ポラリス(禁じられた生きがい オマケ小説)
あてもない旅人が、禁じられた生きがいに逆らうべく
ポラリスの星を追いかけながら旅路を急ぐ。
そろそろ行かなくちゃ。
タロットは愚か者が出て、どこまでも一からスタートし直すことになった。
春の息吹が旅人の疲れた心を癒してくれる。
夜空に蒼い光が点々ときらめく。
マギな魔法のランプは手元にはないけど、心の魔法をそっと唱えた。
『だいたい、長旅はどうしてもいろいろな女の子が恋しくなる。辞世の句とか自殺しかけてた
あのことか、拒食症で苦しんでた幼なじみを何年たっても思い出してしまうな』
一歩一歩前に進む足が、疲労のピークに達したので、
旅人は地べたに座り込んだ。
置いた手に砂利が当たって痛いのだけれど、あまりに疲れすぎていて
もはやどうでもよかった。
旅人にとって心名残なのは、故郷に置いてきた犬と猫と年老いた母のことだった。
『どうしているんだろうか』
若かった頃の母はもういない。
買い物に行くのですら、難儀な母のことを考えると、旅人は少し心配になった。
どうにもならないことが多すぎる。
桃色の髪をクシャクシャかきまわして、旅人は身もだえした。
座っているのも疲れて、旅人は横になって、
満天の星空を眺めることにした。
いつまでも、その星空は、
ポラリスは輝き続けて瞬いていた。