31.魔物の大軍を一発昇天させる最強結界を作る
マゴイ村にやってきた俺。
熱波による被害を受けていたが、【開】がレベルアップし、空間のステータスが確認、書き換えができるようになった。
ふむ……もしかすると、この空間ステータス、思ったよりすごいことができるかもしれないぞ。
「! 大変ですヒラク様! 大量の魔物が、こちらにやってきます!」
「ふむ。大量の魔物だと?」
ミュゼの超聴覚は、誰よりも早く魔物の接近に気づくことができる。
俺のスキル、天網恢々を発動。
周辺のマップ、および魔物が表示される。
「ふむ。なるほど、魔物だな。200はいる」
「なんですとぉ!? 200ぅう!?」
マゴイ村の村長、ソンチョが目をむいて叫ぶ。
その様子からも、魔物がここまで大挙してやってきたことはなかったのだろう。
「おしまいじゃあ……10や20でも、村に甚大な被害が出るというのに、200となると……」
マゴイ村の連中が暗い顔をしている。
ふむ、いかんな。
すると俺の娘、フェンリルのフレイが「だいじょうぶです!」という。
「父上さまがおります! 100だろうと200だろうと、一瞬で倒せます!」
ふむ、そのとおりだ。
俺にはそれだけの力はある。
「そうか! おれたちには勇者様がいるんだ!」「最強の勇者様がいれば村は安泰だ!」
ふむ、確かにそうだ。
「だが今後をふまえ、別の対処法を考えておかないとな」
「今後? 対処法? ヒラク様が一撃で倒せばよろしいのでは?」
「ああ。だが俺たちが出ていったあとも、魔物は村を襲うだろう」
「! 確かにそうですね……どういたしましょうか」
「それについては、一つアイディアがある」
「アイディアですか?」
「ああ、ステータス、展開」
~~~~~~
マゴイ村内
【状態】
・
・
~~~~~~
マゴイ村の空間のステータスはこんな感じだ。
こないだまでは、状態の欄に猛暑があった。
それを【開】の力で、削除した。
結果、空間内は涼しく、過ごしやすくなった。
ならば、こういう使い方もできるはずだ。
『我が主よ! 急ぐのじゃ! まもなく200体の魔物が村を襲うぞ! わしを抜くのじゃ!』
「ふむ、その必要はない」
『なんじゃとぉ!?』
操作完了だ。
これで、いけるはず。
「ひ! ま、魔物だ!」「あんな大量の魔物みたことねえ!」「きゃあああ!」
■死神蠍(S)
→強力な死毒をもつサソリ型魔物。一撃で死をもたらす毒に、金剛石並みの硬度の固い外皮を持つ。
「死神蠍か。なるほど、あんなのが大量に来たら、おしましだな」
「ひ、ヒラク様! 恐ろしいサソリどもがこちらに来ます! 対処を!」
「必要ない。見ていろ」
サソリたちが村に入ってこようとして……。
ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ!!!!!!
『な、なんじゃあれは!? 魔物どもが、村に入れなくなってる! まるで、見えない壁かなにかに、侵入を阻まれてるようじゃぁ!』
レヴァの言うとおり、魔物達は村に入れないでいる。
「な、なんだ!? すげえ!」「魔物が入ってこないぞ!」「どうなってるんだぁ!?」
村人たちが驚くなか、俺は彼らに説明する。
「この村に、魔物が入ってこれないようにした」
「魔物が入ってこれない!? どういうことですじゃ!? 勇者様!」
俺はソンチョたちに見えるように、ステータスの表示を変える。
~~~~~~
マゴイ村内
【状態】
・進入禁止(魔物・魔族)
・
~~~~~~
「しんにゅうきんし……? 父上さま、どういうことですか?」
「この空間のなかに、入れる存在を制限したのだ」
「! じゃ、じゃあ……魔物や魔族は、ここへ入ってこれなくなるように、したと!? す、すごいです父上様!」
空間の情報を書き換えると、このように進入制限をかけられるようだ。
「まるで結界術です……! しかも、結界とちがって構築に魔力が要らず、破られることもない! 完璧な魔物不可侵領域となってます! すごすぎです、こんなのまさに奇跡の技としか言いようがありません!」
ミュゼがそういうと、村人たちが大歓声を上げる。
「すげええ!」「勇者様すごすぎる!」「魔物不可侵結界を一瞬で作るだなんて、まるで神様みたいだ!」
・SP 1,650,000→650,000→800,000
空間の書き換えは、やはり100万SPかかった。
その後、報恩謝徳で回復したが。
しかし、ふむ。
「まだ足りんな」
「もう十分すぎますよ、勇者様!」
「いや、まだだ。これでは村人が外に出れないではないか」
現状では魔物を、ただ入ってこれなくしただけだ。
勢いよく突っ込んできた死神蠍どもは圧死したものの、後ろにまだ魔物が控えている。
「理想を言うなら、魔物が近づいた瞬間即死する結界にしたいところだな」
「恐れながら申し上げますと、そんな結界、前代未聞です。結界とは内側に入ってこれなくするものと、相場が決まっております」
ふむ。
だがそんな常識は、力を持つ俺には通じない。
力……そうか。
「まずはドロップアイテムを回収する」
死神蠍から、一番レアなドロップ品、『死神蠍の毒袋(SS+)』を50個回収。
どうやら50匹圧死したようだ。
「次に、ドロップアイテムを等価交換で、SPに変える」
・毒袋×50→250,000SP
毒袋(SS+)1つあたり、5千SPか。
・SP800,000→1,050,000
「これで、あとは100万SPをつかって、空間を書き換える。すると……」
そのときだ。
パリィイイイイイイイイイイイイイイイン!
「なんだ!? ガラスが砕け散った音!?」「結界が壊れたのか!?」「い、いや違う! あれを見ろ!」「サソリどもが、消えてるぅう!?」
結界に阻まれてはいってこれないでいたサソリたちが、1匹残らず消滅していた。
「ヒラク様! いったい何をなさったのですか?」
「空間にスキルを付与した」
「空間にスキル付与ぉ!?」
そう、この空間にもスキルスロットがあった。
つまりは、スキルを空間に付与できるということ。
「俺も持ってるスキル、攻撃反射を空間に付与したのだ」
■攻撃反射(S+)
→あらゆる攻撃を倍にして返す
「スキルならば魔力の供給は必要とせず、何度も使える。魔物が入ってこようとしたら、やつらは弾き飛ばされ大ダメージだ。賢い魔物はそれで去っていくし、馬鹿なやつは何度も突っ込んで死ぬ」
おおおお! と村人たちが大歓声を上げる。
「こんな素晴らしい結界を! 我らのために用意してくださるだなんて! ありがとうございます!」
「「「ありがとうございます!!!!!」」」
ソンチョふくめ、全員がまたその場で土下座する。
「気にするな。これも、ノブレス・オブリージュ、勇者である俺の務めだ」
当然のことをしたまでなので、感謝なんてされなくていい。
だが、みなの安全が確保され、笑顔になれたのを見て、俺は自分の使命を果たせたのだと、誇らしく思うのだった。
・SP0→2,755,000(毒袋150個を等価交換しその分を+)




