42.魔族の悪巧みを余裕で見抜き潰す
セサキ村にて、水不足に困っている村人たちを助けた。
「父上さま、これでいっけんらくちゃくですね!」
「ふむ、フレイよ。まだ問題は解決していない」
「はえ? どういうことでしょう?」
俺はセサキ村の村長に尋ねる。
「村長。お尋ねしたい。水は、今までどうしていたんだ?」
すると村長は目をむいて、そしてうつむく。
「……さすが、勇者様にはお見通しということですか」
「ど、どういうことですか父上さまっ?」
フレイも、そして姫も含めて、問題を理解していないようなので、俺が説明する。
「水の問題は昨日今日始まったものではない。だが彼らは生きている。では水分はどこから仕入れていたと思う?」
「うーんうーん……は! まさか、よそから仕入れて?」
村長が重々しくうなずいて説明してくれた。
「はい……アクダク商会を名乗る商人たちから、水を買っておりました……」
「アクダク……ふむ。聞いたことない名前だな」
新しい商業ギルドか、あるいは、ギルド協会が認めてない商人か。
どちらかといえば後者の可能性が高いな。
村長が水の値段を言う。
「そ、そんな! 通常の水の、100倍もの値段ですわ!」
「はい……そうでもしないと、水が手に入りませぬじゃ」
驚く姫にたいして、村長がうなだれて答える。
ふむ、どうやらアクダク商会とやらは、法外な値段で、水を売りつけてるようだな。
高すぎるから、たくさん仕入れることができず、結果、水が不足していると。
「アクダクの連中から水を買うにも金がたりず、困っていたところでした。勇者様、たすかりましたですじゃ」
「まだだ。礼は早い。その馬鹿どもをどうにかせねばならぬ」
片一方が利益をむさぼるような、悪徳商人どもをのさばらせておくわけにはいかない。
たとえ、問題が起きているのが自国でなかったとしてもだ。
「しかしヒラク様、アクダク商会を潰すとしても、具体的にどうなさるおつもりですか?」
「簡単だ。敵の本拠地へ乗り込み、潰す」
村長が暗い顔をして言う。
「しかしアクダクの連中の本拠地がどこにあるのか、わかりませぬじゃ……」
「わからないのなら、奴らに吐かせるまでだ」
そのときである。
「きーひっひ! 水ぅ! 水はいらんかねぇえい!」
「! アクダク商会の連中ですじゃ!」
ふむ、やはりな。
そろそろ来る頃合いだと思っていた。
黒い馬車が村へと入ってくる。
荷台から降りてきたのは、小柄な男だ。
「きひひ! アクダク商会が水を持ってきましたよぉう! ひひひ! さぁさ村人どもぉ! 水を……ぶげらっ!」
俺は小男を殴りつける。
やつはぶっ飛んでいき倒れる。
「き、きひぃい! 何するんだ貴様ぁ! わたしがアクダク商会の【パシリッサ】と知らないのか!」
「おいパシリ野郎」
「パシリッサ!」
パシリッサに俺は言う。
「貴様、魔族だな」
「な!? ななな、何を証拠にぃ!?」
ふむ、間抜けが釣れたようだな。
姫が俺に尋ねてきた。
「ど、どういうことですの……?」
「姫、これを見てください。ステータス展開」
~~~~~~
パシリッサ
【職業】
・商人
・魔族
~~~~~~
「魔族! では……またしても」
「はい。魔族の連中は、アクダク商会とグル、ないし、アクダク商会そのものが魔族が運営してるのだと思われます」
「そんな……」
ふむ、暗い表情になるのも仕方ない。
自国に害虫が紛れ込み、たくさんの人を苦しめていた。それを、見抜けなかった自分を悔いているのだろう。
「姫、気落ちすることはありません。やつらの変装は実に巧妙だ」
「そのとおりです! ステータスを開ける、すごいヒラク様だからこそ、見破れたのです。一般人が見抜けずとも仕方ないこと!」
ミュゼの言うとおりだ。
ステータスという隠れた情報は俺にしか見えないのだからな。
「ぐぬ……ぐぬぅう……だ、だが! 見抜いたところでどうするぅ? きひ! ここでわたしを捕まえるかぁ?」
ふむ、なぜだかこのパシリッサは、勝ち誇った笑みを浮かべているな。
ああ、そうか。知らないからか。
「わたしをつかまえたら、この国は水不足で死滅しますよぉ?」
「問題ない。水不足はとっくに解決してる。そうだな、村長?」
すると怒りの表情を浮かべた村長が、パシリッサに言う。
「そうだ、見よ! 勇者様がお恵みくださった、このあふれ出る水を!」
村長がONと唱えると、井戸の中に大量の水が噴出する。
「なにぃいい!? ば、馬鹿な……水が出てる!? どうなってるのですぅ!?」
「俺が問題を解決しただけだ。残念だったな」
「ぐ、ぐぬぅうう……だ、だが! これはどうだぁ!」
パチンッ……!
「ぐっ!」「があ……!」「く、くるしぃいい……」
村人たちが突如として、倒れ込み苦しみだした。
「ど、どうなさったのですか皆さん!」
「きひひぃいい! 水不足が解消されたとしても、わたしには第二の策が用意されてるのだよぉう!」
村人たちが苦しみ、悶えだす。
「冥土の土産に教えてやるぜえ! きひひ! そいつは……呪毒! 邪神様の呪毒だぁ!」
え? と目を点にするミュゼたち。
姫もまた、「え?」と驚いている。
まあ、そうだろうな。
邪神の呪毒程度で、勝ち誇ってるのだからな。
「邪神様の呪毒はなぁ! 強力なもので、解除方法はこの世に存在しないのだよぉ!」
「ふむ、村長。この村の人数は?」
「聞けよ!!!! おい!!!!!」
すると村長が、「さ、三〇人ですじゃ……」という。
「ふむ、30人か。ならいけるな」
「きひー! なにがいけるだターコ! 邪神様の呪毒はなぁ、ぜったいに治せないんだよぉお!」
「治ったぞ」
「なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
村人たちの顔色が戻り、彼らが立ち上がる。
「すげえ……体がらくになった」「どうなってんだ……?」
するとパシリッサが目を飛び出すばかりに剥いて叫ぶ。
「ば、ばかなぁ!? どうやって呪毒をなおしたのだぁ!?」
「村人三〇人分のステータスを開き、開錠を使って、呪毒を解除したのだ」
・邪神の呪毒(弱毒)の解除(5万SP)
女王のときは、解除に20万かかった。
しかしどうやら、村の連中に使っていた毒は弱い毒だったようだな。
ふむ、強い毒を精製するにも、コストがかかるということだろう。
つまり、5万SP×30=150万SP、手持ちのSPで、全員救うことができた次第だ。
・SP350万→200万(報恩謝徳)→350万
「そ、そ、そんな……呪毒をこんなにあっさりと……なんだ……なんなんのだ……貴様……?」
「俺はヒラク・マトー。【開】だ」
「ひ、ひぃいいいいい!」
パシリッサが怯えて、きびすを返して走り去ろうとする。
「ヒラク様に恐れをなして、魔族が逃げていきます! さすがです!」
「逃がさん」
俺は聖剣レーヴァテインを地面に突き刺す。
ガキィイイン……!
「うぎゃああ! 体がぁ……! 動かないぃいいいいい!」
下半身が凍りつき、パシリッサはその場から動けなくなる。
「逃げても無駄だ。さて……パシリッサ。貴様から、アクダク商会の本拠地の場所を、読み取らせてもらおう」
「なるほど! 父上さまには、回答者がある! 村に来るだろう水売りの魔族から、情報を引き出す作戦だったのですね! すごいですー!」
さて、馬鹿どもを懲らしめにいくか。
・SP200万→250万




