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避難そして人族の侵攻

レインがシャドウフォークの長として集落をまとめ上げて数日が経った。彼はその間、民を守るために懸命に働き、エルフ族とドワーフ族との協力を取り付け、まずは非戦闘員たちをエルフの里に避難させる準備を進めていた。集落の広場には、荷物をまとめた女子供や年老いた者たちが集まり、出発の時を待っていた。


その中に、レインが転生してすぐに世話をしてくれた老人がいた。白髪の混じる髪に深い皺が刻まれたその顔は、歳月を感じさせるものの、瞳には今も昔と変わらぬ優しさが宿っていた。老人は荷物を背負いながら、レインをじっと見つめ、ふと微笑んだ。


「お前も大きく、立派になったな」と、懐かしげに語りかける老人の声は、レインの心に深く響いた。


「昔はひょろっとしてて、頼りなかったが……今はこうして、皆を守ろうとしている。お前は本当に、シャドウフォークの誇りだよ」


老人の言葉に、レインは感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。彼にとって、転生して最初に優しく接してくれたこの老人は、父親のような存在だった。長となった今でも、その言葉にどれほどの重みと温かさがあったか、痛感していた。


「ありがとうございます。自分を信じてくれたからこそ、今こうしてここに立てています」


レインは目を伏せ、深く一礼した。老人は柔らかな笑みを浮かべながら、少し歩み寄ってレインの肩に手を置いた。


「道中、気をつけてください。エルフの里に着くまで、何があるかわかりませんから」


「わかっておるよ、心配するな。お前も、皆を守るために自分の道を進め」


そう言って、老人は再び微笑み、他の者たちと共にエルフの里へと向かって歩き出した。レインはその背中を見送ると、感慨深げに過去の記憶に浸った。あの頃は、何もかもがわからず、不安ばかりが募る日々だった。しかし、今では彼がこの民を導き、守る立場となったのだ。


「……あの頃が懐かしいな」


そう呟きながら、レインは遠くなる老人の姿を見つめ続けていた。


しかし、その静寂を破るかのように、遠くから足音が聞こえてきた。振り返ると、偵察に出ていたシャドウフォークの仲間が息を切らしながら駆け寄ってくる。


「レイン様、緊急の報告です!」


レインはすぐに表情を引き締め、仲間に目を向けた。


「何があった?」


「人族が他種族の住処を次々に占拠しながら、こちらに向かって進軍しているとの情報が入りました。まだ距離はありますが、このまま進めば、シャドウフォークの集落も危険に晒される可能性が高いです!」


その言葉に、レインの胸は焦りで一気に高鳴った。まさか、人族の侵攻がこれほど早く迫ってくるとは思ってもみなかった。集落が見える範囲まで迫ってきているという事実に、彼はしばし無言で立ち尽くす。


「……ついに、ここまで来たか」


レインは自らを奮い立たせ、冷静に考えを巡らせた。今やシャドウフォークは自分にかかっている。彼が導かねば、誰が民を守れるというのか。覚悟は既に決まっている。エルフとドワーフとの協力はあるが、それだけでは不十分だろう。


「ありがとう、報告ご苦労だった。すぐに対応を考える」


そう言って、レインは偵察兵を送り出し、自らも集落の中心へと戻った。戦いが避けられないことを悟りながらも、彼はまだ諦めることなく、民と共にこの危機を乗り越えるための準備を始めた。


これから起こるであろう戦いに備え、レインは静かに拳を握りしめた。

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