メイドのラミアちゃん
「エミル様、起きてください〜!」
「んにゃぁ…………もうちょっと…………」
「ダメですよーっ!」
上等な羊毛が使われている毛布を剥がされる。今日は妙に早起きだなぁ。
目を開けてすぐ目に飛び込んできたのは、淡い紫色と青白い色の髪が混ざった幼い顔立ちの少女。
「ほらほら!お着替えの時間ですよ〜?」
その少女の手には、服の事についてはあまり知らない僕でもわかるような、上等な生地を使っている服がある。
「………ねぇ君、名前はなんていうの?」
「私ですか?私は、ラミアって言うんです!」
「そうか………ねぇ、ラミア、僕とお茶しな」
「早く服脱いでくださいよー?私が脱がせますよ?」
ラミアはニッコリと笑い、僕の言葉を遮ってグイグイ服を脱がせてくる。初対面の女子は基本お茶に誘うと良いと誰かが言っていた気がする。
「えぇっ!いいいいいからッ!!自分で脱げるからッ!」
流石に女の子に服を脱がされるのは、恥ずかしい。顔を真っ赤に染めながら言う。
「あら、そうですか………残念ですッ」
最後は聞かなかったことにしといた方が良さそうだ。
「流石の僕でも女の子に見られるのは……。」
ラミアを追い出しながら、誰にも聞こえないような小さな声でぼそりと呟く。
「あら、カッコいいじゃないですかっ?」
僕には少しブカブカな服を着て、ラミアに最初に言われた言葉は、ちょっと棒読み混じりの感想。
「ささ、着替えたところですし、食堂に参りましょうっ?」
腕を掴まれ、部屋を出る。男の僕でも抗えないぐらいの怪力だ。
「腕痛いんだけど?!」
彼女は僕の言葉を意にも介さず、ズンズンと進み、食堂へとたどり着いた。「さ。お座りくださいっ!」
宝石などが埋め込まれた椅子に座った瞬間、メイドさんたちがドンドン料理を運んでくる。胡桃と干し杏子のふんわりとしたクロワッサン、野ウサギのシチュー……どれも兵士の時は食べられないほど豪華だ。
庶民の食事はこんなに沢山の料理が並んでいるということはない。
「すごい……。」
「え?そんなに私可愛いですかっ?」「いや、ラミアも可愛いよ。だからさ、今度僕とお茶しな」
「そうですかぁっ!ありがとうです♪」
また僕の言葉を遮って、ニコニコ笑いながら楽しげに彼女は言った。
エミルさんはナンパ好き。