53.敵組織をサクサク潰す
ハラグロリーナから、真黒商会に関する情報を仕入れた。
・真黒商会は、6つの部門に分かれる。
・①人身売買、②密輸、③暗殺、④麻薬、⑤護衛、⑥金融。
・この6つの部門のリーダーたちを、六落花という。
・六落花のうち、誰かひとりが【閉】である。
・六落花たちはお互いに、誰が【閉】かは知らない……。
ふむ……。
「それで、ヒラク様。我々は今からどこへ向かっているのですか?」
ミュゼを引き連れ、俺は王都を離れ、ここから近い港町へと向かっていた。
「ウォズという港町だ。そこには真黒商会の密輸部門がある」
地竜のちーちゃんが引く馬車に乗りながら、今後の方針を説明する。
「六落花はお互い、誰が【閉】かは知らない。ハラグロリーナは違った。ならやることは単純だ。残り5つの部門、5人のリーダーを、順繰りに潰していけばいずれ【閉】にたどり着く」
「なるほど……! それで、今から密輸部門が拠点としてる、ウォズの街へ向かっていたのですね!」
「ああ。全部門を潰すのに手間はかかるが、どのみちこの腐った組織は、俺が潰すつもりだったからな」
同行していたフレイが、キラキラした目を向けながら言う。
「闇ギルドのせいで、苦しんでいる国と国民のために、正義の力を使う父上さま……かっこいいです! 尊敬です!」
尊敬とかかっこよさとは、関係ない。 俺はノブレス・オブリージュ。
持つ者として、勇者として、当然のことをしているつもりなのだ。
ほどなくして、ウォズの街へとやってきた。
港町ということで活気にあふれている。
俺はこの街にある、真黒商会のギルド会館へと向かう……。
「ふむ。ミュゼ、フレイ。ここで待機」
「「はい!」」
俺はステータス確認してから、中に入ろうとする……。
カチッ……!
チュドッォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
「な、なんだ!?」「町中で爆発事故か!?」「真黒商会のほうで爆発事故だってよ!?」
「しゃしゃしゃ! 馬鹿め! この密輸部門のトップ、【コソック】の罠にまんまとひっかかりよってぇ!」
「ふむ、名前通り姑息な罠をしかけるな」
「なっ!?」
爆発によって巻き上がっていた煙が消え、目の前には、半魚人みたいな男がいた。
こいつが六落花がひとり、【コソック】か。
「馬鹿な!? 地雷を踏んでなぜ無傷なのだ!? というか、そもそもなぜトラップがあるとわかった!?」
「愚者に答える筋合いはない」
敵は組織だ。
当然、情報共有がなされているに決まっている。
俺がここに来るのも織り込み済みだったのだ。
だからトラップくらいは仕掛けててもおかしくない。
俺は建物一体のステータスを確認し、地雷が仕掛けられてることを見て、【対策】を打ってから、中に入ったのだ。
「さすが父上さま! なんて思慮深いのでしょー!」
「おとなしくお縄につきなさい! そうすれば、慈悲深いヒラク様は、殺しはしませんよ!」
ぐぎぎ……とコソックが歯がみしていう。
コソックがギルド会館に入る。
俺はやつの後に続くと……。
「どぉおおだ! 見たか! 密輸で仕入れたこの、大砲の数……!」
ふむ、100もの大砲が、俺に狙いをつけていた。
一階のホール、吹き抜けになっている二階からも、銃口が俺を向いている。
「100もの大砲の一斉掃射で、木っ端みじんに消し飛ばしてくれる!」
「ふむ……やってみるがいい」
俺はステータスを開いて、事前に手を打っておく。
「う、撃てええええ……!」
しーん……。
「なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
大砲が発射されなかったことに、驚くコソック。
「ば、馬鹿な!? おいどうなってる!? 大砲で木っ端みじんにしろ!」
部下たちも困惑してるようだ。
「フレイ、獣咆哮を」
『はい! あおぉおーん!』
ホール中になりひびく、フェンリルのフレイによる獣咆哮。
それを聞いて、大量にいた敵たちは身動きが取れなくなる。
「ば、馬鹿な……なんで……?」
俺は大砲のステータスを開く。
~~~~~~
大砲
【状態】
使用不可
~~~~~~
「なるほど! 銃などの武器の状態を、開錠によって使用できないように書き換えたのですね!」
「ああ。馬鹿どもが一斉掃射したら、建物の外にいる人たちに迷惑がかかるからな」
「この一瞬で、しかも命が狙われてる状況で! こんな的確な判断を下すなんて! すごいですヒラク様!」
フレイはそれを聞いて、目を輝かせる。
『さっきの地雷の時みたいに、結界でガードするのではなく、外の人へ配慮し戦い方を変えた! 父上さまは本当にお優しいおかたです……!』
これくらい当然のことだ。
ただ敵を倒せば良いだけではない。
俺はか弱きものを守るために戦っているのだからな。
「密輸部門もこれで制圧完了。あとは、4つだな。サクサク行こう」
「「はい……!」」




