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お嬢様について その31

※華道のセリフの出典未生流よりhttp://www.misho-ryu.com/japan-index.htm

「ヒノエお嬢様、肩を抜いて背を伸ばす」


華道のお稽古中だ。

何か力が籠っている目線で剣山を見つめていた。


「ではおさらいから、古典花を格花と呼び、天円地方の合体した直角二等辺三角形に天・地・人の三つの枝を配して自然と人間の調和した、秩序をもった草木のあるべき姿によって和の美を表わします。立った三角形に枝を配する縦姿と、横の三角形に構成する横姿があり、またその組合せで均衡のおもしろさや、特定の景観、景趣を見せることができます。基準になる花形は、三才格で、天・地・人の三才の格法で構成され、天はたい、人はよう、地はとめの名で呼ばれます。三才格に相生あいおいひかえを加えて五行格に発展します。

主位と客位は、右に明かり口のある上座床には用が右となる客位の花、左に明かり口のある下座床には用が左となる主位の花を飾ります※

ヒノエお嬢様、聞いていらっしゃいますか?」


柏木には何か鬼気迫る気配にも見え少し不審に思っている。

もちろん、このようなことは稽古中今まであまりなかった為だが、何か集中しているお嬢様を見るのは稀だった。

一本の松の枝木を剣山に勢いよく刺し、しばらくの間全くと言っていいほど動きが無かった。




「何をしてるんですか?」

「ああ、柊か」

渡は、稽古が行われている部屋の廊下にて待機をしていた。

「ああ、今中で稽古中だが、終了時刻をすでに過ぎているが出て来んのだ」

「珍しいですね」

「ああ」








「イノリ、暇」

ランチャは、完全にペイント弾の事で頭がいっぱい、ヴィートとこのリビングを後にしていた。


「仕方ないでしょ、今日でなくてもよいなら別の日にしたらいいわ」

リビングにてイノリは書類の整理や今後の教育内容実地について検討を重ねている。

イノリは以前暗殺部隊の隊長、部下も300名程抱えていた。

軍隊の様な構図が取られており、イノリがヒノエの許へ移動すると同時に300名程の部下も移動していた。

何名か彼女の側近も存在し、この別邸に行き来することとなった。

1番隊には劣るものの、団体としての戦力はかなりのものだった。

組織力、彼女の部隊の力だ。

そして、ほぼ女性がその実権を握るという珍しい部隊た。

「リサ、頼んでおいた調べは付いたかしら」

「はい、こちらに」

一通の書類を指しだしたリサは少し緊張しているようだった。

おもむろに手に取り書類を開封する。

「……!!!」


一息付き、イノリはリサにもう一度解く。

「これは、確かなスジからなの?」

「はい、お嬢様のお遊びにて証拠もそろっております」

「……そう」

開封と同時に書類は火の中に消えた。



「どうしたの?」

考え込んだようなイノリにそう言った。

「いえ、後で話すわ」

「ふーん、わかった。…まあいいけど、席外す」

「ありがとう」

「いーえー」


リサとイノリは、長年ボスと側近の関係だ。

以前は友人だったこともある。

他の側近も数名存在するがプライベートまで入り込んでいる者は数えるほどしか存在しない。

灰色の長いストレートの髪を揺らし、黒ぶちの眼鏡には軽く色が入り表情を見ることは出来ない。


イノリは、自身の赤い爪を見つめ再度問う。

「コレ、元を辿った証拠ってあるのかしら?」

「いいえ、そのまでの裏はとれてないケド、可能性は存在するってことみたいね」

「そう、……リサ裏を洗って。たぶんボスも勘付いてるんでしょうね」

「まだ、わかりませんが、騒ぎの報告は済んでいますので動いている可能性はあるわ」

リサは静かにリビングを後にした。


「わたしは、バレルのドンの長子であの子の補佐。それに間違いはないわ」

イノリは真っすぐ前を見据えていた。

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