80.防衛都市長を驚かせる
俺はサザンの街を支配していた魔人を倒し、さらに捕らわれていた街の人たちを解放した。
「アーネット!」
「ウェンディ。ひさしぶりね」
サザンの街にて。
背の高い魔女帽子を被った女が、こちらに近づいてきたのだ。
「アーネット。この御仁は?」
「彼はヒラク・マトーくん。この町を救ってくれてた勇者よ」
「! そうか……感謝します、勇者殿。私はウェンディ。サザンの街にある第二魔法学校の校長で、この町の防衛都市長でもあります」
ふむ、この人がこの町の最高責任者ということか。
「我らの街をお救いくださり、感謝の言葉もございません」
「気にしないでくれ。俺はノブレス・オブリージュを、己の役割を遂行したまでだ」
強い力を持って生まれた俺は、その力をか弱き人々のために使う義務がある。
それが、ノブレス・オブリージュ。
「なんと素晴らしい考え方でございましょう。このウェンディ、感服いたしました」
ややあって。
俺は壊れた街を修復する作業をする。
ウェンディは目を丸くしていた。
「修復スキルでも、時間を魔法で遡行してるわけでもない。なんとも不可思議な力でございますな、その、【開】とやらは」
俺がやってるのは、壊れたもののステータスを開き、状態を書き換え、破損状態から元に戻してるのだ。
確かにどのスキルでも魔法でもない、独自のやり方だろう。
「瞬く間に街が治ってしまった……すごい……」
「ウェンディよ。都市防衛についてだが、今のままではまた魔人が来たときに困るだろう」
「そうですね。やつらは、私が作った都市防衛システムを、易々と破ってきました……悔しい限りです……」
「ゆえに、新たなる防衛手段として、結界を張らせてもらった。勝手にやってしまいすまないな」
「け、結界……?」
きょろきょろ、とウェンディが周りを見渡し、果てと首をかしげる。
ふむ? どうしたのだろうか。
「ウェンディ。彼の結界は、魔法による結界じゃあないの」
「なっ!?」
アーネットが、ステータスを書き換えることによる、不可侵の結界について説明する。
どさ……とウェンディがその場に尻餅をつく。
「そ、そんな……そんなことが実現できるわけが……」
「できちゃうのよねー……あれみてみ……?」
アーネットが指を指す。
さっそく魔物達が街に近づこうとしていた。
だが、途中で近づけなくなる。
魔物がいくら頑張って入ろうとしても無駄。
この領域に入る許可が下りていないのだ。
「魔法により行動を阻害するのではなく、ステータスによる進入制限!? どういうことなの!? 意味がわからない!?」
「うん、わかる。わかるわ、ウェンディ。意味わからないよね……」
アーネットがウェンディの肩をぽんぽんと叩いてる。
ふむ、まずかっただろうか?
「さすがヒラク様。か弱き民のために、無敵の不可侵結界を施してあげるなんて!」




