赤色工場将校

プロローグ

今日、工場で一つの事件が起きた。

命令を無視して職場放棄して逃走した工員がフェンスをよじ登って射殺された。

集会場に集まっていた工員は暗い顔をしていた。

一人が、あいつは確かにここに来たときすでに頭がおかしくなっていたが殺すことはないのにと破棄捨てるように言った。

職場にもどるサイレンが鳴っている。でも集会場から誰も動こうとしなかった。

すぐに銃を持った兵士が集会場に入ってくると工員らに職場に戻るように命令した。

兵士と工員の間で口争いが起きて騒然とした雰囲気となった。

騒然としていた工員たちが突然おとなしくなった。

集会場の入り口に一人の男が立っている。

工員たちは男を恐れているのか静かになったようだ。

この男は工場施設の全権を当局より委任されているスベルニコフという赤色工場将校である。

スベルニコフが職場に戻れと言うと工員たちがすんなりと指示に従って作業を開始した。

そして今日も一日が始まる。