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レインエルフ族集落へ到着

いつもより少し長いです。。

レインはエルフの集落へと続く森の中を進み続けていた。蠕虫との遭遇は心に不安を残したが、今はエルフたちとの接触に集中しなければならなかった。薄暗い森の中を抜けると、視界が開け、光が差し込む美しい景色が広がっていた。エルフの集落に近づいていることが感じ取れた。


その場所はまるで別世界のようだった。木々は驚くほど高く、その葉は光を反射して、まるで星空のように輝いていた。空気は澄み渡り、柔らかな風がレインの頬を撫でる。遠くからは、清らかな水が流れる音が聞こえ、自然と調和した音楽のように心を落ち着かせる。


木々の間には、光の粒子が漂っており、まるで精霊たちが遊んでいるかのように見えた。足元には柔らかな苔が広がり、一歩踏み出すたびに静かな音を立てて弾む。鳥たちの囀りが耳をくすぐり、空気中には花の香りが漂っていた。


「これが…エルフの住む場所か…」


レインはその幻想的な景色に一瞬心を奪われた。エルフたちの住まう集落が、このように美しく神秘的な場所にあるとは想像もしていなかった。彼はその光景に目を奪われながら、さらに奥へと進んでいった。


すると、木々の間から幾つかの建物が姿を現した。それらは自然と完全に調和しており、木や石、葉を巧みに利用して作られていた。建物は地面からではなく、巨大な木々の上に作られており、まるで木々の一部であるかのようだった。梯子や吊り橋がそれらを繋ぎ、エルフたちが軽やかに行き交う姿が見えた。


「美しい…」


レインは思わずその言葉を口にした。これほどまでに自然と一体化した建物や生活環境は、人族やシャドウフォークのものとは全く異なる。エルフたちが自然と共生し、その美しさを最大限に引き出していることが、ひと目で理解できた。


しかし、彼がその美しさに見惚れている間もなく、ふと視線を感じた。上を見上げると、何人かのエルフがこちらを見つめていた。彼らの表情は冷たく、警戒心に満ちていた。レインはすぐに影に身を潜め、彼らに気づかれないようにしようとしたが、既にその存在は感知されていたようだった。


「誰だ!」


鋭い声が響き渡った。その声はエルフたちのものだった。彼らは弓を構え、レインに向けて狙いを定めていた。彼らの動きは無駄がなく、まるで長年訓練を積んできたかのような精度を感じさせた。


レインは一瞬で状況を理解した。エルフたちはシャドウフォークに対して強い警戒心を抱いている。そして、今この瞬間、彼らの敵意が自分に向けられていることを。


「待ってくれ…!」


レインは影から姿を現し、両手を上げて非武装であることを示した。彼がここに来た目的はエルフたちと友好を築くことであり、戦うことではない。しかし、エルフたちはその姿勢にも関わらず、警戒を解くことはなかった。


「シャドウフォークか…」


エルフの一人が吐き捨てるように言った。その言葉には嫌悪感が滲んでいた。レインはその表情から、彼らがシャドウフォークをどれほど嫌っているのかを感じ取った。


「ここに何の用だ?」別のエルフが厳しい口調で尋ねた。レインは一歩踏み出し、できるだけ友好的に見えるように努めながら答えた。


「私はシャドウフォークのレイン。この森を守るエルフの方々と話がしたい。私たちの未来について、共に考えたいんだ。」


しかし、その言葉に対するエルフたちの反応は冷たかった。彼らはレインを睨みつけ、互いに視線を交わした後、再び彼に向き直った。


「お前たちシャドウフォークが、私たちに何を話すというんだ?」


その言葉には、明確な敵意が込められていた。レインはその言葉を受けて、エルフたちの態度の裏にある何かを感じ取った。彼らの嫌悪感は単なる偏見や種族間の不和からくるものではなく、もっと深い理由があるようだった。


「…過去に、何かがあったのか?」


レインは思い切って尋ねた。エルフたちは一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに怒りに満ちた表情で彼を睨み返した。


「お前たちがそれを知らないはずはない。あの時、お前たちシャドウフォークは、私たちエルフを裏切ったのだから!」


エルフたちのリーダー格と思われる者が鋭い声で言った。その言葉にレインは驚いた。シャドウフォークがエルフたちを裏切った?彼の知る限り、そんな話は聞いたことがなかった。


「何の話だ?詳しく教えてほしい」


レインはさらに問いかけたが、エルフたちはそれ以上の説明をすることを拒んだ。ただ、その冷たい視線が彼を貫き、過去の出来事が深い傷を残していることを物語っていた。


過去の記憶がよみがえるように、エルフたちの表情には苦しみが浮かび上がっていた。その痛みが、シャドウフォークに向けられる敵意の源であることは明らかだった。


エルフ族と人族の戦争


それは数十年前、エルフ族と人族が対峙した戦争の時代の話だった。エルフたちは自然と共生し、森の守護者として長らく平和に暮らしていた。しかし、欲深い人族はその豊かな土地と資源を求め、エルフの領地に侵攻した。


エルフたちは自らの領土を守るために立ち上がり、激しい戦いが繰り広げられた。彼らは自然の力を使い、人族を何度も撃退した。しかし、戦況は次第に人族に有利に傾いていった。彼らの技術力と物量に押され、エルフたちは次第に追い詰められていったのだ。


その時、シャドウフォークがエルフたちに接触を試みた。彼らは影に隠れて情報を集め、人族の動向を探ることでエルフたちを支援することを提案した。エルフたちは最初、その提案を受け入れ、シャドウフォークとの協力を開始した。


しかし、戦局がさらに悪化し、人族がエルフたちの領土に深く侵入した時、シャドウフォークの一部が突如としてエルフたちを見捨て、人族側に寝返ったのだ。彼らは人族にエルフの弱点や戦略を漏らし、エルフたちを敗北へと導いた。


エルフたちはその裏切りによって、多くの仲間を失い、森の多くの部分を焼き払われた。その悲しみと憤りは、今なおエルフたちの心に深く刻まれており、シャドウフォークに対する強い嫌悪感を生み出していた。


「お前たちが…私たちを裏切ったこと、忘れたわけではない。エルフたちがどれだけ苦しみを味わったか、想像もできないだろう」


エルフのリーダーは苦々しげに言い放った。その言葉は重く、レインの胸に突き刺さった。彼自身はその時代の出来事を知らないが、シャドウフォークという種族に対するエルフたちの憎しみは、過去の裏切りから来ていることが理解できた。


「…それでも、私はエルフの皆さんと話をしたい。過去の出来事がどうであれ、今の状況を変えるために、協力する道を探りたい」


レインは真摯に訴えた。しかし、エルフたちはその言葉に容易に応じる気配はなかった。彼らの目には、シャドウフォークに対する根深い不信感が宿っていた。


「話すことはない。お前がここに来た目的が何であれ、私たちはお前たちを信用しない」


リーダーの冷徹な声が響いた。レインはその言葉に、エルフたちとの接触が容易ではないことを痛感した。過去の裏切りによって傷ついたエルフたちの心は、簡単に癒されるものではなかった。


「分かった…だが、諦めるつもりはない。私は、必ずエルフの皆さんと共に戦う道を見つけてみせる」


レインはそう誓い、エルフたちに背を向けた。彼はこの場を一旦離れ、どうすればエルフたちと信頼関係を築けるかを考える必要があった。


エルフの集落を後にしながら、レインは深い森の中を歩いていった。その心には、エルフたちの言葉と表情が強く焼き付いていた。過去の裏切りがもたらした憎しみを超えて、どうやって未来を切り開くことができるのか――

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