47.ガス状の邪神も余裕で倒す
ネログーマにある聖域上空。
俺はフェンリルのフレイの背に乗り、雷雲を抜けて、邪神の遺体がある場所へとたどり着いた。
そこは遥か上空、眼下には雲海が広がっている。
フレイの背中から落ちたらひとたまりも無い。
そんな雲海の中に、ぎょろりとうごめく何かがあった。
「目玉だな」
邪神の目玉。
あれが今回の討伐対象だ。
俺は聖剣レーヴァテインを取り出して、早速攻撃をしようとする。
だが……。
ずずずずずずずず……。
『雲があの目玉に集まりだしてます!』
「ああ、ボスのお出ましのようだな」
邪神は、他者に取り付くことで、受肉することがある。
こないだ白根山では、溶岩を取り込んだことで、巨大なミノタウロスの姿に変化していた。
今回はあの邪神の目玉が、周りの雲を取り込むことで……。
「ふむ……あれは、竜。否、極東の伝承にある、霊獣、龍に近い姿をしてるな」
ヘビに近いフォルムの、巨大な化け物だ。
体全体が白く、雲を固めて作った龍のようである。
『き……さま……か……【閉】に、刃向かう……愚か者は……』
『しゃ、喋りました!? 邪神ですかね!?』
ふむ、どうだろうか。
しかし【閉】……か。
また話題に出てきてた。
捕らえてる魔族も、【閉】やらを口にしていた。
邪神、魔族そして【閉】の関係とは……いや、今はどうでもいい。
こいつを倒し、魔族から情報を得ればいいだけのこと。
「悪いが、貴様をここで葬り去らせてもらう」
『ぐわ……ははは! やって……みるがいいい!』
ぐわっ、と白龍が口を開く。
ごぉおお……と口の中に雷が集約していく。
『大丈夫ですよね、父上さま! 雷の進入禁止の結界が張られてるから!』
「フレイ、動くなよ」
『ふぇ?』
ビゴォオオオオオオオオオオオオ……!
白龍の口から放たれた、白い雷がこちらへとやってくる。
あまりの早さ。
だが、今の俺の目でなら、見切ることができる。
「スキル、【攻撃反射】」
俺は聖剣レーヴァテインを手に、剣を思い切り横に振る。
パリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
雷撃は剣に当たると、そのまま進行方向を変えて飛んでいった。
『ち、父上さま……今、雷撃が、結界を飛び越えてきたような……?』
「ああ。恐らく自然発生させた雷ではなく、雷の魔法だったのだろう」
ここへ来る前に作った結界では、今の白龍の雷魔法は防げなかったのだ。
「俺がここに来たということは、雷無効は向こうも周知している。別の攻撃をしてくると踏んだのだが、正解だったようだな」
『す、すごいです父上さま! 父上さまがいなかったら、今頃あの雷に打たれて死んでました……』
ふむ。
しかしなかなか強い魔法を使ってくるようだ。
それにあの見た目、嫌な予感がする。
早期決着をめざす。
「スキル、背面攻撃」
しゅんっ、と俺の体が消え、白龍の背後へと転移する。
「せやぁ……!」
ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
俺の斬撃を受けて、白龍が文字通り、雲散霧消する。
『やりました! 父上さまの勝利……』
ピシャッ……!
ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン……!!!!!!!
『またあの雷魔法!? どうして!?』
『くはははは! あの程度の攻撃で、我が死ぬはずもない……なぜならこの肉体、雲でできてるからな!』
『! そうか……雲でできているから、物理攻撃が効かない……! そんな……無敵じゃないですか……』
『はははは! さらばだ愚か者! 我らに刃向かったから死んだのだ!』
ふむ……。
「生きてるがな」
『なにぃ……!? 馬鹿な……完全に不意を突いて攻撃したはず!』
俺はフレイの背中の上に立っている。
『父上さま! でも……雷魔法を直撃で受けたのに、どうして生きてらっしゃるのですか?』
「直撃を受けたのは俺ではないからな」
聖剣レーヴァテインに力を込めると、大気中の水分が凝結。
みるみるうちに大きくなり、やがてそれは、1つの氷人形となる。
そこから、もう一人の俺が出現した。
「霧氷分身。聖剣レーヴァテインを使った、剣技だ」
氷の人形を作り、そして光の屈具合を調節することで、俺そっくりに見えるようにする、技。
「やつに攻撃したのは俺の分身だ。やつの体が雲を元に精製された時点で、物理が効かない可能性があったからな」
『く、くそ……! だ、だが……! 我が不死身であることには変わりない!』
「それはどうかな」
俺はもう一度聖剣レーヴァテインを構えて、大きく振る。
ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン……!
『父上さま敵は気体だから斬撃は……って、ええ!? 断面から……血が!?』
白龍は俺の斬撃を受けて、体が真っ二つになっている。
そして、断面から血が垂れていた。
さらに今の一撃を受け、遺体部分である目玉もまた、真っ二つになってる。
『ば、馬鹿な……どうして……気体を切ることなど不可能……』
「ああ。そのとおり。だから、書き換えさせてもらった」
俺は敵のステータスを開き、状態を変化させていたのだ。
~~~~~~
邪神の眼球
【状態】
気体→固体
~~~~~~
『そう……か……我としゃべっていたのは……書き換えのための、時間稼ぎ……』
「当たり前だ。なぜ敵である貴様に、意味も無く手の内をさらす?」
『くそ……なんてやつだ……【開】……ばけもの、め……』
ぶわわ……と白龍は消滅。
遺体は完全に木っ端みじんとなった。
・Sチケット2枚
・SP500万
ふむ、スキル善因善果が発動した。
つまり、邪神を討伐できたということだ。
「討伐完了だ」
『すごいです父上さま! 気体の化け物ですら、容易く、そして鮮やかに倒してしまわれるなんて! すごすぎます!』




