161/175
161.
船はアネモスギーヴ港に停泊した。
船が着くと同時に、わらわらと、エルフたちが、近づいてきて……。
いや、違う。エルフではない。
「父上様? エルフさんたちにしては、肌の色がちがくありませんか?」
「ああ。あれは……ダークエルフ、だな」
ダークエルフ。エルフよりも好戦的で、それゆえに、人間と敵対するようになったという。
……ダークエルフが、にこやかな表情で、船の停泊の手伝いをしていた。
……嫌に、友好的だな。
文献で読んだ記述と異なる。……何かオカシイ。
とはいえ、だ。あくまで俺の知ってる知識と照らし合わせて、妙だと思っただけだ。
実態は異なるのかもしれない。
「降りよう」
「はいっ!」「…………はい」
ミュゼは相変わらず元気がない。あまり、この国に良い思い出がないのだろう。
無理もない、彼女は俺とで会ったとき、奴隷として扱われていたのだ。
きっと何らかのトラブルが彼女のみに降りかかったのだろう。その何かは、わからないが。
それでも彼女は自分で過去を語らない限り、俺は詮索するつもりはない。
「行こうか」




