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第二十四章

 アリエラの故郷の村が天使降臨で滅びた後。

 アリエラが降臨した天使に触れると、目の前の天使は光となってアリエラを包んだ。

 三日三晩、アリエラは気を失い、目覚めると天使付きになっていた。

 アリエラは、天使から何かを聞いたわけでも、考えが変わったわけでもない。ただ、自分に天使が付いて、その力を自由に使えると理解しただけだ。それでも、自分が天使に選ばれた人間なのだと思い込むには十分だった。

 それから、天使付きとなった彼女は、たった一人で質素な生活を始めた。

 残された畑を耕し、森を歩いて最低限の糧を得ながら、ほとんどの時間は自分で作り出した部屋に入り、天使へ祈りを捧げ続けた。この石で出来た冷たく硬い部屋は、村長にもらった部屋にとても良く似ていた。人々が天使に祈りを捧げるには、ふさわしい部屋だ。

 ある時、廃墟となった村を荒らしに男達がやってきた。アリエラは襲われそうになったが、彼等全員を、作り出した部屋に閉じ込めて、殺した。

 部屋の中で、何が起きて死ぬのかはわからない。でも、アリエラは自分の能力を理解していたし、罪を犯した男達は天使様に救われたのだと、心の底から思っていた。

 そんな生活を続けて一年が過ぎたころ。天使教会の神父が村にきて、アリエラを見つけた。

 神父はアリエラから話を聞き、村が滅びたことと、ずっと一人で祈りを捧げ続けていたことを知ると、アリエラに天使教会の修道女にならないかと誘った。

 その信仰心も、逸話も申し分ない。「良い」修道女になるだろうと、神父は思っていた。

 アリエラは喜んで神父についていった。

 そして、天使教会はアリエラが本物の天使付きであることを知ると、彼女を「祈りの聖女アリエラ」として、聖女に認定しようとした。

 その話を聞いたアリエラは喜び、聖女になるため、一生懸命に活動した。

 天使教会はわかっていなかった。アリエラは天使教会ではなく、自分の天使しか信じていないことを。魔術師、異端者はともかく、天使の名を語って利益を得ようとするものは、天使教会の神父であろうと、容赦なく懺悔室に閉じ込めて殺した。裁いた。罪の意識はなかった。

 自分を天使教会に誘ってくれた神父も、笑顔で閉じ込めた。

 もちろん、アリエラの行動はすぐに問題になったが、天使教会は、貴重な天使付きであり、聖女候補でもあるアリエラをかばった。信仰を広めるために使えなくても、異端狩りに使えると思ったからだ。

 だが、ある時、アリエラは天使騎士団の一人を消し去ってしまった。怒り狂う天使騎士団を教会は抑えることができず、とうとう彼女をかばうのをやめた。

 天使教会がアリエラを破門した瞬間、天使騎士団がアリエラを捕縛しようと、彼女の部屋に飛び込んだが、アリエラはもうどこにもいなかった。

 それから、天使騎士団はアリエラを秘密裏に手配にかけた。

《処刑聖女アリエラ》――それが、天使騎士団内がつけた、アリエラの呼び名だった。

 アリエラは逃亡を続けながら、自分の信仰を広めていった。異端者、不信心者、天使を利用しようとするものを裁き続けた。

 そして、旅の途中で大規模天使降臨の噂を聞き、この町へとやってきた。

 ここには、天使に関する何かがあるはずだ。

 素晴らしいものならば、それでよい。

 裁くべきものがいれば、するべきことをするだけだ。

 そして、アリエラはナオミに出会い、彼が魔術師であることを知る。

 優しい少年。でも、彼は魔術師。罪を犯した少年。

 罪を犯した者も、懺悔をすれば天使様が救ってくれる。

 他にも救うべき人々はいたが、まずナオミを救ってあげたかった。

 彼は、とても優しかったから。その恩を返さないといけない。

 きっと、天使様もそれを望んでいるはず。

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