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【探偵#17】白虎の信念と過去の因縁

私は白虎、白武財閥に使える異界の力を使う戦闘者だ。


夕方、人も増えてきたこの街の祭り、そこから外れた森の獣道.


私はターゲットである探偵,、星都風香を狙っていた。


「白虎、まだ生きたいなら俺達を狙うのを辞めろ、そうすれば俺とお前は戦わなくていい」


それを阻止しようと立ちはだかるの探偵の用心棒。


戦闘力は過去に類を見ない、はっきり言って勝てるかもわからない。


だが…


煉液が投げかける言葉、そんなものは私の耳に入りすらしない。


「私には曲げることのできない信念がある、それは同じ組織にいた煉液ならわかるだろう」


そう、私はこんなとこで引くことなどできないのだ。



_________



私の生まれは、太平洋に浮かぶ小さな島だった。


「かあちゃん!ちょっと山に行ってくる!!!」


あれは今から10年前。


私はいつも学校が終わればランドセルを投げ、母に声をかけながら玄関を飛び出していた。


「気を付けるんだよ!!」


母はいつも心配そうな顔をしながら私に手を振ってくれた。


私がいる島は本土から船で数時間もかかる辺境の島、都会のように何もないけど、便利さ以外の全てがここにあった。


満開の星空、豊かな自然、温かい島民、そして少ないながらも心を通わせるクラスメイト。


そんな中でも私の中で大きな存在だったのは漁師の父の存在だ。


「琥珀!今日連れた魚もらってきたぞ!」


こんな風に母と一緒に父の魚を待つのが日課だった。


日に焼けた肌、いつもうるさい笑い声、酒に酔って母を怒らせたりするときもある、でもそれを全てひっくるめて大好きだった。


平和な私の時間の中にいつからだろうか、”異界”が混じるようになったのは。


私の島には気づけば異界の住人が増えていった。都会では異界人は今どき普通。


そんな時代でも、辺境の島では珍しかった。


父さんの船の掃除を手伝いに浜辺に行った時。


「あ、本当に人魚だ!」


「琥珀、あっちは半魚人って言うらしいぞ」


それは海で暮らす異界人達のグループ。


異界の扉が開き、あっちの世界での戦争が激しく移り住んできたという。


「すげぇ本物だ」


異界人など滅多に見ない田舎者の私にとって彼らは物珍しかった、


そして移り住むと同時に狩りに住居づくりに励んでいたという。


父や島の人々が異界人を見かける度に私や子供に言い聞かせていた。


「お国のお偉いさんが決めたんだ、彼らは住処を無くし困っている、困っている時はお互い様、補助金も出るし、これは島民も協力しなければならない」


この話をする大人は、いや父はいつもどこか悔し気な雰囲気だった。


それは異界人達による乱獲問題があった。


「今日は洞窟に戻ってパーティだ!!」


「ぎょぎょぎょ~~」


そう騒ぎながら海から出てくるやつらは、島民の事なんて何も考えていない。


異界からやってきた人魚族や半魚人族にとって人間のルールを守るなんて頭はなかったのだ。


異界の海は広大で獲物も大きくそして大量、日本の海とは全く違う。


この島が長年大切にしてきた海の生態系を瞬く間に奴らは破壊していく。


さらに町に入っても商品の買い方などわかるわけもない、ひどいときには留守の家に買ってに侵入し泥棒し時もあった。


「もう我慢ならない、やつらをこの島から追い出そう!」


島からはいつからかこんな声が出るようになった。


魚を取るだけとって、毎日1000人規模で浜辺で騒ぐ、しかも人間のルールは守れない、当然だ。


そして、我慢の限界にきた父達漁師が、街でやんちゃしていた半魚人のグループをと言い合いになってしまう。


「お前達部外者はこの島から出ていけ!」


「この島を荒らすな!」


島民からしたら当然の理論なのだが、奴らに聞く耳なんてない。


「あんたらの偉い人が住めって言ったんギョ」


「ハナシ、チガウ!」


奴らは当然怒るが、いくら国が異界人の受け入れを進めようとしても島の人間あっての島。


だが、この行動が”あの”惨劇を生んでしまうんだ。



あれは…父と母と家の前で草むしりしていた時だ。


突然切羽詰まった顔で父の漁師仲間が走って家までやってきた。


「う、海が荒れてるんだ!」


「なにがあった?」


父は冷静、それとは反対に仲間達の焦り用は尋常だ。


「あいつらが呼びやがったんだよ!”海坊主”を!」


そう言った瞬間だった、もうすでに島の山を軽く超えるほどの黒い波が島の周囲を囲っていた。


私の住んでいた愛していた島は、一瞬にして理不尽な波に飲まれたのだ。


出来事が一瞬で記憶はほとんどない、瞬きしてる間に全てが黒に染る。


何がどうなったなんて把握できるわけない。


冷たく、理解不能な衝撃により意識を奪われた私だったが、奇跡的に目を覚ます。


「何が…起きたんだ…」


何時間、いや何日寝ていたのだろうか。


目を開ける前から自身の体温が下がっていることを感じていた、だから濡れているということまでは理解できた。


だが、目を開けた次の光景を理解できる人間なんてこの世にいない。


目を開ければそこに広がるのは、無。


何もない、無。


「とうちゃん…かあちゃん!」


頭では理解できなくとも、声が出た、人間の本能だろうか。


頭が目覚めるとともに周りの光景を処理し始める。


「あ…」


人間は理解できない何かが起きた時声も涙も出ないと知った。


”昨日”まであった町、港、船、そして、島民。


周りに散らばる瓦礫や衣服がそのたどった末路を私に教えてくれる。


その時だった。


「おい、生き残りがいたぞ!!」


謎の軍隊のような隊員が私のもとに駆け寄る。


「奇跡だ…ほとんど無傷だ」


「とうちゃんは!かあちゃんは!みんなは!」


隊員が駆け寄ってきた瞬間、もう言葉が口から出ていた。


答えは…聞かずとも理解してしまった。


全員下を向き黙った沈黙こそが、知りたいが、知りたくもない答えだった。


「異界の奴ら…許さない…」


私達が何したって言うんだ、住処も渡して…一緒に暮らす努力を放棄したのはお前らだろ!


人生で感じたことのない怒りが心を支配する。


そこからの詳しい会話は覚えていない、だが、隊員の中にいた明らかに雰囲気の違う男が私に問いかける。


「安心しろ、少年、蛮族は全て海に沈めた」


男は話を続ける。


「生存者だが、私達も総力を挙げて捜索したが、お前以外の島民は全て海の藻屑となった」


私の心がさらに重くなる。


「少年、生きる道はふさがった」


何故か、その人の言葉は放心状態の私の心に深く入ってきた。


「全てを乗り越える力が欲しいか?我々は力を与えることができる」


答えはもう決まっていた、何故か問われる前から決まっていた気がする。


「欲しい、この世界にやってくる異界人をから世界を取り戻すために!」


この私を救ってくれたのが、対異界組織”フィールド”だった。



そして私は組織に連れられてとある施設に送られる、日本のどこかの森の中、壁は白く広さで言えば体育館のような場所。


組織は身寄りのない子供を多く集めていた、とある実験のために。


そこには私と同じ年の子供達が集められていた、そして突然白衣の大人が現れて語りだす。


「ここに集められた君達は択ばれた存在、これからとある実験に協力してもらう」


白衣の若い女性が杖のようなものを私達に向ける、杖からの眩い光が私達を照らす。


「この組織は、一体何なんだ?」


家族と故郷を失い、突然こんなとこに連れてこられた私は半分パニック状態。


そんな時、光に照らされていると突然頭に直接声が聞こえだす。


(小僧、貴様、面白い人生だな)


「誰?」


突然聞こえたが、声の主がこの空間にいないことだけは理解できた。


(小僧、力が欲しいか?)


偶然にもさっきと同じ質問、だけど答えは決まっている。


「強くなりたい…強くなって、異界の奴らからこの世界を取り戻す」


(このクソみたいな封印を解いて暴れてやろうと思っていたが、貴様の人生、気に入った、道を共に歩けばまだ見たこともないような猛者にも会えるだろう)


私の答えが相手の望むものだったようだ、そして声の主が私に問いかける。


(俺は白虎、俺は強い奴と戦えればそれでいい、どうせ私の寿命は長い、これも良き暇つぶしだ)


声が途切れたと同時、私の体が焼けるように熱くなる、痛みとは何か違う感覚だ。


「熱い!熱い!体が…なに?」


その姿をみた大人達が驚きの反応を見せる。


「白虎が自ら封印されに行ったのか?」


「嘘だろ、適合検査をしてる間に…何事なんだ?」


どうやら大人達にとって想定外のようだ、そして複数人の大人達に囲まれる。


「アクシデントはあったが、逸材は見つけた、ようこそフィールドへ」


後に知ったことだが、フィールドは異界の魔女から奪った悪魔封印の魔法を応用し、戦闘に用いる戦闘兵器の開発を行っていたという。


異界の生物を扱うのは人間にとっては困難、それが強力になればなるほど。


封印の影響で本来の異界生物よりもパワーダウンしてしまうデメリットもある。


それこそ、フィールドが作り出した対異界の戦闘兵器。


人間の体に”封印”を施し、必要に応じて力を開放して戦う。


”封印者”。



(力が欲しいか?)


私の人生を変えた二つの存在が私に問いかけた言葉。


この命とこの白虎の力を使って必ず、異界人達をこの世界から追放する。


異界人で涙する者達を救う信念を掲げて。


_________



「貴様が組織を裏切り、組織は崩壊した。そんな私を拾った白武様の為に、そして自身の信念を貫き、この世界から異界人をはじき出す」


立ちはだかる煉液に向け、私は覚悟を決める。


少し離れた木の下で倒れている、ターゲットの星都風香。だがもう探偵はこの際どうでもいい。


「煉液、用心棒が倒れれば、金花探偵事務所は裸も同然、先に煉液の首を白武様に持ち帰る」


自分自身を鼓舞したが、前に立つ男は誇張抜きで最強。


「白虎、お前は誰にそんなこと言ってんだ、無謀過ぎんだよ」


相棒の煉獄刀が、殺気に満ち溢れる。


「看板娘を傷つけておいて、タダで済むと思ってんのか」


これが生涯、最大の試練だろう。


「白虎よ、最後の力を貸してくれ」


育ちは同じでも産まれも背負っている覚悟も違う。


そして戦いは私の人生を再び大きく変える事となってしまう。

次回…ついに決着…白虎の執念。

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