表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/37

領主との対談

領主との対談が始まった。威風堂々とした佇まいから想像していた通り、彼の言葉は落ち着いており、その一つ一つが重みを持って響いてくる。レインとエリスは緊張感を隠せないまま、その言葉に耳を傾けた。


「まずは感謝を申し上げたい。密輸組織の壊滅、見事であった。特にあのリーダーを確保してくれたこと、ドワーフ領として大変ありがたく思っている」


領主はそう言いながら、厳しい表情の中にも感謝の意をにじませた。密輸組織が領内で暗躍し、ドワーフ族の生活を脅かしていたことは、間違いなく大きな問題であった。レインは領主の感謝に対して軽く頭を下げ、話の続きを待った。


「しかし…残念なことに、リーダーは自害してしまった。あの男から得られる情報は、多くの謎を解き明かす鍵となるはずだったが…」


領主の顔には悔しさが滲んでいた。リーダーを捕らえたこと自体は成果であったが、肝心の情報を得られないまま彼が死んでしまったことで、重要な手がかりを失ってしまったことに、領主自身も苛立ちを隠せない様子だ。


「リーダーが自害したことは残念ですが、彼が持っていた情報は、今後の戦略に影響を与えるほどのものだったのでしょうか?」


レインは領主の言葉を受けて、慎重に質問を投げかけた。彼自身も、シャドウフォークやエルフたちにとって、この事態がどれほどの影響を及ぼすのかを把握する必要があった。


領主は少し考え込み、目を細めてレインを見つめた。


「その通りだ。リーダーは、人族の中でかなりの立場にあった男だ。彼が密輸によって得た利益は莫大で、その資金力で自らの権力を拡大していた。人族内部でも有力な存在だっただろう」


その言葉を聞いて、レインは密輸の背後に潜む闇の深さを感じた。単なる犯罪組織ではなく、政治的な力とも結びついていた可能性がある。人族の中で武器が流通しなくなったことで、内部で混乱が生じているという報告もあった。それは、シャドウフォークにとっては一時的な安全を意味しているかもしれないが、同時にその混乱がどのような形で再びこちらに影響を及ぼすのかは不透明だ。


「しかし、奴らが持つ武器が消えたことで、人族は明らかに不安定になっている。特に、人族の中で立場の弱い者たちは、武器を失うことでさらに困窮することになる。だが、その混乱が逆に、シャドウフォークに矛先を向ける可能性がある」


領主の声には重い警告が含まれていた。レインはそれを聞きながら、自分の種族が直面する危機を改めて実感した。


「ドワーフ族がシャドウフォークに対して、これまで関心を持っていなかったのは、我々自身の問題に注力していたからだ。戦争や領土の問題、さらには技術の発展に力を注ぐ中で、シャドウフォークとの接点はほとんどなかった。我々の目に見える脅威ではなかったのだ」


領主はそう語り、長い歴史の中でドワーフ族がシャドウフォークに対して興味を持たなかった理由を説明した。それは単なる無関心ではなく、他の問題に追われていたという現実があったのだ。


「しかし、近年の人族の動向を見ていると、その無関心が我々にとって危険なものになりつつあると感じている。人族の中には、我々ドワーフやエルフをも脅威とみなす者たちがいる。そして、彼らがシャドウフォークをどう扱ってきたかも聞いている」


レインは領主の言葉に耳を傾けながら、人族に対する怒りが彼の中に根深く存在していることを感じ取った。ドワーフ族は長い間、自分たちの技術や力で独立していたが、今はその独立が脅かされる時代に突入しているのかもしれない。


「そこでお前の話に興味が湧いた。エルフ族との協力関係を築いたというのは、人族に対抗するためか?」


領主は興味深そうにレインを見つめた。レインがエルフであるエリスと共に行動していること、それがただの偶然ではなく、戦略的な選択であったのかを探っているようだった。


「そうだ。シャドウフォーク単独では、人族の脅威に対抗するのは難しい。だからこそ、エルフ族との協力を模索している。エリスもまた、エルフの中で信頼のおける人物だ」


レインは真剣な表情で答えた。彼自身の中で、エリスとの協力は大きな意味を持っていた。種族を超えた協力関係を築くことで、少しでもシャドウフォークの未来を守る手助けができると信じていた。


「なるほど…人族に対抗するために、種族の垣根を越えて協力を求めるとは…面白い考えだ。確かに、我々もいつまでも自分たちだけでいられるとは限らない」


領主は少し微笑んだように見えた。彼の中でも、人族に対する反発の思いが強まっているのだろう。だが、その時だった。


バン!と扉が大きな音を立てて開かれた。レインとエリスが振り向くと、カリンが血相を変えて飛び込んできた。


「領主様、大変です!」


カリンの声は緊迫感に満ちていた。その姿を見て、領主もただならぬ事態が起きていることを察した。


「何があった、カリン?」


領主の声に答えるように、カリンは慌てた口調で説明を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ