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私はまだ、この世界について何も知らない。だが一目見ただけである程度推察することは可能である。


実用性より体裁を重んじた衣服。この衣服は労働者のものではない。同時に戦場に立つものが着るものでもない。布地は厚く、仕立ては複雑。動きやすさよりも見られる事を前提としている。つまりこれは権威を示すための衣装だ。私は命令を下す側という事だ。

そして甲冑を着ている彼ら。甲冑は統一され、手入れは行き届いている。これは傭兵でも、私兵でもない。まさしく国に属する兵だ。そんな彼らが私を中心に囲うように配置されている。監視ではなく護衛であり、厳格な上下関係が存在する。忠誠が重視される国家であれば、帝国や国民国家ではない。官僚国家や王権国家の特徴だ。

さらに、私が身に着けている紋章。紋章は複雑すぎないが、個人の家紋にしては公的すぎる。つまりは王家の紋章か、王権に直結する官位の紋章。


はぁ、神は私に責任を委譲した。自ずと私は結論を得ている。私は宰相的立ち位置か、それに準ずるポジションだ。


「今、どこに向かわれてますか?」

私は最も近くにいた兵に確認をとった。

「本日は王国三部会の開催日です。王国国民宮殿へ向かっています。」


――


議場は、過剰な装飾に満ちていた。

天井は高く、壁には過去の栄光が刻まれている。だが、そのどれもが、今この場で決断を下す助けになることはないだろう。


王が静かに口を開いた。

「近年、王国全域において魔素量の低下が確認されている」

その声には感情がなかった。目には疲れがたまっている。すでに何度も繰り返されているかのような説明だ。

「生活魔法、医療魔法、結界魔法——

全てに影響が出始めている。本日もこの問題について身分を超えて意見を聞きたい」

今この場に、問題だけが置かれることとなった。


だが、私にとってより重要な事が確認できた。資料には議会の参加者の名前がある。これは神が唯一、私に残してくれた救いかもしれない。中指を立てながらお礼を申し上げたい。

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