第40話
年度替わりで少々忙しく・・・。
<44日目>
何という快適な目覚め!
上質なベッドとマットレスとお布団でこんなに睡眠の質が変わるなんて。
階下に降りると、オルがすでに目を覚まして朝食を作ってくれていた。
なんて出来た子なのかしら。
「カグヤ、パンとサラダとスープでいい?」
「何でも良いわ。オルが作ってくれたんだからご馳走になるわね。」
「もうすぐ出来るから、顔でも洗ってきたらどう?」
オルの言う通り、とりあえず顔でも洗ってこよう・・・。
・・・というわけでやってきました浴室へ。
昨日は作っただけで何も出来なかったので、早速使ってみることにしました。
朝風呂って、素晴らしい皇国文化ですよね。
魔道具を起動すると、あっという間に風呂桶に水が満ちる。
続けて温度を調節して適温に。
温度計も欲しいなぁ。
脱衣所で服を脱ぐと、タオルを持って浴室へ。
体の隅々までチェック・・・と思ったけど、鏡がないことに気がついた。
今度作って設置しておこう。
ボディチェックは年頃の女の子には大事なことなんですよ。
お湯を手桶に汲み、肩から浴びる。
「気持ちいい~♪」
ザブンと風呂に飛び込むと、肩まですっぽりとお湯につかる。
「極楽じゃあ・・・」
タオルで顔をぬぐうと、眠気の残滓が振り払われる。
気持ちよすぎて出られなくなりそうなので、それはそれで困ったものだ。
入浴剤的なものを開発する必要があるわ。
血行促進、お肌に効きますっていう!
ガラガラッと音がして、突然浴室の引き戸が開けられる。
「何をしておるのか、主殿!!」
「なんだ、アディか・・・。一緒に入る?」
「うむ、入るぞ!」
一糸まとわぬロリお嬢が浴室に飛び込んでくると、お湯にダイブ。
ザバーッとお湯が勢いよくあふれ出てしまった。
お湯はともかく滑って転んでも知らないぞ?
「アディ・・・。外見に合わせて行動が子どもっぽすぎじゃない?」
「よいではないか、よいではないか。温泉とは良い趣味をしておるのう。」
「正確には温泉じゃないけど、まぁいいか。アディは温泉は?」
「封印前はよく温泉まで飛んでいったものじゃよ。南方大陸に良い温泉が湧く山があってのう・・・」
湯船で手足を思いっきり伸ばしたまま、気持ちよさそうに目を閉じるアディ。
未成熟な肢体から醸し出されるアンバランスな色香・・・。
目に毒だわ・・・。
というか、少しは隠すとか慎みは必要だと思うのよ、年頃乙女としては。
ゆっくりとお風呂を二人で楽しんだ。
「さ、そろそろ上がりましょ。オルがご飯作って待ってるし。ここならいつでも入れるからね。」
「うむ。名残惜しいが、また今度ということにしておくかのう。」
二人で湯船から出ると、お湯を抜いて換気扇を起動。
新しい下着と服が湯上がりの体に張り付いて、少し気持ち悪いけど。
私とリィ、オル、アディ、そして小型化したルー君で揃って朝食を取る。
大きめのテーブルにしておいて良かったわ。
みんなでご飯を食べることも出来るし、宴会だって出来るしね!
食事を終えると、軽く後片付けをしてフィールズさんの所へ。
この時点で既に午前9時を回っていた。
朝風呂で余計な時間を取ったかな?
でも、すっごく気持ちよかったので問題ない。
ついでに言うと、水洗トイレも十分満足の出来上がりでした。さすがにウォシュレットは・・・無理かな・・・。
「おっはよーございまーす!」
「お、きたきた。おはようさん。二階上がってくれい。」
二階に上がって、事務所ではなく応接室に通される。
珈琲が出てきたので、大人ぶって飲んでみるが、苦いものは苦いのです。ミルクをたっぷり入れてほっと一息。
「待たせちまったな。リィとオルはともかく、そのちっちゃい嬢ちゃんは?」
「この子はアディス。詳しいことは後でね。」
「分かった。じゃあ、早速本題に入らせて貰おうか。今のところオレ達が入手しているスーパーレア素材の手に入りそうなクエスト情報をあんたに教えておく。行けそうな所から順次回って行ってくれるとありがたいな。」
フィールズさん曰く、伝説やおとぎ話としてクエスト情報が語られていることがあるのだという。ギルドに現れることのない情報入手によって開始されるレアクエストなんだそうだ。
東の果ての島に住むという巨大な亀。
西の海底に眠る海底神殿。
南の海を泳ぎ、船を襲う巨大な鮫。
北の海に現れるという巨大な海蛇竜。
雷雲と共に現れる空飛ぶ島。
北の山に住むという異界の賢者。
湖の底に封印された古代の竜。
ん・・・?
一番最後の、どこかで聞いたような話よね。
「ねぇ、社長。」
「どうした?」
「最後の『湖の底に封印された古代の竜』って、黒竜じゃない?」
「お、知ってるのか。どこかでクエスト情報手に入れてたのか?」
思わず顔を見合わせてしまう私とアディ。
私はポーチから、夕べアディからもらい受けた素材をフィールズさんに見せる。
「お、おい。そいつはもしかして・・・」
「ご明察。【黒竜の呪爪】に【黒竜の堅鱗】、【黒竜の災角】よ。もともと今日は、これで装備を作ってもらおうと思っていたの。」
禍々しい魔力を帯びたそれらの素材をテーブルの上に並べる。
「もう、クエストを完了させてたのか・・・。さすがだな!」
「完了というか何というか・・・。多分運営側の思惑通りでは無いと思うわ・・・。」
早速装備品を作成してもらうことにした。
店の裏手にあるもう一軒の建物が、全て工房になっているのだという。
泥棒にでも入られたら困るんじゃないかと言ってみたら、24時間体制で警備されているし、本気でレアな素材や品物は、ギルドメンバーのポーチに収納されているので問題ないと言うことだった。みんなちゃんと考えてるのね。
でも、後で家と同じような防御魔法掛けといてあげようっと。
「足りない素材はオレらが補うんで、どんな装備が良いか言ってくれ。作成装備に一番適したメンバーが素材を使わせて貰うってことで頼むぜ。」
「了解よ。現段階で一番良いものを作ってもらいたいから願ったり叶ったりよ。」
まずは武器。
ブルースチルテイルをベースにした片手剣。それとセットの小剣というか、小太刀的なものを作ってもらうことにする。せっかくスキルがあるので【二刀流】できるようにしたいので。
「じゃあ、オレだな!」
武器担当のグレンさん。刀剣類作成の専門スキル持ちだそうだ。長物武器作成の専門スキル持ちのラヴァさんが地団駄踏んでいた。ごめんね。
というわけで、出来上がったのがコレ。
武器名:【黒竜爪牙】
OBJ属性:専門生産アイテム
生産ランク:9
種 別:片手剣
属 性:水属性、闇属性
パラメータ上昇:ATK:+120 AGI:+15 VIT:+10
耐久値:900/900
付加スキル①:【恐怖攻撃 LV10】【混乱攻撃 LV10】【毒攻撃 LV10】
付加スキル②:【斬鉄】
付加スキル③:【黒の帳】
テキスト:【宵闇の災厄】と畏れられた古代の黒竜の爪と牙から作られた一対の剣。鉄をも易々と切り裂き、攻撃を受けた者を恐怖に陥れる。
ううん、さすが伝説の黒竜素材。桁違いだわ~。
次は防具各種。
まずは体装備から行こうかしらね。
せっかくアディの素材なので、おそろいのゴスロリ風ワンピースとかにしようかしら。
「じゃあ、私ね!!」
防具担当のクレアさんか挙手。縫製マイスターで、セット服作成の専門スキル持ち。
金属鎧作成担当のスレッガーさんが男泣きしていた。ごめんね。
ここで問題発生。鱗を鱗糸にするのはいいのだが、【黒竜の暗紅血】が足りないことが発覚。どうも染色に必要なようだ。
仕方ないなぁ・・・。
「アディ・・・。頼める?」
「無論だ、主殿よ。夕べも言うたはずじゃぞ、遠慮は無用だと?」
アディが自ら鱗糸の上にその細腕をかざすと、自らの爪で手首を切り裂き、鮮血を溢れさせる。
「ちょ、ちょっと!?」
「素材が必要なのであろ? すぐに済むから黙っておれ。」
必要な分だけ血を流すと、すぐに傷は塞がった。
「ど、どういうこと・・・。必要な素材になってる・・・?」
「え、それってつまり・・・!?」
仕方ないので簡単にだけど説明してあげる。
偶然ではあったが、レアクエストは完了しており、しかもその伝説の黒竜が今は【使い魔】としてここにいると。そして、その黒竜の人間変身した姿がアディだと。
「う、うそ・・・」
「伝説の黒竜・・・。【宵闇の災厄】アディス!?」
「だからアディなのか・・・。凄すぎる。」
一同絶句。
普通そうなるわよね。慣れてもらうしかないわね、こればっかりは。
そんな騒動はとりあえず置いておいて、出来上がったのがこれ。
体装備:【暗紅鱗糸のワンピース】
OBJ属性:専門生産アイテム
生産ランク:9
種 別:体装備
属 性:闇属性
パラメータ上昇:DEF:+105 AGI:+20 VIT:+20 MEN:+20
付加スキル①:【状態異常耐性 LV10】
付加スキル②:【ダメージ減少 LV6(-30%)】
付加スキル③:【炎熱耐性】【寒冷耐性】
付加スキル④:【闇の帳】【黒竜の威圧】
テキスト:【宵闇の災厄】と畏れられた古代の黒竜の鱗を糸状にし、その血で染め上げた布で織ったワンピース。美しいデザインとは裏腹に凄まじい防御効果を発揮する。見る者を畏れさせずにはいられない・・・。
漆黒を基調として、所々に暗紅色をアクセントとして配置したノースリーブのミニワンピ。
なんて可愛い・・・。
リボンは【精霊銀糸】で織り上げた白銀色のリボン。厨二的ゴスロリ風です!
「GJです、クレアさん!!」
「そう言って貰えて嬉しいわ。しかもスキルレベルアップよ~♪」
激レア素材って素晴らしいですね。熟練度の入りがハンパないらしい。
次は、この流れで行くと足下よね。
出来れば編み上げ的なロングブーツがいいわよね。
「ということは、オレの出番だな!!」
意気揚々と声を上げたのは、皮革製品マイスターで【靴職人】の専門スキル持ち、ブレーメンさん。ブレーメンさんには対抗馬がいないらしく、みんなが羨ましそうな眼で見ているだけだった。
暗紅鱗糸と精霊銀、そして【黒竜の災角】を使い、キックの攻撃力もプラス。
そして、出来上がったのがこれ。
防具名:【暗紅鱗糸のブーツ】
OBJ属性:専門生産アイテム
生産ランク:9
種 別:足装備
属 性:闇属性
パラメータ上昇:ATK:+60 DEF:+80 AGI:+30 VIT:+20 MEN:+20
付加スキル①:【状態異常耐性 LV10】
付加スキル②:【ダメージ減少 LV4(-20%)】
付加スキル③:【炎熱耐性】【寒冷耐性】
付加スキル④:【闇の帳】
テキスト:【宵闇の災厄】と畏れられた古代の黒竜の鱗を糸状にし、その血で染め上げた鱗糸を高密度に織りあげたブーツ。靴底とつま先に【黒竜の災角】を削り出して使用し、物理攻撃力も高めた逸品。
コレで蹴撃のダメージもバッチリね!
足を見せないようにストッキングとかウルトラオーバーニーとか欲しいわね・・・。
防具じゃないから、自分で作っても良いかぁ。
ここでアディから貰い受けた素材が切れてしまったので、防具作成会は終了。
角が結構余ってしまったので、精霊銀と災角を使って、オルに持たせる長槍を作ってもらうことにした。
「オレの時代!!」
片手剣で泣きを見たラヴァさん復活。長物武器の専門スキル持ちだから、槍を作ってもらうには最適な人材でしょう。
出来上がったのはこれ。
武器名:【宵闇の災禍槍】
OBJ属性:専門生産アイテム
生産ランク:9
種 別:両手武器(長槍)
属 性:闇属性
パラメータ上昇:ATK:+120 DEF:+20 AGI:+20 VIT:+20
耐久値:1000/1000
付加スキル①:【恐怖攻撃 LV10】【混乱攻撃 LV10】【麻痺攻撃 LV10】
付加スキル②:【斬鉄】
付加スキル③:【貫通】
付加スキル④:【闇の帳】
テキスト:【宵闇の災厄】と畏れられた古代の黒竜の角から作られた長槍。鉄をも易々と貫き、攻撃を受けた者を恐怖に縛る。
凄まじいな、ホントに。
それだけアディの素材が優れているってことなんだけど。
500年前の全盛期の強さを早く取り戻させてあげなくっちゃだわ。
「皆さん、どうもありがとうございました。一気に装備品が強化されましたよ。」
「いやいや、こっちこそすげえ熟練度入ったわ。たまらんっす。」
持ちつ持たれつと言うことで。
お主も悪よのうw
「じゃあ、新しい装備も手に入ったことだし、早速レアクエスト攻略に向かうとしますかねぇ。どれから行こうかしら・・・。」
よりどりみどりだからね・・・。
まだ行ったことのない方面を狙って行くなら、東の島か北の山よね。
うーん、とりあえず東の島のカメさん狙ってみるとしますか。
「東のカメさん探しに行ってみますよ。東の方にはまだ行ったことないですし。リーフ伯国の都【カント】見物がてらハンティングしてきます♪」
「そっか。気をつけてな。なんせレアクエストだからな。」
「はい。吉報をお待ち下さい。」
リーフ伯国の都【カント】までは大体900km程。飛行魔法で8時間弱ってとこかしらね。さすがに一気に行くのは大変よね。
とりあえず、ステムで今日は一泊して、明日一気に向かうことにしようかしら。
どんだけでっかいカメさんなのか気になるわね。
【44日目を終了します。現在のカグヤのステータスは以下の通りです。】
名前:カグヤ 種族:人間 性別:女 年齢:15歳
レベル:204HP:509(580) MP:550(871)
STR:501(502)
AGI:491(607)
DEX:493(494)
INT:535(836)
VIT:478(549)
MEN:504(785)
LUC:470(571)
所持称号:完全適合者・魔術の深淵を求める者・妖精女王に祝福されし者・冒険者
蒼の祝福・スキルマスターLV2・命を刈り取る者・金の祝福・宵闇の主
所持二つ名:無限の魔導姫
いつも読んで下さっている皆様ありがとうございますm(_ _)m




