここが君の家だよ“サユキ”』
――私の名前はカバナなのに、どうして他の名で呼ぶのかしら?
『きゃあああ!!』
真夜中に激痛で目を覚まし、自分の耳朶に針を刺されていた事を理解した。
『外星ではピアスを開ける事は珍しくない。そしてこれは私の本当の娘(100エマ)と君(50エマ)の区別のようなものだ』
――この人間はまともな心ない。冷酷で残忍な悪魔だ。
“お前はこの先どんな不幸からも逃げられはしない”
―――ああ、私は人間ではなく、人工妖精だからなのだろう。
「お姉ちゃん、具合は大丈夫?」
奴の息子で私の義弟にあたる葉鳩は心配そうにたずねてきた。
しかし植物に近い私の体に触れると皮膚炎を起こすから一定の距離はとっている。
「……体が悪いわけじゃないから」
彼に危害を加えられた事はないが、奴の息子である事から信頼できない。
「そっか、じゃあ学校行ってくるね」
「……」
アイツは学会で、今日は家に誰もいない。ここから出たいけど鍵がかかっていて外に出られない。
ストレスを発散する方法はアレしかない。
「あのクソ野郎おおお!!早くここから出せバーアアアアアカ!!」
――少しスッキリした。
「なんだ人がいるのか?」
「だが今のは女の声だ。調べによれば奴には息子しかいないし家政婦もいない」
――いわゆる泥棒、空き巣?
「しかし、あの噂が本当の可能性が……」
「誰でもいいから私をここから出して!!」
出られるならば殺人鬼でもなんでもいい。




