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ドワーフ族のカリンの訪問


レインとエリスが宿で休んでいると、部屋の外から小さなノックが聞こえた。静かな夜だったので、その音がやけに響いたように感じた。レインがドアを開けると、そこには小柄な女の子が立っていた。


「こんばんは〜…おじゃましても、いいですかぁ?」その女の子はゆっくりとした、語尾を少し伸ばすような話し方で問いかけた。彼女はドワーフ族らしい短い体格をしているが、驚くほど華奢だった。肩まで伸びたふわふわの茶色い髪が、その幼さをさらに際立たせている。彼女の肌は日に焼け、所々に道具作りでできたと思われる擦り傷が見られる。手や腕にはいくつかの薄い傷跡が残り、彼女が小さくても日々ハードな作業をこなしていることを物語っていた。


「どうぞ…」レインは少し戸惑いながらも、彼女を部屋に招き入れた。エリスもその女の子に興味深そうに視線を向けた。部屋の中に足を踏み入れたその少女は、大きな目でエリスをじっと見つめる。


「えっと、私、カリンっていいます〜」少女はにっこりと笑い、無邪気な表情を浮かべながら自己紹介をした。その目は本当に大きく、暗い宿の部屋でも輝くように光って見える。瞳はクリアな青色で、澄んだ空を思わせるような鮮やかさを持っている。カリンはゆっくりとした動作で、エリスに向かって一歩近づきながら続けた。


「お姉さん…もしかして、エリスお姉さんじゃないですかぁ?」カリンの言葉にエリスは驚いたように目を見開いた。まさかここで知り合いに会うとは思っていなかったのだろう。


「カリン…本当にあなたなの?」エリスは信じられないように口元に手を当て、カリンに向き直った。「久しぶりね…ずっと会いたかった」


エリスの言葉に、カリンは目を輝かせて笑顔を浮かべた。「やっぱり〜!エリスお姉さんだと思ってましたぁ〜。さっき門のところでエルフの人の話を聞いて、もしかしてって思って来たんです〜!」


エリスは懐かしそうに微笑みながら、昔の思い出が蘇るような表情を見せた。「カリン、あの時はまだ本当に小さかったわね…。いつの間にこんなに成長したの?」


カリンは顔を赤らめながらも、誇らしげに頷いた。「うん、今はもう立派なドワーフの道具作り職人ですよぉ〜。お姉さんにはまだまだかなわないけど、頑張ってます!」そう言って、彼女は自分の両手を誇らしげに見せた。彼女の手は、小柄な体に対して少し大きめで、職人の手らしい粗さが感じられた。


レインは黙ってそのやり取りを見守っていたが、エリスが嬉しそうにカリンに話しかける様子を見ると、思わず微笑んでしまった。どうやらこの二人は、昔からの知り合いのようだった。


「カリン、あなたと一緒に過ごした日々が懐かしいわ。あの頃は本当に毎日が楽しかった。あなたと一緒に山を歩いて、森で遊んで…」エリスは遠くを見つめるような表情で、懐かしい記憶をたどっていた。


カリンもそれに応じて頷きながら、「うんうん、覚えてます〜。エリスお姉さんと一緒に木の実を集めたり、川で水遊びしたりしたこと、すっごく楽しかったです〜」と、無邪気な笑顔を浮かべた。


「でも…その後、私たち別々の道を進んだわね。あなたがドワーフ領に行くことになった時、本当に寂しかった。どうしてドワーフ領に来ることになったの?」エリスはカリンに問いかけた。


カリンは一瞬、目を伏せた後、軽く息を吐いてから、ゆっくりと話し始めた。「うーん…まあいろいろありまして〜。その頃から、私もドワーフとしての道具作りをちゃんと学ばなきゃいけなくなったんです〜。だから、ドワーフの伝統的な鍛冶場で学ぶために、この領地に来たんですよぉ〜」彼女の語り口は相変わらずおっとりとしていて、どこかのんびりしていたが、その言葉には確かな決意が込められているように感じた。


「なるほど…」エリスは納得したように頷いた。「でも、どうしてまた私のことを覚えていてくれたの?こんなに時間が経ったのに…」


カリンはにっこり笑って「だって、エリスお姉さんは特別ですもん〜。お姉さんとの思い出は、私の大事な宝物ですよぉ〜」と言いながら、エリスの手を優しく握った。


エリスはその言葉に感動したようで、そっとカリンの手を握り返した。「カリン、本当にありがとう。私も、あなたのことを忘れたことはないわ」


一方、レインはそのやり取りを見守りながら、二人の間に流れる深い絆を感じ取っていた。しかし、次の瞬間、カリンが突然エリスに向かって問いかけた。「それで、お姉さん…どうしてここにいるんですかぁ〜?シャドウフォークの人と一緒にいるなんて、ちょっと不思議だな〜って思ってましたぁ」


エリスはその質問に少し戸惑ったようだったが、すぐに平静を取り戻し、「実は…理由があって、シャドウフォークと協力し合っているの。でも、それについてはまたゆっくり話しましょう」と柔らかく答えた。


カリンは「ふーん…そうなんですねぇ」と呟きながらも、どこか意味深な笑みを浮かべた。その微妙な表情に、レインは何かが隠されているのではないかと感じたが、すぐにそれを口に出すことはしなかった。


しばらくして、カリンは「また明日、話しましょう〜」と言って、にこにこ笑いながら部屋を後にした。エリスとレインはその背中を見送りながら、二人とも何かしら考え込むような表情を浮かべていた。

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