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元勇者は安らかに眠りたかった  作者: てけと
闘技大会編
16/30

遠距離魔法大会終了

 エルとルリエが心配だったので、即座に二人が運ばれた医務室へと向かう。


 バンッ!とドアを開き、医務室に駆け付ける。


「大丈夫か!エル!ルリエ!」

「「カイ・・・ケンシン様!!」」


 入るや否や、二人に抱き着かる。


「あれ?思ったより無事そうだな・・・エルが雷の魔法を使った時は、ルリエが死んだかと思ったぞ?」

「まだそんなに威力は出せませんよ?精々気を失う程度の電撃しか出せません。燃費も悪いですし、要改良ですね」

「そっか。頑張ってたんだな。俺が言った荒唐無稽な魔法をよく再現したな。えらいえらい」


 エルの頭を撫でる。エルは嬉しそうに目を細める。


「ルリエもすごかったな!なんだあの矢は、遠距離武器の概念が変わるぞ!」

「まぁ私しか使えない特別製ですし、一本金貨一枚で消耗品。とてもじゃないですが実用性はないですけどね・・・」

「それでもすごいさ!魔石を加工しようなんてなかなか考えられることではないしな」

「でしたら私もご褒美を下さい」

「お・・・おう」


 エルと同じく、ルリエを撫でようとしたが、手を掴まれ、クイっと引かれる。

 そのまま頭をがっちりホールドされ・・・キスされた。


「んっ・・・」

「あーーー!!お母様!」


 少しすると唇を離し、満足げにほほ笑むルリエ。


「ひとまず今はこの辺で、続きはベットの上で・・・」

「ず・・ズルイですお母様!!カ・・・ケンシン様!!私も!私も甘いキスと刺激的な夜を!!」


 ぴょんぴょんと跳ね、俺の頭を押さえようとするエルを躱し、一歩下がる。

 

「あはは・・・それだけ元気なら大丈夫そうだな」

「ええ。いつでもヤれますね」

「私もいつでも出来ます!!」

「あ~・・・優秀な回復魔法士がいたもんだな。傷一つないじゃないか」


 露骨に話を逸らす。なにせそう言う話はあまり得意じゃない。


 ちらりと後ろにいる回復魔法士を見る。


「って・・・あれ?ハルちゃん?」


 こちらに気付くと、ぺこりと頭を下げる。


「ご・・ご無沙汰しております!カイさん!!」

「あれ?ハルさんとお知り合いなんですか?カイ様」

「・・・カイ様はすぐに女の子を・・・」


 とぶつぶつ言うエル。どうやらルリエはハルちゃんの事を知っているようだ。


「ハルちゃん・・・もしかして回復魔法士の大会に?」

「は・・はい!私も何かできないかと思って・・・ははは・・・流石に優勝はできないでしょうけど・・・」

「そうか・・・頑張ってるんだな。良かったよ」

「はい!この世界に来て・・・初めて友達が出来て・・・こんな私でも何かできないかと・・・それに」


 ハルちゃんは俺の耳に口を寄せて言う。


「私にはスキル【賢良方正】がありますから、ちょっとズルをしてるんですけどね」


 そう言ってイタズラが成功したみたいに、舌をペロッと出してにこやかにほほ笑むハルちゃん。


「ははは!やっぱりハルちゃんは笑うとなお可愛いね!君にとって、この世界がいい世界であるならば言う事はないさ」

「可愛い!?もう・・・カイさんは女の子に軽々しくそういうこと・・・言っちゃだめですよ?」

「そうです!カイ様はこれ以上女の子をたぶらかしちゃだめです!」

「そう?私は別に何人嫁がいても構いませんが・・・」


 嫁か~。一人でも俺の事を好きでいてくれて、尚且つ辺境でも暮らせる子がいればなぁ・・・。

 あ・・・。ルリエはおkなんだっけ?魔王討伐終わったら一緒に暮らせたりするのかな?


「あ・・・これは見当違いの事を考えてる顔です」

「え・・・?」

「カイさんって朴念仁なんですか?」

「いえいえ、ハルさん。カイ様はちゃんと好意を示せば答えてくれますよ。ただ・・・回りくどいと気づいてくれないだけです」

「ルリエさん・・・それを朴念仁と言うのでは・・・?」


 キィと扉が開き、メイが医療室に入ってくる。


「あら?ケンシン様。いらっしゃったのですか」

「おう。メイは何しにここに?」

「回復魔法士の大会の審査員ですからね。エル、ルリエ。体を見せてください」

「「はい」」


 おもむろにシャツを脱ぎ、半裸になる二人。

 即座に後ろを向く。


「あらあら。別にカイ様なら見ていただいて構いませんが?」

「同じくです!!」

「はいはい・・・。うん傷一つ、火傷の一つも残っていませんね。適切な処理と、正確な治療、さらに腕に磨きがかかっていますねハルさん」

「ありがとうございますメイさん!」

「実際ハルちゃんはどのくらいの順位なんだ?つーか魔法使えるのめっちゃウラヤマシイ」


 俺は使えないのに・・・。魔力自体はあるらしいが、適正が全くないからなにも使えない。

 魔法剣士とかカッコいいのに・・・。


「そうね・・・一位二位を争ってる一人がハルさんね。私が教えた技術、知識をどんどん吸収してますから。伸びしろはすごいわ。魔力の操作も上手ですし」

「へぇ!それはすごいな!」

「ハルさんが1位になっても、魔王討伐にはいかせませんけどね」

「当たり前だろ?勇者は二人もいらんしな」


 それにハルちゃんが回復魔法士ならば、とどめを刺さないといけない勇者は、少し荷が重いしな。それに・・・ハルちゃんはもしもの為にも、残っててもらわないといけないしな。


「今日で勇者様と共に行くメンバーの半分が揃いましたね。ケンシン様的にはどうですか?メリーとエリはちゃんとこなせそうですか?」

「問題ないさ。後の先を極めつつあるメリーに、規格外の魔術師のエル。豪華すぎんだろ。そもそも魔王と戦うのは俺一人の予定だしな」

「「「え?」」」

 

 ルリエ、エル、ハルちゃんが驚きの声をあげる。


「前回の魔王は、突撃した人々を取り込み、強大になりましたから・・・あの時も最初から・・・」

「言うなって。今までにないタイプの魔王だったんだから、誰にも責任はないさ。と言う訳だ。魔王とは俺が一人で戦う。その為にこの1年準備をしてきたからな」


 前回と同じ轍を踏むわけにはいかないからな。


「今回の魔王討伐パーティーの役割は・・・勇者様を万全の状態で魔王の元に送り届けることです。そして・・・その戦いに邪魔が入らない様にする。要は補助役になります」

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