167.ひらくもの
どうやらこのダーフという男は、宿の主人の家族を人質に取っているらしい。
吐き気を催すような外道だ。
このヒラク・マトー。貴族として、そのような悪逆非道を見過ごすわけにはいかない。
「おい、ダーフ。暗黒空間とはなんだ?」
俺は冷ややかな視線を突き刺した。
「グッ……が……『邪神ギンヌンガガプ様のお力を借りて作られる、異空間のこと』……くそ! しゃべりたくないのに、勝手に口が!」
心の鍵すらこじ開けてしまう、【開】による強制自白だ。
なるほど。邪神の力で異空間を作っているらしい。
「悪いが、返してもらおうか。この方の御家族を」
「へっ! やだねえ……! 誰がそんなことを……!」
ダーフが顔を歪めて嘲笑う。
俺は無造作に歩み寄ると、ダーフの頭を鷲掴みにした。
「な、何をする……!」
「暗黒空間の入り口を、出せ」
「ぐっ! む、無駄だ! 暗黒空間は、力の根源である邪神ギンヌンガガプ様がお作りになられている! 御方が許可しない限り、入り口は絶対に開かない!」
なるほど。この屑が出入りを管理しているわけではないのか。
だが、関係ない。
「残念だったな。【開】、発動」
俺が魔力を込めると、空間が悲鳴を上げた。
ゴゴゴゴゴッ!
空間がねじ切れ、ダーフの横に漆黒の穴が無理やりこじ開けられる。
そこから吐き出されるように出てきたのは、小さな女の子と、やつれた女性だ。
「あんたぁ……!」
「ぱぱぁ……!」
主人のもとへ、二人が駆け寄る。
涙を流して抱き合う姿を見て、俺は安堵の息をついた。やはりこの方の家族で間違いない。
「ば、ばかな! 邪神様の許可がないのに、なぜ暗黒空間の入り口が開いたのだぁ……!」
ダーフが信じられないものを見る目で絶叫する。
俺は彼を見下ろし、淡々と告げた。
「悪いな。俺の力は【開】。閉ざされたものならば、どんなものでも開けることができる」
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