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第7話 お触り禁止

 十数分後――


「平ちょっとちょっと」 


 俺は佐々木さんに、人目の少ないところに連れて行かれる。

 現在、新しく知り合った女性二人(吉田さんと中村さん)との二ゲーム目が進行中。俺の二フレーム目の投球が終わったところで、結果はスペア。嬉しいけど何でさっき出せなかったんだスペア。でもスペアなんて今はどうでもよかった。俺にとって重大な事件がすぐそこで起こっていた。


「さすがにちらちら見すぎだぞ」

「やっぱ佐々木さんも気づいてたんですね! あいつ、しずかさんの腰に、腰に手を回してましたよね!?」

「いや俺の話聞いてたか?」

「あ、また! 佐々木さん今です! 見てください、あいつです!」


 指を差しながら必死に訴えかけた。佐々木さんもしずかさんの方に視線を向けた。


「んー……そう見えなくもなかったな、しずかちゃんボウリング初心者っぽいから教えようとしてるんじゃないのか、距離感はまあ近いな」

「ですよね、ちょっと注意してきます!」

「おい待て」

「ぐっ!」


 しずかさんにベタベタするあの公務員みたいなやつ(偏見)にマジで注意しに行こうとしたら、佐々木さんに後ろ襟を掴まれた。

 

「こういうのは運営に任せとけって、揉め事になるからな。スタッフに話して来るからここでちょっと待っとけ」

「……はい」


 言う通りだと思って頷いた。佐々木さんはさっと運営スタッフのところに行って、一言二言交わして戻って来た。


「あとで注意喚起のアナウンスを流してくれるそうだ。スタッフもあいつのこと注意して見てくれるそうだから大丈夫だろ」

「そうですか、ありがとうございます……」 

「よっし、じゃあ気を取り直してボウリングに戻るぞ! 女の子二人を待たせてるからな、まずは平謝りだ!」

「……はい!」

 

 何て言うか、二ゲーム目を一緒にボウリングする吉田さんと中村さんのことがすっかり頭から抜けてた。しずかさんのことばかり、ちらちら見てたら二人に失礼だよな。そんなことを考えていると、


『あーあー、男性の皆様、距離を縮めたくて逸るお気持ちはよくわかりますが、お触りは禁止で~す、気を付けてくださいね~! ハイタッチはアリとしま~す! もちろん嫌がっている人には御法度ですよ~~!』


 司会の鈴木さんの声が聞こえて来た。早速、運営スタッフが対応してくれたみたいだ。佐々木さんが言うように、あいつのことは運営スタッフに任せよう。それでもしずかさんのことは気になるけど、二ゲーム目含め残る七ゲーム、しっかり相手に失礼のないようにボウリングしよう。


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