密輸組織の調査
レインはカリンたちから提示された条件、密輸組織の壊滅に向けて動き出すことを決意した。エリスに悟られずに進める必要があることは彼にとって最も重要な課題だ。これまでの旅路で、エリスの鋭い感覚を感じ取っていたレインは、彼女に気付かれないように調査を進めるため、細心の注意を払って行動することにした。
初めに、レインはドワーフ領内で密輸組織に関する情報を集めようと試みた。市場や酒場、さらには路地裏でのさりげない会話から情報を引き出そうとしたが、予想以上に情報は少なかった。密輸組織は巧妙に隠れており、表立って噂が広がっているような存在ではなかった。焦りが募る中、レインは自身の能力を思い出した。「影を操る力――これを使えば、もっと深く探れるかもしれない」と考えた彼は、影の力を使った調査に切り替えることにした。
夜になると、レインはエリスの動向を注意深く観察しながら、彼女が完全に眠りにつくまで待つ。そして、静かに部屋を出て、周囲に注意を払いながら、闇に溶け込むようにして街中を歩き始めた。彼のスキル「シャドウウォーク」を駆使し、街の暗がりに身を潜めながら、影の中から情報を拾い集める。人々の会話の断片、密かにやりとりされる荷物、取引の様子――影の力を使うことで、普段は見逃されていた情報が徐々に浮かび上がってきた。
その過程で、レインは「影の力にこんな使い道もあったのか」と驚きを覚えた。これまで戦闘にのみ活用してきたこのスキルが、情報収集の手段としても非常に有効であることを実感する。彼は暗闇に潜むことで、密輸組織の内部に少しずつ迫っていった。
数日間にわたる調査の末、ついにレインは決定的な情報を掴むことができた。それは、密輸組織のリーダーが取引を行う場所に関する情報だった。深夜、エリスが静かに眠りについた後、レインは再び影の力を使って、密輸組織の施設へと向かうことにした。
その施設は、ドワーフ領の一角にある使われていない倉庫の裏に隠されていた。普通の者では気付かないような目立たない場所だが、影を駆使して探索したレインは、組織のメンバーたちがその場所に出入りしているのを見逃さなかった。レインはその倉庫に忍び寄り、影の中から施設を観察した。
「こんなところにあったのか……」
レインは目の前の施設を見上げ、闇に包まれながら次の行動を考えた。




