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お嬢様について その16

(凄い人)


ヒノエは、柊に連れられて会合が行われる巨大なホールにいた。


「お嬢様、大丈夫ですか?」


「はい、少しここは空気が悪いように思いますが…」


「ヒノエじゃない」

その声に私はゆっくり振り返る。











会合は始まってからしばらくの時が経っていた。

ファミリーのほぼ全員が参加する予定になっている。

会合は普段より人数が多く、もちろん、バレルファミリーは巨大だ。

他のファミリーからの監視の目もあった。

大ホールには、多くの目がチラついている。


「今から、バレルファミリーのドンであるダンから挨拶がある」

進行役からの一声が、周りの静けさを誘った。




歳を重ね凄みと威厳を増したファミリーのドンが、ホール中央に立った。


「次にバレル島を納めるものを決めたので報告しておく」


急に場から音が消えた。


「次期代表は、ヒノエ・ハリウェル・バレルとする」


一瞬の沈黙の後に大きなざわめきが起きる。


「これは決まったことだ。変更は利かない。誰が何を言おうとも次期ドンナはヒノエだ」



周りに動揺が広がる。

「で、ですが、ヒノエ様はファミリーに所属してすらおりません。幾らドンの娘と言えど…」

「そうだ、それにドンには他に優秀なご息女がいる」

「イノリ様やミノア様はどうなる」

「…第一、そんな娘がいる事すら知らないぞ」

「現ドンナは何をしている」

「…しかし、ドン…」

さまざまな声が上がる。




「私の妻は今恋人と旅行中だ。彼女にはドンナの地位から退いて頂くことになった。それから、ミノア」

ドンは、娘を呼ぶ。


「はい、ダンパパ」


「お前は、プロセス家へ。ドンの名においてその婚約了承しよう」


ミノアは満面の笑みで笑い、舞い上がっているようだ。

「本当!!」


「ああ、本当だ」


「ありがとうございます!」

周りの動揺とは裏腹に2人の間には穏やかな空気が漂っていた。





「…ふふ、ダンパパも思い切ったことをするわ」

相変わらず重厚なソファに身を預け、イノリは爪にマニキュア中だった。

隣には、ヒノエが固まった状態で鎮座している。

ちなみになぜか正座だ。




「イノリには、ヒノエのサポート役を頼むこととする。それと同時に今所属している部署からの移動を命ず」


「はい、承知たしました。ドン」

イノリは爪を弄ったまま顔を上げ返事を返す。


「ミノアは、今のバレル島警備から船の警備へ移動だ」


「はーい♪」


「現金な子」


「いいじゃない。ふふ、一番乗り♪」


「ふふ、面白そうな感じがするわ。今の部署って人の暗殺ばっかりでつまらなくて、重労働の割に面白みにかけるのよね。もっと頭脳戦を楽しみたいわ」



「次の報告に移る。……娘が心を射止めたものに我が娘の隣を与えよう。だが、全員と言う訳ではない。今から名を上げる。その者たちの意見は利かない。全員参加を命ずる。期限は1年」



「…うふふ、ヒノエ、面白い事になったわね」

イノリは心底愉快そうだ。





ヒノエお嬢様は、昇華できない問題に直面していた。

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