168.自爆
宿屋の中にて。
俺は砂漠エルフの卑劣なる策略を、スキル【開】で切り抜けた。
「貴様はもう仕舞いだ。貴様の暗黒空間は、俺には通じない」
こいつの、異空間を作る能力と、空間を切り開く事ができる俺の能力は、相性が悪すぎるのだ。
俺の前では、奴の最強の盾も矛も意味を成さない。
「大人しくしろ」
「く、そがぁああああああああああああああ!」
砂漠エルフが獣のように絶叫する。
だが、その絶望的な叫びは、唐突に止んだ。
奴の瞳から理性の光が消え、代わりにドス黒い狂気が宿る。
こうなったらと、奴は自らの破滅すら厭わない奥の手を出すことを決意したのだ。
にぃと、砂漠エルフの唇が邪悪に歪んだ。
「ひ、ひひひぃ! 邪神ギンヌンガガプさまぁ……! ばんざぁああああああああああああああああああい!」
狂信的な叫びと共に、砂漠エルフの頭上に、小さな暗黒空間の種が出現する。
まさか。
ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
空間が悲鳴を上げた。
頭上の闇は瞬く間に膨張し、宿屋の天井を突き破り、巨大な黒い球体となって顕現した。
それは周囲の光も、音も、空気さえも貪り食いながら、さらに肥大化していく。
この辺り一面を、俺たち諸共に吹き飛ばそうとしているのだ。
「自爆か。ナンセンスだ」
俺だけを殺せばいいものを、周りを巻き込もうとしている。
全く、無意味なことを。
俺は、タンッ! と床を蹴り、膨れ上がる破滅のエネルギー体へと真っ直ぐに飛び込んだ。
「そんなっ……! ダメです、ご主人様ぁ!」
「父上さまっ……! いけません……っ!」
背後でミュゼとフレイの悲痛な叫びが聞こえた。
だが、俺は止まらない。自ら暗黒空間の中へと姿を消した。
「ふははは! 馬鹿め、自ら飛び込むとは! やつは死んだ! しんだぁ……!」
砂漠エルフが勝利を確信し、哄笑する。
奴は暗黒空間をなおも広げようとする。なるほど、やはり制御できていないのか。暴走する力に、自分自身も飲み込まれようとしている。
だが、遅い。
俺はもう、その「中」にいる。
「スキル反転……【閉】」
【おしらせ】
※1/9(金)
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