第十二章
椿家にある自分の部屋から抜け出した伊武は、またも一人で町中を走り回っていた。
直巳やつばめは、伊武がいないことにすら、気づいてはいないだろう。
アイシャ達は気づいているのかもしれないが、特に何を言ってくるわけでもない。
伊武は夜の10時には眠りにつき、ピッタリ3時間で目を覚まして、家を出た。
目覚まし時計は使っていない。伊武は、自分の意志で好きな時間に目覚めることができる。
目が覚めた瞬間にベッドから出て、そのまま一切の音を立てずに家を出た。
30分ほど、自分なりに怪しいと思う場所を巡回して、途中、コンビニに寄った。先日、Aと出会った場所だ。
またAに会ったら嫌だなと思いつつ、前とは違う銘柄の炭酸水を買った。伊武は人並みに食事は作れるのだが、自分の飲食にたいして強いこだわりがない。必要な条件さえ満たしていれば、味や銘柄などは気にしなかった。
眠っていたからか、その後に動きまわっていたからか。渇いた体に炭酸水が染みこんでいくのが心地よかった。別に水でもいいのだが、伊武は最近、水の味に飽きていた。
炭酸水のペットボトルのキャップを外し、別々に分けてゴミ箱に捨てると、伊武は再び、巡回をはじめた。
その時、伊武の携帯が鳴った。
発信者の欄には、「A」と書いてある。
伊武は小さく舌打ちしてから電話に出た。
「……なに?」
「どうも。夜分遅く、ご苦労様です。今はどちらに?」
「……どこ、というわけでもない」
「そうですか。いつもどおり町中をうろついてるわけですね。なら、丁度良い。少し、気になる場所がありましてね。場所を送るので見にいってもらえませんか?」
「……何か、あったの?」
「ちょっと騒ぎがあったんですよ。もしかしたら、失踪事件に関係があるかと思いまして」
「……そう。わかった。見てみる」
「はい。応援が必要なら、呼んでください」
「……わかった」
「それでは、お気をつけて。上手くやれば、直巳様に褒めてもらえるかもしれま」
全てを聞き終る前に、伊武は電話を切った。
それから間を置かずに、Aからメールの着信がある。
メールを開くと、位置情報だけが記されており、他には何も、件名すら書いてなかった。
伊武は、「了解」とだけ書いて返信すると、その場所へと向かった。
走り続けて、10分ぐらいだろうか。そこには、人だかりがあり、警察も来ていた。
伊武が近くの人に話を聞いてみると、強盗があったらしい。
住んでいたのは天使教会の関係者で、どこにも姿が見えないという。
(当たり……かな)
伊武は、近くのマンションの屋上に行くと、携帯で地図を開いて辺りを見回した。
地図と実際の道を見比べてみる。
人の少ない道、多い道、明るい道、暗い道、車道、路地。追われる人間は、何も考えていなければ左に曲がり、明るい道を避ける。
今回の犯人はどうか。素人ならばセオリーどおり、プロ気取りなら裏をかき、プロならばどちらでもなく、最適な行動を選ぶ。
今回は事件が起きてからすぐに警察も来ているし、人だかりも出来ている。
(素人かな)
逃走経路どころか、犯行の段取り自体が甘すぎる。プロの仕業ではないだろう。
伊武は相手の逃走経路を推測すると、アブエルの力を借りて、マンションから飛び降りた。
それから、人に会わない道を選び、全力で走り続けた。人に会わない道を選んだのは、アブエルの力で、人ではあり得ない速度を出していたので、見られたくなかったからだ。
そして、伊武は大きな荷物を抱えて移動している集団を見つけた。
伊武は先回りをして、彼らの前に立ちはだかる。
相手は7人で、全員が男。人が入るぐらいの大きな袋をかついでいた。当たりだろう。
男達は、突然、立ちはだかった大きな女性の姿に驚き、立ち止まる。
しばらく、黙って対峙していると、一人の男が前に出てきた。
やたら派手な青いスーツを着た、軽薄そうな若い男だった。
「んー……何か用でも? 大きくて可愛らしいお嬢さん」
男が口を開く。喋り方も芝居がかっており、軽薄だった。
「……あなた達は……何をしているの?」
伊武が言うや否や、青いスーツの男が懐から短い棒を取り出して振ると、炎が放たれた。
魔術の炎のようだが、伊武は姿を消したままのアブエルを盾にして弾く。
青いスーツの男は驚くが、伊武にしてみたらなんてことはない。
これが魔術だろうがなんだろうが、火として恐ろしいものではない。
ちなみに、魔術で炎を出すのは、マンガなどでは良くみるが、現代の魔術師は好まない。
武器の乏しいファンタジー世界ならともかく、これだけ武器が溢れている世の中で、わざわざ魔術を使って、ただの炎を放つ意味がないからだ。これが火炎放射器並みの威力だとか、一発が何千度もある火球であるなら話は別だが。
伊武は相手を燃やしたければ、ガソリンやオイルをかけて、オイルライターを使う。それよりも効果的に相手が燃やせるなら、魔術も検討するけれど。
ただ、炎を出すというのは、魔術師ごっこがしたい素人には受けるので、魔術師は簡単に炎が出せる魔術具を作って売ることがある。とはいえ、無限に使用できるわけではないし、普通は魔力の補充をしなければならないので、効果の割には高くつくオモチャだ。
オイルならば、ライターの補充用のものがコンビニで買えるのにと、やはり伊武は思う。
伊武が炎を弾いて平然としていると、青いスーツの男は、「おー」と驚きの声をあげた。
「君、魔術師なの? 意外だね。こんな可愛い子が魔術師だなんて。色々大きいけど」
伊武は男の失礼な言葉には返事をせず、逆に男に問いかけた。
「あなたは……魔術師なの?」
伊武が聞くと、男は待っていたとばかりに語り出した。
「そう! 僕こと、高田陽治は魔術師であり、反天使同盟、「星の鷹」の盟主でもある!」
自分から素性をペラペラと話し始める高田。伊武は、やはり素人だと思った。魔術師は素性を隠す。魔術を追求する人間が目立っても、デメリットしかないからだ。
目立つ身なり、オモチャのような魔術具に、すぐにそのオモチャを使う思慮の浅さ。魔術師ごっこがしたいだけの、どこかの金持ちだろうなと、伊武は推測する。
伊武が黙っていると、高田は聞いてもいないのに、さらに続けた。
「僕の同名、「星の鷹」は立ち上げたばかりでね。今は仲間集めと、名前を売っている最中なんだよ。君、最近の失踪事件って知ってる?」
伊武は表情にこそ出さないが、心の中でにやりと笑った。
「……良く……知らないから……教えて欲しい」
伊武が素直にたずねると、高田は気を良くしたようで、得意気に話を続けた。
「あの失踪事件、実は魔術関係者ばかりが狙われてるって知ってる? 僕は、魔術師を勧誘しているんだけど、相手が断ったら、そのうち敵になるかもしれないわけで……邪魔でしょ? そういうこと」
高田は、伊武を怖がらせるためにニヤリと笑ったが、重みがなく、まったく怖くなかった。
「……魔術師や反天使同盟の人達はわかるけど……天使教会の神父も……誘ってるの?」
「ん? ああ、それは普通に、制裁っていうか? 天使教会の人間は全員、敵でしょ?」
高田は笑いながら話す。本当だろうか? ただ、天使教会の神父は魔術師というわけではないから、狙いやすいだろう。
他の同盟が迂闊に神父を狙わないのは、効果のわりにリスクが高いからだ。神父は社会的にも地位があるから、普通に警察が捜査を始めるし、天使教会からの恨みも買う。それに、神父を消しても、すぐに他の神父が来るだけだ。魔術師である必要がないということは、簡単に補充がきくということでもある。
それに、非魔術師を襲撃しても、魔術師としての名声は上がらない。
(リスクを考えずに名前を売るなら……安い名声でも欲しいなら……やるか……)
後先考えない反天使同盟ごっこなら――ごっこの域を超えているが、やるかもしれない。
「なら……そのバッグに入ってるのも……天使教会の人間?」
伊武が、後ろにいる男が持っているバッグを指さすと、高田はまた喜んだ。
「そう! そうなんだよ君! 彼は天使教会の神父でね! 僕の説得に応じなかったから、哀れにも失踪事件の被害者になるっていうわけさ!」
「……さらって……どうするの?」
「そのうち、声明を出したら解放するさ」
「殺しては……いないの?」
「殺してないさ。僕達は、これまでに一人も殺していない」
「何人ぐらい……さらったの?」
「それは秘密、だな」
高田は髪をかきあげ、格好つけながら言う。格好良くはない。ただむかつくだけだった。
伊武が無言で高田の言葉を整理していると、やはり高田が勝手に話し始めた。
「と、いうようにだね。僕らはすぐに有名になる反天使同盟というわけなんだ! 君も僕の同盟に入らないか? 魔術師として名を挙げようじゃないか。有名な魔術師になれば、みんなの憧れだ! それに、入らないと――わかるよね?」
高田はにっこりと笑って脅しをかけてくる。「笑顔で脅してくる怖い人物」を演じたいのだろうが、やはり重みがないので、端的に言って寒い。というか痛い。
伊武は高田と話しているだけで強いストレスを感じるので、そろそろ終わりにしたかった。
「……いくつか……質問に答えてもらいたい……答えてもらえれば……入る……かも」
「ん? なんだい? 何でも聞いてごらん?」
最後の、「かも」を聞き逃したのか、高田は上機嫌になった。
「次に狙っているターゲットとか……いれば……教えてほしい……その……大物とか……狙うなら……効果も大きいと思うし……」
もし、このターゲットに伊武や直巳、アイシャ達が入っていれば問題だ。このやり取りが冗談では済まなくなる。
そして、相手が次のターゲットを、「椿直巳」とでも言った場合には。
運命の分かれ道が待っているとも知らず、高田は伊武の質問を聞くと、手を叩いて喜んだ。
「いい質問だ! 君はわかってるね! 実は、良いターゲットがいるんだよ! 天使教会の人間なんだけどね!」
伊武は、少し警戒を解いた。どうやら、直巳や自分達ではないらしい。
「うん……それで?」
伊武が興味を示したふりをすると、高田はますます上機嫌で語り始める。
「この町に天使教会があるんだけど、この前の大規模天使降臨で壊れたんだよ。知ってる?」
知ってるも何も、伊武は当事者なので目の前で見ていたし、それを引き起こした張本人をこの世から消したのは、他ならぬ伊武だ。
「そう……なんだ……」
伊武が驚いたふり(感情表現が薄いのでそうは見えない)をすると、高田は少しだけ声を潜めた。
「その天使教会を再建しようと、外国から修道女と天使騎士がやってきてるんだよ。せっかく壊れたものをだよ? 生意気じゃない? だから、ちょっとお仕置きしてやろうと思って」
「……お仕置き? どんなの?」
高田は、さらに興奮しだした。誰かに聞いてもらいたくてしょうがなかったのだろう。声を潜めていたことも忘れている。
「天使教会を目茶苦茶に壊して、天使騎士を倒して、修道女を捕らえてさ。その様子をネットにアップして、一気に名前を売ろう! ってわけ。どう? これ、やばくない?」
「……やばいね」
ここまで後先考えない計画を思いつく、高田の頭がやばい。そんなことをすれば、天使教会と全面戦争になるだけではなく、卑怯者として有名になるだけだ。無名もよりも悪名、という言葉もあるが、高田がそこまで考えているとも思えない。
「やばいでしょ!? なら、君も入るよね! 今なら幹部候補になれるよ! 動画アップしてからだと、入団希望者が増えるからね! 初期メンバーになるチャンスは今!」
本当に自分の行為が認められ、反天使同盟としての名が上がると信じているらしい。伊武も昔は反天使同盟に参加していた。その時、同盟がどれだけ辛い思いをして、必死で悲惨な戦いをしていたかを思い出すと、高田の考えはあまりにも浅く、醜い。
「……断る……それじゃあ……」
伊武が感情を押し殺して立ち去ろうとするが、高田は見逃さなかった。
「待てよ。君、入るって言ったよね? なめてるの?」
さすがの高田も、伊武の態度が気に障ったらしく、声に怒気が含まれている。
伊武が、どうしたものかと黙り込んでいると、高田はさらに責めてきた。
「ねえ、ここまで聞いておいて帰れると思ってるの? いいから、仲間になれ――」
高田が言い終わる前に、伊武は飛びかかった。
切れているのではない。高田の相手をするのが面倒くさくなったのだ。
「な、何をするっ!」
怯える高田を無視して、後ろにいた男の一人をねじふせる。難しいことはしない。男の顔を掴んで地面に叩きつけ、文字通りにねじ伏せた。
「てめえ!」「やろう!」「殺す!」
伊武が、「おはよう」よりも良く聞く言葉を耳にすると、男達は懐からナイフや警棒を取り出し、伊武を囲む。魔術師かどうかはともかく、ケンカ慣れはしているようだった。
(ああ、よかった)
伊武は相手が向かってきてくれることを、心から喜んだ。
なんというか、そちらの方がやりやすい。色々と。
伊武は人造天使アブエルも、アブエルに突き刺して隠してある、妖剣フリアエも使うつもりはなかった。代わりに武器になるようなものがないか、当たりを見回す。
(あった)
伊武が武器を手に取ろうとすると、男の一人が襲いかかってきた。折りたたみ式のナイフで斬りかかってくる。
「死ね!」
そんな小さなナイフで切りつけたぐらいじゃ、死にたくも死ねないのに。せめて刺せばいいのに、などと思いつつ、伊武は武器を手にとると、男に向かって叩きつけた。
「ぐぁっ!」
頭に直撃を食らった男は、妙な声をあげて気絶する。
「こ、こいつ……何してんだ!?」
警棒を持った男が驚きの声をあげる。
警棒。なんと小さく、軽く、細く、平和的な武器か。
そんなものでは、伊武の持っているビッグスクーターを受け止められない。
伊武は面倒くさくなって、人のいるあたりめがけて、ビッグスクーターを振り回した。
ナイフも警棒も問題にせず、ビッグスクーターが男達をなぎ倒していく。
「ば、ばけもんか! こいつ!」
男の一人が腰を抜かして、地面に座り込む。
「そこまでだっ! 食らえ!」
伊武が耳障りな声のした方を向くと、高田が両手にそれぞれ杖を持っていた。
「君は少し、調子に乗りすぎたね!」
高田の持つ2本の杖から、炎と氷が飛び出して、伊武に襲いかかってくる。
伊武はビッグスクーターを盾にしたが、炎も氷も、回り込んで伊武の背中に直撃した。
「どうだ! 魔術師をなめるからこうなるんだよ!」
高田が自慢げに言うが、伊武にダメージらしきダメージはない。炎は熱いだけだし、氷の塊は痛いだけで、伊武はそれぐらいで動きを止めることはない。
ただ、炎と氷を同時に出してきたこと、それらを操って伊武に直撃させたことには、さすがに少し驚いた。高田には魔術の素養があるのかもしれない。
「どうした!? 降伏するなら今のうちだよ!」
しかし、どんなに素養があろうと、今の高田は雑魚でしかない。
さすがの伊武も、こんな奴を相手にするのかと、すっかり冷めてしまっていた。
そして、冷静になった伊武は異臭に気がつく。
ほんのわずかに、何かが燃えたような匂いがする。嗅覚の鋭い伊武だからわかった。
(背中の方から? 髪の毛でも燃えた?)
そして、伊武は異臭の原因に気が付くと、顔からサッと血の気が引いた。
お尻のポケットにしまっておいた手袋――つばめからもらった手袋が焦げていた。
先ほど、高田の放った炎のせいだろう。手袋は毛糸なので、非常に燃えやすい。
焦げて穴の空いた手袋を見ると、冷めていた伊武に一気に火が入った。
「――手袋が――つばめさんに――もらった――手袋がっっ!」
それからは、悲惨な光景だった。
死人が出なかったのは、伊武にギリギリ、「殺したら面倒」という意識が残っていたためなのか、彼らの運が良かっただけなのかはわからない。
ただ、気がついた時には全員が血の海に沈んでいた。
高田だけは、知らない間に逃げ出していた。
倒れた男達の中に、大きなカバンが転がっていたので開けてみる。
中には、中年の男性が目隠しと猿ぐつわをされて入っていた。
カバンが開けられたのを知ると、男はうーうーとうなりだす。
生きていることを確認すると、それ以上は興味がないのか、伊武は再びカバンを閉じた。そのうち、誰かが見つけるだろう。
暴れすぎたせいか、遠くからサイレンの音が聞こえてくる。
伊武が急いでその場を立ち去ろうとすると、向こうから小さな人影がやってきた。
メイド服を着た少女は、伊武を見つけると、手につけた人形の口をパクパクと動かした。
「げろげろ……にゃー」
「……B? え……B?」
さすがの伊武も驚きを隠せない。なぜ、Bがここにいるのか。
「B……何してるの?」
伊武がしゃがんで、Bに目線を合わせて話しかける。
「おー? ……あ、かみ」
Bは何かを思いだしたように、ポケットから一枚の紙を出して伊武に渡した。
伊武はそれを奪うように受け取って目を通す。
「念のため、援軍としてBを行かせます Aより」
伊武は紙を握り潰すと、ポケットにねじ込んだ。
たしかに、敵に苦戦していたら、Bは戦力になる。Aもよかれと思ってやったのだろう。しかし、結果的には子供を連れて逃走をすることになるだけだった。
「わかった……いこう……急いで……」
サイレンの音が近づいてくる。伊武は走ってその場を去ろうとした。
「……お?」
Bはよくわかっていないのか、いつもの速度で歩いている。子供が普通に歩く速度と、なんら変わらない。
「ああっ……もうっ……!」
伊武はくしゃくしゃと頭をかきむしってから、Bを小脇に抱えて全力で走った。
Bは楽しそうだったが、家に着いた途端、乗り物酔いで吐いた。
伊武は汚れたBをAに任せて、風呂に入ることにした。
その間に直巳とアイシャ達をリビングに呼んでおくよう、Aに頼んである。
あまり時間はかけられないが、汗や血は落としておきたい。
それに、抱えていたBが滝のように吐いたので、何となく気持ち悪い。
ちなみに、先ほどの吐瀉物は鮮やかな緑色だった。前回はオレンジ色である。
何をどうしたら緑色になるのか。Aに聞いたところ、Bは夕食にアボカドだけ20個食べたらしい。
「……疲れた」
伊武は高田との戦いより、Bの相手で疲れていた。
伊武が湯船から出ようかと思っていると、Aが風呂の扉を無遠慮に開けた。
「希衣様。ついでに、これも洗っておいてください」
Aは扉の隙間から、素っ裸のBを放り込んで、去っていった。
「お……? まれー……」
Bは伊武と一緒に湯船に入ろうと思ったのか、浴槽をよじ登ると、豪快に頭から湯船に落ちた。
伊武は、目の前で逆さになったままピクリとも動かないBを見て、がっくりとうなだれた。




