129.落着
魔法国にて。
イリーナの暴走を止めることに、成功した。
ステータスを開いて、俺はイリーナにかかっていた呪いを、ステータス操作によって、解除してやる。
「…………」
イリーナのステータスには、【閉】によるステータス捜査を受けていた。
【閉】……父上。
あいつのせいで、彼女は操られていた。
俺とおなじ力を持ってるくせに、どうしてこんな酷いことを……。
いや、今それを考えても詮無いことだ。
やつの野望については、やつを捕まえてから詰めればいい。
今は、彼女を呪縛から解き放つことが先決だ。
俺はステータスを操作し、イリーナの状態を戻す。
聖剣レーヴァテインの能力を解除。
氷が一瞬にして水に変わる。
倒れそうになるイリーナの体を、俺は抱き留めた。
「うう……ここは……?」
「イリーナ!」
アーネストの呼びかけに、イリーナが応じる。
「アーネスト……私は……一体なにを……?」
アーネストが困惑してる。
イリーナがあれだけ散々色々やって、それを覚えていないことに、不信感を覚えてるようだ。
……それのそのはず。
俺は、【閉】による支配を受けている間の記憶を、ステータスを操って、消したからである。
……父とおなじことをやってる。
そうそしられても、いい。
彼女が悪行に及んでいた間の記憶のせいで、彼女が苦しむくらいなら……。
俺は、偽善のそしりを受けることに、いささかの躊躇もない。
これが、ノブレス・オブリージュ。
力あるモノの義務であり、背負うべき……業だから。
「……ありがとう、ヒラクくん」
ぽつりと、アーネストがつぶやく。
どうやら俺のやったことに気づいたようだ。
「……ほんとに、ありがとう。彼女を、本当の意味で救ってくれて」
「気にしなくて良い。俺はノブレス・オブリージュを遂行しただけだ」
こうして、長かったマギア・クィフでも騒動に、終止符が着いたのだった。
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