39.王都の民全員を一瞬で全回復させる
獣王都エヴァシマにはびこっていた病を完全に取り除いた。
さらに黒幕、そして病因も排除したので、これで王都に平和は戻ったと言えよう。
「ありがとうございました、ヒラク……もう、何度感謝の言葉のべてもたりないくらいです」
ネログーマ女王、マンチカン様が、ベッドに横たわりながら言う。
病気は治ったとはいえ、体力がまだ戻りきっていない。
……ふむ。
「しかしまだ完全に平和が戻ったとは言いにくいですね」
「というと?」
「体力です。今回の病気……呪いでしたが、呪いの影響で獣王都エヴァシマの民達の体力が、大幅に減少しております」
ステータス展開、と呪文を唱える。
獣王都に住む人たちのステータスが展開。
彼らの呪いは解けたが、みな体力が一桁台だ。
「寝ていれば自然に体力は回復します。ですが回復にまで時間がかかります。王都民たちを長く苦しめるのは見てて忍びない」
するとフレイが手を上げる。
「では、治癒魔法を施して回るということですか?」
しかしそれに対して、ミュゼが反対意見を出す。
「治癒魔法の使い手は限られてます。それに、王都民全員を治療するとなると、魔力が足りません」
そのとおりだ。
「獣王都の人口は33,600人です。全員を治療するとなると、魔力も人手も足りません」
ぽかん……とする獣人親子。
ふむ?
「す、すごいですヒラク様。獣王都の人口まで把握してるのですね」
「はい。書を読むのが趣味ですから」
人口推移の資料も当然、読んだことがあるのだ。
「約三万人を治療するとなると、これはもうかなりの時間と労力がかかりますね……ヒラク、何か良いアイディアはありませんか?」
「あります、陛下」
俺には一つの作戦があった。
「スキル、開錠、発動」
「開錠……ですか? たしかステータスを書き換えるスキル……って、まさか! ヒラク様!」
ふむ、ミュゼは察しがついたようだ。
そう、開錠はステータスに干渉できる。
それを使って俺は今まで、呪いや病といった、状態異常を治してきた。
しかし、ステータスには他にも……。
~~~~~~
マンチカン=ド=ネログーマ
体力 2/100
魔力 150/150
~~~~~~
これは、女王マンチカン様のステータスだ。
「なるほど、体力も開錠で書き換えが可能! つまり、擬似的な治癒ができるということですね! さすがヒラク様! 天才の発想です!」
俺は開錠を発動。
体力の表示に触れてみる。
『体力を全回復状態へ、書き換える(消費SP150)』
ふむ、仮説は正しかったようだ。
つまり、獣王都の民を全回復させるとなると、
3.36万人×150=504万SPが必要となる。
「しかしヒラク様、現状SPは350万……って、まさか!」
「ああ、スキル等価交換、発動。Sチケット2枚をSPへ変換する」
現在俺はSチケットを3枚所持している。
そのうちの2枚を、200万SPへと変換。
すると、SPはこうなる。
・SP350万→550万→46万
俺は躊躇なく、Sチケット、およびSPを消費して、王都民全員治療した。
しゅおん! とマンチカン陛下をふくめて、彼女らの体が光り輝く。
「体がラクになりましたわ……! ヒラク様、すごいです!」
姫が喜んでくださっている。
「安心なさってください。今全員を治療しました。これで、もう完全に安全です」
女王は自分の顔を手で覆って言う。
「ヒラク……もう、あなたにはどれだけ感謝してもたりません。国を救い、民を救った……英雄です」
「さすがヒラク様ですわ! 自らの持つ貴重なSPやチケットを、おしみなく我らに恵んでくださるなんて! なんと慈悲深いお方なのでしょう!」
窓の外から、大歓声が聞こえてきた。
ふむ、良かった。みなを救うことができた。
俺は、自分の使命を果たせたことがうれしかった。
それだけで、十分なのだ。
「やはりヒラク様はすごいです! 一瞬で3万もの病に苦しんでいた人たちを回復するなんて! まさに治癒の神というべきおかた!」
「父上さますごいです! かっこいいですー!」
かくして、獣王都での任務は無事完了したのだった。
・SP46万→246万




