90.敵じゃなくて良かった
西の町ウェストランドへの侵入に成功した。
ゴーレム技術が発達してるからか、道路も建物も新品同様にピカピカだった。
「住民はどこへ行ったんだ?」
ここも他の都市と同様に、人の気配がまったくしなかった。
ふむ……さらわれたのだろうか?
「みんなはボクの作った魔法シェルターに入ってるよ」
女王エイダが俺に説明する。
「ふむ? シェルター?」
「うん。敵が攻めてきたときを想定して作っておいた、空間魔法が付与されてる魔道具さ」
なるほど、魔人に街を占拠されるまえに、ウェストランドの人たちはシェルターへと避難した訳か。
こういう事態を想定し、魔道具を事前に作っておく。さすが女王……といいたいところだが。
「それを各街に用意はできなかったのか?」
「残念ながら、魔法シェルターは一つ作るのにかなりコストと時間がかかるものでね」
各街ごとにシェルターは配置できなかったということか。
「魔道具作りは大変なんだな」
「まあね。っと、おしゃべりはこれくらいにしておこう……来るよ、ゴーレム」
少し離れたところから、武装したゴーレムが近づいてくる。
見た目は通常の人間よりも、作り物感(顔がのぺっとしていたり、肌が機械むき出しだったり)があった。
ざっざっざ、と整列しながら、たくさんのゴーレムが俺の元へやってきて……
がっしゃん、とその場で動かなくなった。
「ふぁ!? な、な、なんなの!? 何が起きたの!?」
同行してたアーネストが尋ねる。
「ステータスを開いて、機能停止しただけだ」
「いつの間にステータスを……はっ! ま、まさか……」
「そのまさかだ。自動でステータスを操作したのだ」
ある程度簡単なステータス操作なら、こっちがいちいち操作せずとも、自動でステータス書き換えが可能である。
ゴーレム機能停止もそれだ。
どうやら簡単な動作ならば自動化可能のようである。
「うひょぉお! すごいよヒラクくん! もう敵無しだね! 文字通り!」
「ああもう! ほんっとヒラクくんが敵じゃなくてよかった! よかったー!」




