悪い子、ふたり
皆様こんにちはこんばんは、遊月奈喩多と申すものでございます!
友情!
皆様、友情でございますよ!
実は作者、愛や友情、人が人を想う物語が大好きなオタクなのでございます。そんな作者が「友情」をテーマにしたコンテストなんて聞いたら飛び付かないわけがなかったわけでございます。
ということで、本編スタートです!!
『ねぇ、あなた!』
その声は、雲間から差す光のようだった。
『ひとりきりじゃつまらなくない?』
見上げた先にあったのは、眩い輝きそのもの。
『そんな顔してないで、あたしと話さない?』
きっとその日、私は一度死んで。
今の私に生まれ変わった。
今の私がいるのは彼女のお蔭。
彼女がいなければ、私は今日まで生きてはいない。
だから。
* * * * * * *
煙るような雨が降りしきる夕暮れ。
微かな雲間から差し込む夕焼けが雨景色を鋭く焼いて、家並みばかりか分厚い雲をも不自然なまでの朱色に染めていたその日。
助けて──そう呼ぶ電話に矢も盾もたまらず駆けつけたのは、見たこともないような古いアパート。水気を吸って湿気を帯びた、カビ臭ささえ感じるドアの向こうで、彼女──星華が、とっくに通話の切れた電話を手に持ったまま、呆然と立ち尽くしていた。
その足下には、一見しただけできっと見た目も心も醜いのだろうとわかってしまうようなおじさんが、その脂肪だらけの身体を隠すにはあまりに不相応な下着だけの姿で、うつ伏せになって倒れている。ピクリとも動かないその姿から、このおじさんがどうなっているのかは何となく察することができた。身体の芯から冷えるような、とてつもない暗い静けさに耐えきれず、私は咄嗟に目を逸らす。
その先にいた星華に、見たところ怪我みたいなものがなさそうだったのに少しだけ安堵して、私は尋ねる。
「星華……どうしたの?」
「この人、死んじゃった」
「……えっと、あの、この人なに、」
「どうしよう陽佳梨、どうしようどうしよう、あたし……どうしよう」
その姿はとても哀れで、とても見苦しかった。
だから。
「……友達でしょ、助けてよ」
「うん、わかった」
宵闇の迫る夕暮れよりもずっと暗い、迷い込んだら二度とは出られない闇の中から聞こえるようなその声に、私は自分でも驚くほどあっさりと頷いていた。
けど、当然なんだ。
彼女は──星華は、私を孤独から救ってくれた。
星華と出会ったことで、私の人生は間違いなく変わったのだから。私の真ん中に、あの日の光が燦然と輝いて、その輝きが焼き付いて離れることなんてなかったのだから。
だから、そんな暗い顔をしないで。
申し訳なさそうにしないで。
卑怯な頼み方をした自分を蔑まないで。
私はただ、私の光を守りたかっただけ。
私を照らす光を──ううん。
友達を、助けたかっただけなんだから。
雨に煙る夕暮れ。
悍しい赤に染まった景色の中、私は自分の人生を手放した。
前書きに引き続き、遊月です。本作もお付き合いありがとうございます! お楽しみいただけましたら幸いです♪
さて、今回のテーマは友情ということで、何か語ることはあっただろうかと思いを馳せましたところ、そういえば折よくついひと月ほど前に大学時代の友人たちと酒を飲んだではないかということに思い至りました。在学中から何かと都合が合わず、実は彼らと酒を酌み交わしたのはそのときが──実に大学を卒業して10年目にして初めてだったわけなのですが、やはりああいう機会って大事だなと思いました。
童心に返るなどと背伸びしたことを言えるほど普段の生活で大人たらんとできているとは自分でも思えない作者ですが、それでも童心に返るという言葉を使いたくなる程度には当時の心持ちに戻れると言いますか、(もちろん法やモラルに触れない範囲で)適度にハメを外すことができたように思うわけです。まぁ、会話の中身はお互いに近況報告みたいな話題が多かったので、月日の流れを感じたりもしたのですが(笑)
ただ、やはり旧交を深める機会というのもよいものでした。
閑話休題。
「友情」といったら何を書いたものかなと思案しているうちに、なんだか薄暗い雰囲気のあるお話が浮かんでしまいました。ふたりの行く先はどこなのか……自分でも楽しみにしながら執筆していきたいと思います!
また次回お会いしましょう!
ではではっ!!




