第87話
お久しぶりでございます。
うーん、ちょっと悩んでます。
まだしばらくお付き合い下さいませ。
<66日目①>
「申し訳ございませんでしたあっ!!!!」
翌朝。
サルファスの街、御宿【高天原】では、カブトと十二神将の皆さんがミヤビさんに土下座していた。
皇国の伝統的謝罪法DO・GE・ZAである。
「その見事な土下座に免じて許したるわ。ただし、これまでのツケは払うてもらうで!」
「ははぁ~っ!」
何というか、印籠が出された時の悪役のようだ。
無駄に上げた税金やら何やらを全て元通りにし、これまで通り四大都市並びに王都を優秀な官僚NPCに任せる設定に直す。
ついでに、各都市や街道の整備計画や、ミヤビさんと私で進めている稲作計画の労働力としてしばらく強制労働の刑に処すことになっている。
「つーか、ハーレムとか言っときながら、誰にも手ぇ出してへんとかどんだけヘタレやねん。」
「う、うるさい! 無理矢理とかオレには無理だ!」
顔が真っ赤だ。
意外と純情だったようだ。
というか、さすが童帝であるw
「案外カブト様は、ハーレムのNPC達には好かれているんですよ。脳筋っぷりが子どもっぽくて可愛いと・・・」
「うるさい、だまれ!」
「いつも秋波を送られてオロオロしてるよな、カブト様。」
「うるさいって言ってるだろ!」
「なんや、可愛いとこあるやんか、カブト。」
からかうような笑みを向けるミヤビさん。
うむ。
脳筋たるものこうでなくちゃw
「無理矢理やなかったら別に幸せになってくれてええんやで?」
「お、おう・・・」
「どうせこっちの世界に永住するつもりなんやろ?」
あ、そうだった。その辺についてカブトに説明しておかなくちゃ。
かくかくしかじか。
「なるほど・・・。そうだったのか・・・」
「おい。」
とりあえずツッコミいれとかないと・・・。
そんなことも考えつかなかったのかしら。
「いや、チュートリアルのメッセージは聞き流してたから・・・」
「だとは思ったけどね。でも、分かってくれた?」
「ああ。クリアしてもこの世界は普通に皇国と繋がってるんだな?」
「そういうこと。だから、クリアしないって選択肢は別に選ぶ必要ないのよ。私たちがハイエスを倒せば、この世界は皇国と繋がって交流が始まることになるの。その時、皇国側の都合のいいようにこの世界が搾取されないように、私たち【適合者】はこの世界と皇国の架け橋になるべきだと思うわ。」
遙か昔に先進諸国と言われた国々が植民地で行ってきたことを考えれば、一方的な搾取というのはあり得る話。
この世界は現実にこの世界の住人が生きている世界なのだから、きちんとした国交を樹立するべきだと私は思うのよね。
まぁ、皇国人だから、皇国側に有利であれとは思うんだけど。
別に博愛主義、平等主義を掲げるつもりはないから。
「貴方のハーレム要員だって、きちんとした処遇をしてあげたいでしょ?」
「もちろんだ!」
「であれば、なおさらよ。きちんとクリアして、正しい国交を樹立しなくちゃ。」
「確かにその通りだな!」
うんうんと頷いているカブト。
ホントに分かってるのかな・・・。
「だからね、このままとりあえず王様でいなさいよ。」
「うむ、わかっ・・・た?」
「その方がクリアした後は都合がいいと思うのよね、皇国の好きなようにさせないためにも。一定の権利を主張できるし。私たちの平穏な生活を奪ってくれちゃった皇国に仕返しする意味でもね。」
最悪、賛同してくれる適合者を集めて一戦やらかしたっていいんだし。
ハイエスに繋がせるゲートのサイズによっては、魔法っていう埒外の攻撃手段を持つ私たちの方が有利かも知れない。近代兵器を持ち込まれると難しいかも知れないけど、これまでの感覚的には銃器や個人携行兵器には勝てる気がするし・・・。
「だから、最終的には四大陸の王様はプレイヤーになって欲しいのよね。もしくは、新しいプレイヤーの国を作って、四大陸を支配下に置くなり同盟を組むなり。」
「そんなことまで考えていたのか・・・」
「カグヤ、恐ろしい子・・・」
あれ、なんでカブトやミヤビさんにどん引きされなくちゃいけないのん?
この世界のことをこんなに真摯に考えてあげてるのにw
「何にしても、クリアしない選択肢はないわけよ。」
「うむ、それは分かったぞ。」
「それなら結構。とりあえず、私たちは【世界迷宮】制覇とレアクエスト攻略に精を出すから、ミヤビさん達には稲作を軌道に乗せてもらいましょう。」
「了解や。戦闘は任せるわ。そんかわり、戦闘以外は任しとき!」
どんと胸を叩いてウィンクするミヤビさん。
「レジスタンスや十二神将以下カブト組のみんなには、南方大陸の詳細な調査やノーマルクエストの攻略、それに情報収集をお願いしたいの。特に上位のみんなはクエスト攻略やダンジョンでレベル上げに勤しんで貰って、攻略組の一員として働いて貰うわ。」
そこで一度言葉を切って、みんなを見る。
「立ち止まることは無意味。力を合わせて攻略に精を出しましょう!」
「おおーっ!」
たいしたわだかまりもなかったことで、和解はすんなりと成立した。
カブトも、脳筋らしくバカはやらかしても陰湿なことはしてこなかったのが幸いして、土下座一発で済んだようだ。
「カブトは今までの罰として、私たちと一緒に【世界迷宮】攻略に付き合って貰うわよ。主に壁役&ファンネルとしてね!」
「露骨だな、オイ!」
「大丈夫よ。死なないように回復はしてあげるから!」
「そんなドヤ顔いらねえよ!!」
オチ要因確保ですよ!
「ご主人様・・・。こんなバカを本気で使うつもりですか?」
「いいのよ、レア。オチ要因だから!」
「やっぱりかよ!?」
「勿論でしょ。ま、仮にも【完全適合者】なんだから戦力としては期待してるのよ? いざというときは二正面作戦が展開できるわけだし・・・」
っていうか、明らかに前衛過多のパーティよね。
私とレアが魔法型だから分かれるとして、オルとカブトが完全前衛型よね。リィとアディが中衛だけど、さすがに差が激しいか。
最大の問題は、レアが私と分かれてくれるかどうかよねぇ・・・。
カブト・リィ・私。
オル・アディ・レア。
分かれるとすればこれしかないかぁ。
ただし、【世界迷宮】のクリア特典のためにも、クリア時には私がそこにいないと勿体ないので、迷宮内で分かれる時のみのパーティ分離ね。
「さて、それじゃあ早速【世界迷宮】攻略と行きましょうか。」
「今からか、主殿よ?」
「ええ。まだ午前中だしね。トリンにいくかペルルにいくかだけど・・・」
トリンは【帰らずの森】の奥深く。
ペルルは【不毛の山脈】の山中って言ってたっけ。
「探す手間もあるし、先にトリンの方から攻めますかねぇ。」
「カグヤが決めた方に僕らは着いていくよ。」
「そうだね~。リィもそれでいいと思うよ~」
「よし、じゃあそうしよう。ねぇ、ミヤビさん、トリンには街とか村はあるの?」
「一応あるで。森深くに入りこまな危険はないし。確か、猿人族のそこそこでかい集落があるはずや。」
猿人族ね。
「一応、王様のカブトもいるさかい、それなりに対応してくれるんちゃうかな。カブトもわざわざ島の猿人族にまでちょっかいかけとらんやろ?」
「当然だ。」
「それやったら、悪い噂も大して届いとらんやろからな。」
了解了解。
サルファスからトリンまで直線距離で大体1200kmくらいだそうだ。
「アディ、頼める?」
「勿論じゃよ、主殿。妾は主殿の【使い魔】ぞ?」
「それはそうなんだけどね。気分良くやってきたいじゃない?」
「まぁ、そこが主殿の良い所よな。なに、ひとっ飛びじゃ!」
平らな胸を叩いて請け合うアディ。
可愛いなぁ。
サルファスの街でちょっとだけ準備を整えると、新しくオチ要員のカブトを加えた私たちパーティは、トリン島へ飛び立った。
さっさと【世界迷宮】攻略しちゃうんだからね!
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