表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/37

シャドウフォークの集落への帰還

ドワーフ領を出発する際、レインは領内の様子に違和感を覚えていた。以前に訪れた時よりも、何かが変わっている。街中の空気が緊迫しており、行き交う人々の表情には明らかに緊張が漂っていた。特に、人族に対する反感が一層強くなっているのを感じる。


「人族のせいで…」「このままでは、我々の領地も危ない…」


そんな声が、耳に届くたびにレインは心がざわついた。ドワーフの領主と話した時も、人族に対する怒りがはっきりと感じられた。これまでシャドウフォークや他種族に無関心だったドワーフが、今は人族への反発を抱えている。それは密輸組織の壊滅と同時に、人族がさまざまな裏工作を行っていたことが明るみに出たことが大きな理由だろう。だが、反発が広がる一方で、争いが一気に激化する可能性も否定できない。


「ここを出発すれば、すぐに集落に着けると思う?」


カリンが少し心配そうに尋ねてきた。


「距離的にはそうだが、道中何があるか分からないな…特に今は緊張が高まっているから、慎重に行動しよう」


レインは険しい顔で答えた。自分たちの行動が、さらに人族と他種族の対立を煽ることにならないか心配だったが、シャドウフォークの安全を最優先にしなければならない。


エリスは静かに話を聞いていたが、何かを考え込んでいる様子だった。レインとカリンが出発の準備を進めている間も、何度か遠くを見つめ、何かに耳を傾けるような仕草をしていた。


「何か気になることでもあるのか?」とレインが尋ねると、エリスは少し迷ったようにしてから答えた。


「風が変わってきているのを感じるの。大きな動きが近づいている…注意したほうがいいわ」


その言葉に、レインはさらに警戒を強めた。エリスの感覚は鋭く、これまで何度も危険を察知してきた。その直感に逆らうわけにはいかない。ドワーフの領地を後にして、シャドウフォークの集落へと向かう道のりは、いつも以上に慎重なものとなった。


道中、レインたちはいくつかの異変に気づいた。森を抜け、丘を越えていく途中で、遠くから叫び声が聞こえてきたのだ。最初は動物の鳴き声かと思ったが、近づくにつれてそれが人の声だと判明した。


「誰かが襲われているのか…?」


レインが疑念を抱きながら声のする方に向かうと、目に飛び込んできたのは数名の人族の兵士が、他種族を捕らえ、弾圧している光景だった。そこにはエルフ族の女性と、その幼い子供が捕まっており、無理やり連行されようとしていた。


「どうしてこんなことを…!」


レインは驚きと怒りを抑えきれなかった。人族の兵士たちは無慈悲な笑みを浮かべ、まるで捕らえた獲物を弄ぶかのような態度を見せていた。


「他種族なんかに協力してた奴らを見逃すわけにはいかねぇんだよ。おとなしくしろ!」


兵士たちは無理やりエルフの親子を引きずっていこうとしたが、その瞬間、レインの中で何かが弾けた。これ以上、ただ見ているわけにはいかない。


「カリン、エリス、行くぞ!」


レインは決然とした声で仲間たちに呼びかけ、すぐさま行動に移った。カリンもエリスも即座に反応し、レインと共に兵士たちに向かって突進した。


カリンは斧を振るい、一瞬で二人の兵士を叩き倒した。彼女の力強い一撃は、圧倒的な威力を誇り、ドワーフ族の戦士としての実力を遺憾なく発揮していた。エリスはその後ろで魔法の準備を進め、瞬時に風を操って残りの兵士たちを混乱させた。


「影よ、俺に力を貸せ!」


レインは影の力を呼び起こし、兵士たちの目をくらませながら、素早くエルフの親子を守りに入った。影が兵士たちを取り囲み、彼らの動きを封じ込める。兵士たちは次第に恐怖に染まり、次々と地面に倒れ込んでいった。


「これ以上、他種族を弄ぶことは許さない!」


レインの一喝に、残された兵士たちは完全に戦意を失い、逃げるようにその場を後にした。


エルフの親子は涙を浮かべながら、レインたちに感謝の言葉を述べた。


「本当に、ありがとうございます…命の恩人です」


その言葉に、レインは少しばかりの安堵を感じたが、同時に胸の中で焦燥感がさらに強まっていくのを感じた。これほどまでに他種族が弾圧されているとなると、シャドウフォークの集落も例外ではないだろう。時間がない。急がなければならない。


救出劇の後、レインたちはさらにペースを上げて進んだ。周囲の風景は次第に見慣れたものへと変わり、森の中に広がるシャドウフォークの集落が遠くに見えてきた。


「見えたぞ…!」


レインは思わず声を上げた。懐かしい故郷が目の前に広がっている。しかし、その感情と同時に、心の中に不安が広がっていた。集落は無事なのか?人族の侵攻はすでに始まっているのではないか?


「大丈夫よ、レイン。まだ間に合うわ」


エリスが優しく語りかけた。彼女の穏やかな声に、レインは少しだけ安心を感じることができた。集落の未来がどうなるかはまだ分からないが、仲間たちと共に立ち向かうことができる。レインはその決意を新たにし、さらに歩を進めた。


彼らはもうすぐシャドウフォークの集落へ到着する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ