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孤島は動かずに傍らにいる。  作者: 白木飛鳥
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第1話

太平洋の海が望む高台のこの墓地に俺の親父たちの墓はある。

12年前、すぐそこに通る道で俺たちの親父らは事故にあった。

悲惨な事故だった。居眠り運転によってバスは海に落ちて、

俺たちの親父たちを含む乗客は全員即死だったという。

バスの運転手は生き延びたが謝罪一つなく命を絶ったという。

それから俺は隆晴の家に、女子二人は夢香の家に引き取られた。

そして、毎年ここには命日に墓参りに来ている。


隆晴と夢香の親たちには本当にお世話になっている。


「おじさんたち、今年も親父たちにあわせてくれてありがとうございました。」


毎年言っているような気もするが、その言葉が正しいのだろう。


「いいのよ、これは私たちの役目でもあるのだし。」

「そうだよ。私たちも今年もこれてよかったわよ。」


本当にやさしい方々である。いまだに真相解明に力を注いでくれている。

そねに、この二人にも・・・。


「そういっていただけて助かります。ありがとな。隆晴、夢香。」

「あぁ。」「うん。」


赤髪で俺の顔を見てるのは相野隆晴あいの たかはる

頼れる俺の大親友である男である。


もう一人の女子は花苗夢香かなえ ゆめかである。

もう一人の俺らが絶望していた時に助けてくれた人である。


右隣にいる青髪の女子は広野海子ひろの うみこである。

俺の親父たちと一緒に両親が亡くなった二人の女子の一人である。


左隣の緑髪の女子が八神美空やがみ みそら

もう一人の女子であり、この二人は夢香の家で育てられた。


そして俺が、大地康太だいち こうた


「さて、そろそろ帰る準備でもするかな。」

「そうだな、じゃあ、親父、おふくろ帰るからな・・・。」


俺は隆晴の家の車に乗っていた。隆晴の弟と妹は疲れて寝ていた。

普段は物静かな親父さんが口を開いた。


「康太、ごめんな。こんなに時間がかかるとは思わなくてな。」

「いえ、おじさんたちにはお世話になってます。」

「私たちが悪いかもって思ってずっと思っててね。」

「そんなことはないです。海子も美空も俺もおじさんたちには感謝していません。」


なぜ、おじさんたちがそんなこと言うかというと、

12年前、俺らの親父たちに旅行をプレゼントしたのはおじさんたちだからだ。

最初は隆晴の家族、夢香の家族の六人で行こうとしていたらしい。

しかし、おばさんたちが妊娠してることが分かって負荷かけてはだめだということで

育児で旅行できていなかった俺や女子二人の親たちが行くことになった。

俺らは子供だったので、連れて行ってもらえなかった。


「俺らは、両親を亡くしましたが、もしおじさんたちが行っていたら隆晴と夢香がいなかったかもと思うとそれも嫌なので・・・。」

「康太は、本当偉い子だ。父親にそっくりだ。」


俺ら五人の親たちも俺らのように小さいころから仲が良かったらしい。

家についてからすぐに明日の学校の準備をして寝ることにした。


「いやぁ、やっぱり、埼玉静岡は長いな。」

「そうだな。毎回この会話をしてるがな。」

「あぁ、本当にありがとな。隆晴。」

「もういいって。おやすみ。」

「あぁ、おやすみ。」


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