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レイン、シャドウフォークの長に

レインはリードが囚われた事実を受け入れ、心に決意を固めた。自らの手でリードを奪還し、シャドウフォークの民を守るために立ち上がらなければならない。彼は集落の中心に戻り、残っているシャドウフォークの民を集めた。集落は壊滅的な被害を受けていたが、まだ戦意を失っていない仲間たちがいる。彼らに今こそ、指導者としての決断を示す時だ。


夜の帳が下りた集落の広場に、レインの呼びかけに応じて民たちが集まっていた。顔には疲労が見えるものの、彼らの瞳にはまだ強い意志の光が宿っている。闇夜の中、レインは仲間たちを見渡し、静かに語り始めた。


「皆、集まってくれてありがとう。まずは、今回の襲撃で苦しんだ全ての者たちに、心から謝罪しなければならない。リードが捕らわれてしまったこと、そして皆がここまで辛い思いをしたことは、俺の責任だ。俺がもっと早く動いていれば、こんな事態にはならなかったかもしれない」


彼の声は低く、重苦しいものであった。しかし、民たちは誰も責めるような視線を向けず、静かに彼の言葉に耳を傾けていた。レインは一瞬、言葉を詰まらせたが、続けて強い決意を込めて言った。


「リードがいなくなった今、俺がシャドウフォークの長として、この集落をまとめていく。これはリードに代わるということではない。彼を取り戻すまで、そしてこの不毛な争いに終止符を打つまで、俺が先頭に立つ覚悟を持ったということだ。俺たちはもう一度、立ち上がらなければならない」


その言葉を聞いた民たちの中から、微かなざわめきが起こった。彼らの表情には希望と不安が交錯している。しかし、レインの強い決意を目の当たりにして、少しずつその不安が薄れていくのが感じられた。


「俺たちにはもう一つ、大事な報告がある」


レインはさらに続け、エルフ族とドワーフ族との協力関係を結んだことを告げた。シャドウフォークだけでなく、他の種族と手を取り合って人族に対抗するという決断が、彼自身にとっても大きな一歩だった。シャドウフォークは長らく孤立し、他の種族からの協力を得ることはなかった。しかし、時代は変わりつつあるのだ。


「エルフ族とドワーフ族が、俺たちに力を貸してくれることになった。彼らは人族に対しても強い怒りを抱いている。そして、俺たちと共に戦うことを誓ってくれた」


この報告に、民たちからは驚きの声が上がった。彼らにとって、長らく孤立してきたシャドウフォークが、他の種族と協力するというのは想像もしていなかったことだ。それでも、その報告は彼らの希望を再び燃え上がらせた。


「リードは必ず助け出す。そして、人族との不毛な争いに終止符を打つ。俺はそのために全力を尽くすつもりだ。皆を巻き込むことになるかもしれない。それでも、俺たちの未来のために、共に戦ってほしい」


レインはそこで一度言葉を切り、民たちの反応を待った。彼は、自らが一方的に指示を下す立場にはないことを理解していた。シャドウフォークの未来を築くためには、彼ら一人一人の意志と協力が必要だ。もし、誰かが反対するなら、それを受け入れる覚悟もしていた。


しかし、沈黙を破ったのは民たちの激励の声だった。


「レイン様、謝る必要なんてない! 我々もこの戦いに巻き込まれる覚悟はできている」


「私たちは、シャドウフォークだ。闇の中で生き、闇の中で戦うことに慣れている。諜報活動や潜入作戦なら、我々に任せてください!」


次々と上がる声に、レインは胸が熱くなるのを感じた。民たちは彼を責めるどころか、共に戦うことを誓い、シャドウフォークの得意分野である闇に紛れた諜報活動で協力する意思を示してくれたのだ。レインは、彼らの決意に深く感謝しながら、提案を受け入れることにした。


「ありがとう。俺たちには、皆の力が必要だ。君たちが闇の中で集めてくれる情報は、必ずこの戦いを有利に導く。共に戦おう」


レインの言葉に民たちは力強く頷き、広場には一瞬にして士気がみなぎった。彼らはシャドウフォークとしての誇りを持ち、互いに支え合っている。レインはその絆を感じ、より一層強い決意を固めた。


戦闘の準備が進む中で、レインはもう一つ重要な決断を下さなければならなかった。女子供や年老いた者たち、非戦闘員たちをどうするかだ。彼らを集落に残しておけば、再び襲撃を受けた時に守り切ることができるかはわからない。


「非戦闘員たちは、エルフの里で匿ってもらうことにしよう。彼らは安全な場所で身を隠し、エルフたちの協力を受けて生活を続けることができるはずだ」


この提案に、民たちは賛同の声を上げた。エルフ族はシャドウフォークにとっても信頼できる種族であり、彼らの里で保護してもらうことが最善の策だと誰もが理解していた。


「エルフの里で非戦闘員たちが安全に過ごせるよう、できる限りの手配を進める。俺たちは前線で戦い、皆を守る」


レインはその言葉を最後に、民たちに向かって深く頭を下げた。シャドウフォークの民たちは、その姿に敬意を込めて頷き返し、互いに励まし合いながら、それぞれの役割に向かって動き出した。


こうして、レインはリードの代わりにシャドウフォークの長として、仲間たちと共に人族との戦いに備え、未来を切り開くための第一歩を踏み出した。

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