70.敵の不意打ちにも余裕で気づく
《ヒラクSide》
俺は中立魔法国家マギア・クィフにきてる。
東の都市、イースタルの人たちを、魔人の支配から解放し終えた。
場所は、イースタルにある第一高校。
学校長である、アーネットの部屋にて。
「ヒラクくん、これからの話なんだけど……あたしもあなたについて行きたい」
「ふむ。危険だ。許可できない」
イースタルの潜入には、ここをよく知ってる彼女が必要不可欠だった。
だがこの都市を開放した今、彼女の役割はもう終えたのだ。着いてくる必要は無い。
「そうですよ、アーネットさん。あなたの戦闘力なんて、ヒラク様に比べたら赤子みたいなもの。足を引っ張る以外にできることなんてありません」
「ミュゼ」
たしなめるようにいうと、彼女は「本当のことではありませんか」と冷淡な口調で言う。
「すまんな、こいつは結構ストレートに物を言うたちでな」
「……ううん。ミュゼの言うとおり。ヒラクくんに比べたら、あたしなんて雑魚よ。でも……でも……」
……ふむ。
気持ちは理解できる。【閃】と彼女は元友達だ。
友達のピンチに、黙って待っていられないのだろう。
「それに拠点防衛はどうするんですか? 敵にこっちの潜入は気づかれてるんです。この都市を敵が放置するとは考えられませんよね?」
俺やアーネットが出て行ったあとに、魔人がくる可能性があると、ミュゼは言ってるのだ。
完全に、アーネットが黙ってしまう。ふむ……。
「お願い、ヒラクくん……あたしは……やっぱりイリーナが……」
「わかった。そこまで言うなら同行を許可しよう」
「ほんとっ? ありがとう!」
アーネットが笑顔になって、俺の手を取り、頭を下げる。
「それに既に手は打ってある」
そのときだ。
ぴくんっ! とミュゼが耳を動かす。
「ヒラク様! 敵襲です!」
「ふむ、やはりか」
「やはり……? では、最初から敵がくるのは……」
「想定の範囲内だ。対策も打ってある。見ろ、窓の外を」
俺は窓を開けて、外を指さす。
娘のフレイが目をまん丸にして驚いていた。
「おそらが、真っ黒! あれは……鳥?」
「鳥形の魔物だろう」
だが鳥の魔物達は、街に入って来れていない。
「そうか! ヒラク様の結界ですね! 空間のステータスに、進入禁止と情報を書き込んだ!」
「正解だ」
空間のステータス書き換えによって、特定の人物以外の出入りを禁じることが出来居る。
「これがあれば、たとえ俺たちが出て行ったあとも、敵がこの町にくることはない」
「すごい……ヒラクくん。どれだけ先の展開を読んで、手を打ってるの……?」
「ヒラク様は数手どころか、百、二百も先を読む力があるのです! すごいんですから!」
そこまでは読めん。




