29.瀕死の少女も超余裕で助ける
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ヒラク・マトー(15)
体力 5000/5000
魔力 1000/1000
SP 345000
Sチケット 2枚
【職業】
開 Lv4
氷剣の勇者
【スキル】
・魔力共有(A)
・隠蔽(A)
・威圧(A)
・従魔召喚(S)
・隠蔽看破(S)
・高速(S)
・鷹の目(S)
・攻撃反射(S+)
・不動要塞(S+)
・背面攻撃(S+)
・リジェネ(S+)
・最上級・氷属性魔法(SS)
・最上級・剣術(SS)
・ステータス操作(SSS)
・アイテムボックス(SSS)
・最上級・鑑定(SSS)
・開錠(SSS)
・回答者(SSS)
・聖剣召喚(SSS)
・黄金の手(SSS)
【ユニーク・スキル】
・報恩謝徳(UN)
・天網恢々(UN)
・善因善果(UN)
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俺の名前はヒラク・マトー。
剣聖の一族、マトー家の長男だった。
ある日、鑑定の議を受けた俺は、自分の職業スキルが【開】という、前代未聞のものだった。
外れスキルと判定された俺は実家を追放される。
しかし【開】はステータスという、いしにえの勇者しか見ることのできない、不思議な窓を開くことができた。
それを使うことで俺は徐々に強くなっていき、最終的には勇者へと進化した。
道中、俺は邪神ギンヌンガガプの復活を企む魔族と幾度となく交戦。
俺は、自らに課せられた、邪神の遺体を破壊するという使命に気づく。
王国、帝国で邪神の遺体の破壊に成功した俺は、新たなる邪神の情報を求めて、旅を続けるのだった……。
☆
マデューカス帝国にあった、邪神の遺体を破壊した俺は、東へ向かっていた。
馬車は森の中を進んでいく。
「父上さまっ!」
「なんだ、フレイ?」
フェンリルの子供、フレイ。
赤いふわふわした髪の毛に、犬耳が愛らしい見た目をしてる。
「我々はどこへ向かってるのでしょー!」
「ふむ。言ってなかったな。獣人国ネログーマだ」
「獣人国? ねろぐーま?」
俺は軽く説明する。
「帝国からみて東に位置する国だ。主に獣人たちが暮らしている、緑豊かな国」
「へえ……! 知りませんでした……! 父上様やっぱり物知りです!」
「ふむ」
俺は確かに実家に居た頃、書をよく読んでいた。
知識を蓄えることもまた、貴族のたしなみの一つだからな。
「ありがとう。だが知らないことは気にしなくていい。おまえは生まれたばかりなのだ。これからいろんなことを覚えていけば良い」
「はいっ!」
と、そのときだった。
「ヒラク様」
「どうした、ミュゼ?」
御者台に座る、ハーフエルフの少女……。
ミュゼが、俺に言う。
「超聴覚スキルが発動しました。恐らく魔物が人を襲っております」
「ご苦労」
ミュゼのスキル、超聴覚は5キロ以内の魔物や、声を感知できるのだ。
「スキル天網恢々、発動」
俺の目の前に半透明の窓が出現する。
そこには、周辺の詳しいマップが表示されていた。
「ふむ……この先の森のなかに、人がいて、魔物複数体に取り囲まれてるな」
「相変わらず、ヒラク様のユニークスキルは凄いです!」
マップを見て俺は嫌な予感を覚えた。
「ミュゼ、馬車を止めろ。フレイ、フェンリル姿になって、俺とミュゼを載せるんだ」
「かしこまっ、父上さまっ!」
ぴょんっ、とフレイが窓から外に出ると……。
大きな、赤毛のフェンリルが出現する。
俺とミュゼはフレイの背中に乗る。
フレイは凄まじい早さで、空を駆け出した。
「ヒラク様、私も同行させるのは何か理由があるのですか?」
「ああ。おそらく既に、魔物に殺されてる可能性が高い」
「! それは……どうして?」
「マップを見れば一発だ」
マップ上には人がひとりいて、その周りに複数体の魔物がいる。
だというのに、人間は動こうとしない。
「……死んでるかもしれないのに、助けに行く必要がどこにあるのです?」
「かもしれない、だからだ。生きてる可能性が一ミリでもあるなら、俺は助ける」
「無駄足になって、下手したらその魔物に返り討ちにあうとしても?」
「当然だ。俺は、どんなときでも、ノブレス・オブリージュを遂行する」
ノブレス・オブリージュ。
力を持って生まれたものは、か弱きもののために振るうべき。
貴族が、持てるものたちが、当然胸に抱いていなければならぬ精神。
「さすがヒラク様。なんと慈悲深いおかたでしょう。私は、ヒラク様のような最高の主人の奴隷になれて、誇りに思っております!」
ほどなくして、マップ上に記された場所へと到着した。
『父上さまっ! アレ見て!』
「ふむ……大灰狼だな」
■大灰狼(A)
→群れをなし行動する。ステルス機能を持っている。
『子供が大灰狼に食われてる……! 大変です!』
「ふむ、近くに降りてくれ」
『はい!』
か弱きものの命が、今まさに消えようとしてる。
俺は……しかし、焦ることなく、フレイから降りて、大灰狼の群れに近づいた。
ここでしくじれば、おしまいだから。
焦って手元を狂わせ、反撃をくらい、おれが死ぬようなことがあれば……。
あの子は、助けられない。
俺が最後の希望、ならば、俺は焦ってはいけないのだ。
「ぎゃうう!」「ぐぎゃう!」「がるるうるる!」
俺は真っ直ぐ、大灰狼たちに襲われてる女の子のもとへむかう。
モンスターたちが襲いかかってくるが……。
「失せろ」
スキル、威圧を発動。
雑魚を威圧し、戦意喪失させるスキルだ。
「きゅうう!」「きゃううう!」
「犬どもがヒラク様に恐れをなして逃げていきます! すごいです! 相手はAランクのモンスターなのに!」
ふむ、もはやAランクは雑魚扱いになるんだな。まあどうでもいい。
俺は傷付いた少女のもとへむかう。
「ステータス展開」
~~~~~~
リリララ(5)
【状態】
瀕死
四肢欠損(左腕、右足)
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■瀕死
→治癒魔法がきかない状態。完全回復薬でなければ回復不可。
「これは……酷い……ヒラク様。この状態では治癒が効きません」
「問題ない。スキル、開錠発動」
開錠。
【開】が持つスキルのひとつだ。
相手のステータスを、SPを消費することで書き換えることが可能。
・瀕死状態、の削除(50000SP消費)
・四肢欠損、の削除(15000SP消費×部位)
ふむ。すべて直すと、8万SPが必要となるのか。
なんと、安い。
「スキル開錠発動」
俺は8万SPを消費して、状態異常を直す。
・SP345000→265000
すると少女の体が突如として光り出す。
失った四肢は元に戻り、そして怪我が引いていく。
「す、す、すごすぎますヒラク様! 信じられません……こんな状態になったら、完全回復薬でなければ治せないのに!」
『さすがです父上さまっ! で、でも……SP結構したんじゃあ……?』
「ポイントなど、人の命に比べれば安いものだ」
「ヒラク様素敵です!」『父上さまかっこいー!』
やがて、少女が目を開ける。
彼女は自分が生きてることに、驚いてるようだ。
「大丈夫か?」
「う、うん……あ、あれ……? あたし……魔物におそわれて……しんだんじゃ……?」
「大丈夫だ。魔物は追い払った。君は俺が治療した。ミュゼ、治癒を」
ミュゼがうなずくと、治癒魔法で体力を回復させる。
女の子は涙を浮かべながら、ぽろぽろと泣き出す。
「ありがとう……ありがとう……お兄さん……」
・SP245000→250000
俺のスキル、報恩謝徳が発動した。
感謝されるとSPが回復するというもの。
「ヒラク様、消費したSPのほうがおおいのですが……よいのですか?」
「何を馬鹿なことを言ってるのだ。SPなんてどうとでもなる。一番重要なのは人の命だ」
「なるほど……やっぱりヒラク様は素晴らしいお方です!」
女の子の治療が終わった後……。
俺は、後ろを振り返る。
「レヴァ、使うぞ」
『おう! って、何にじゃ? 周りになにもおらんが』
俺は氷の聖剣レーヴァテインを、地面に突き刺す。
ガキィイイイイイイイイイイイン!
「ぎゃあうう!」「ぐぎゃ!」「がはっ……!」
地面から氷柱が発生し、周りに居た大灰狼たちの腹を、突き刺し、絶命させた。
『だ、大灰狼!? 逃げたのではなかったのですか!?』
「ああ。やつら姿を隠せるからな。俺たちが隙を見せるまで潜伏したのだろう」
だが俺には天網恢々がある。
これがあれば、たとえ姿が見えなくても、敵の位置を把握できる。
『すごいです……父上さま。なんて冷静な判断力! 尊敬します!』
・SP250000→275000
ふむ、ミュゼとフレイ、そしてレヴァを喜ばせていたらしいな。
ほら、SPなんてどうとでもなるのだ。
人を助けるのにいくらSPを使おうと、問題ないのである。




