05.チートスキルを獲得して竜を狙撃ワンパン
街を目指して出発した。
歩きながら、俺はさっきミュゼに見せてもらったステータスを思い出す。
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ミュゼ・アネモスギーヴ(15※人間換算)
体力 40/40
魔力 100/250
SP -
【職業】
賢者
【所有スキル】
・上級・風魔法(A)
・四属性魔法(A)※未解放
・治癒魔法の素質(A)
・詠唱省略(A)※未解放
・聞き耳(C)※未解放
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「ふむ……」
ステータスについてわかったことがある。
それは、ステータスを開くため(ステータス操作スキルを使用するため)には、対象に触れる必要があるらしい。
次に職業スキルについて。
どうにも鑑定スキルを使うと、職業とスキルは合体して表記されるようだ。
しかも厄介なことに、一番目の表記しか出てこない。
俺なら【開】、ミュゼなら賢者と表記され、その人が持ってるスキルまでは表示されないらしい。
鑑定の儀は、職業だけを見るものだ。
その人にどんな技能が先天的に備わってるかまでは把握できない……となると、かなり欠陥のある儀式と言えた。
ようは、あの儀式が人生の全てを決めるわけではないのだ。
たとえ剣聖の職業を引けなくとも、剣術スキルがある場合だってあるのだがな。
まあそれはいい。
次に気になったのは、【※未解放】の部分だ。
どうやらスキルを所有してても、解放されてない場合もあるらしい。
もっとよく調べておこう。
「ミュゼ。手を借りていいか?」
「は、はい! よろこんで!!!!!」
ミュゼが右手を差し出してきた、俺は右腕に触れると「え……?」と困惑してるようだ。
ふむ?
「ステータスを確認したかったのだ」
「あ、あー! なるほど! そっちですね!」
ふむ? そっちとは……?
まあいい。
俺はミュゼのステータスを開いて、スキルをタップ。
・聞き耳(C)(1/10)
鑑定スキルを使って調べたところ、(C)はスキルのランクを表してる。
(1/10)というのは、習熟度を表してることが判明した。
どうやらこのスキルとやらは、一定の動作をすることで習熟度が上昇する。
そして、上限までいくと、スキルを獲得できる、という仕組みらしい。
そうか、俺が剣術スキルを持っていたのは、剣の稽古をしまくって、習熟度があがり、未解放だったスキルを解放してたからか……。
しかし習熟度、あと9もあげないといけないのか。
条件とかわかれば……待てよ。
「【鑑定】」
俺は鑑定スキルで、聞き耳をどうすれば習熟すれば良いのか調べる。
・SP5で、スキル解放
・SP10で、強化聴覚(A)へ進化
・SP20で、超聴覚(S)へ進化
……ふむ。
どうやら、開放でSPを消費すれば、スキルを解放や進化ができるようだ。
SPはかなり消費が激しい数値のようだな。
さて、どうするか。
■強化聴覚(A)
→任意発動型。5キロ範囲内の魔物の声を聞き分ける。
■超聴覚(S)
→常時発動型。5キロ範囲内に魔物が出現した場合発動。魔物以外の正確な位置も割り出すことが可能。
聴覚は索敵のような力のようだ。
これがあると旅も楽になるだろう。
「ミュゼ。相談だ。おまえにスキルを付与したい」
「相談……?」
「ふむ? どうした?」
「あ、いえ! 奴隷に相談ごとなんて、前代未聞です。普通は、主人からの命令に一方的に従うものですので」
そういえばそうだったな。
だが……。
「俺はおまえの意思を尊重する。おまえは道具ではないからな」
なぜなら奴隷も俺たち、力あるものが守るべき存在、だと思ってるからだ。
ノブレス・オブリージュ。それを適用する相手は、選んではいけないと思う。
「うう……なんとお優しいおかたでしょう。私はヒラク様の奴隷になれたことがとてもうれしいです。私は世界一幸せな奴隷です……」
「大げさなやつだな」
「大げさではありません! ヒラク様は最高のご主人様です! 私は一生、あなた様に忠誠を誓います! この身、朽ち果てるまで、御身のおそばに……」
そのつもりだ。
頼まれるまでもない。
「では、いいんだな?」
「はい! お願いします」
ふむ……本人が望んでいるのなら、是非もない。
俺はSPを消費して、超聴覚(S)を解放する。
SP110→90
ポイントをむやみに消費することに、それは良いのかとツッコミを入れるものもいるだろう。
だがSPは、HPのように上限がないこと、そして魔物を倒した際に数字が増えたことから、ゼロになっても死亡などのリスクはないと考えられる。
ならば、ガンガン使うべきだろう。
「ミュゼ。おまえに敵を魔物の位置を知らせるスキルを開放した。5キロ範囲内の敵の位置がわかるようになる」
「!」
身体を震わせるミュゼ。
なんだ?
「そのような……そのような素晴らしいお力を、授けることができるだなんて! すごい……! もしかしてヒラク様は神様なのでしょうか!」
「大げさなやつだ。それより、どうだ? 魔物の気配はするか?」
「ええっと……はい! 北真っ直ぐのところに、この声は……竜ですね」
「ふむ……進んだ先に竜か」
やはり取っておいて正解だったな、聴覚スキル。
敵がいると知らずにのこのこ歩いていたら、今頃竜の腹の中だったろう。
さて竜か。
厄介な相手だ。砦が一つ竜によって壊滅されたことがある、と伝え聞いたことがある。
俺の強さがどれくらいかは不明、そこの【開】は確かにトンデモないが、まだ未知数な部分が多い。
ならばリスクを避けて、迂回するのがベストだろう……いやまて。
「ミュゼ。確かそのスキルは聞き分けが可能だった。竜以外の声はするか?」
突然竜が何の前触れもなく現れるとは思えない。
餌がある、だから降りる……それならつじつまが合う。
「ヒラク様のおっしゃるとおりです! 近くに人の声がします!」
「やはりか……いそぐぞ、ミュゼ」
「はい!」
人命が関わってるなら話は別だ。
俺は力持つものとしての、責務を全うする。
くそ、だが距離が結構あるようだ。
走っても全然竜が見えてこない。
魔法で遠距離から攻撃するか?
しかし当たるかどうかわからない。竜のそばに一般人がいるならなおさら、でたらめに魔法を打つわけにはいかない。
ふむ……せめて遠くにいる敵に、狙いを定めるような力があれば……。
『条件を達成しました』
そのとき、目の前にまたステータスが表示された。
『鷹の目(SSS)が取得可能となりました』
ばかな、ここで新スキルだと?
条件もなにも、遠くに魔法を当てたいと念じただけ……それだけでいいのか?
■鷹の目(SSS)※未解放
→魔力を消費し視力を強化。視界に入ったターゲットをロックオン。遠距離物理、魔法攻撃を確実に敵に当てる。
・SP40ポイントで解放
ふむ……もとあるスキルを進化させるのと違って、ゼロから新スキルをゲットするためには、かなり多くのSPを消費するようだな。
40……なるほど、なかなかの数じゃあないか。
「取得、使用する」
人命がかかってる。SPをゼロにしても死なないのなら、使うことにいささかの躊躇もない。
俺は魔力の残り半分消費し、視力を強化。
ズームインした視界のなかに、翼竜の姿を捉えた。
「ここから狙撃する」
「!? かなり離れてますよ!?」
「問題ない。【氷槍連射】!」
どががががが……!
ずきん、と猛烈な頭痛が襲った。
魔力の使いすぎによるものだろう。
くそ、魔力が足りなかったか。氷の槍の数が、最初に使ったときよりも少ない気がする。
だが、鷹の目の効果なのか、槍は正確に翼竜を打ち抜いて、そして絶命させた。
・SP50→SP150
ふ……やはり俺の予想通り、SPはモンスターを倒せば回復する。
これからもSPはどんどん使っていこう……。
「大丈夫ですか!?」
「ああ……問題ない。竜は倒した。一般人は無事だ」
「すごい……じゃなくて! 大丈夫ですか、ヒラク様! ヒラクさまぁ!」
魔力を使いすぎた俺はそのまま気を失うのだった。




