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戦場としての職場
工場で作業をするということはここでは生命の危険性がいつも付きまとっている。
工員の中にはスベルニコフを快く思っていない者も少なからずいることはわかっていた。つい最近にもスベルニコフが新たに導入した作業を自身で体験しようとして事故が起きた。
作業中の一人の工員が故意にスベルニコフを狙って掘削機を動かしたためである。彼は間一髪ズタズタに引き裂かれる前に逃れて命拾いをしたがかすり傷を負ってはいた。その工員は自分は知らなかったと自分の非を最後まで認めようとしなかったが、翌朝に銃殺された。
敵がいつ自分の命を狙っているのかもわからないこの工場はすでに戦場であるとスベルニコフは思っている。そして、戦場という場所では緊張感を欠いた者には次の瞬間に死が用意されている。