#2
【本日の一問】
80歳代の男性患者さんが、消化管出血で止血処置を施行後、入院となりました。病室のナースコールが鳴ったため、訪室すると苦痛表情があり、ベッドに端座位で、前かがみになって腹部を抑えています。腹部の観察の方法と腹部のフィジカルアセスメントで、正しいのはどれでしょうか?
【選択解答】
1.聴診の前に、触診で腹部の固さや張り、痛みの部位の場所を確認した。
2.打診をすると「ポンポン」と高い音が聞かれたため、腸管にガスが溜まっているとアセスメントした。
3.30秒間蠕動音の有無を聴取したが、音が聞こえないため、腸蠕動が低下していると判断した。
4.ベッド上に足をまっすぐ延ばして、仰臥位になるように指示した。
【よつ葉の解答】
1. 聴診の前に、触診で腹部の固さや張り、痛みの部位の場所を確認した。
不正解
腹部の診察は「視診→聴診→打診→触診」の順番で行うため。
2. 打診をすると「ポンポン」と高い音が聞かれたため、腸管にガスが溜まっているとアセスメントした。
正解
打診で得られる情報は「鼓音」と「濁音」。「鼓音」は太鼓を叩いたような高い音。今回の「ポンポン」という鼓音は、腸管内が空洞でガスが溜まり、お腹が張っている状態。「濁音」は濁った低い音が特徴。中に何か(腹水や臓器)がある場合に聴取。
3. 30秒間蠕動音の有無を聴取したが、音が聞こえないため、腸蠕動が低下していると判断した。
不正解
腸蠕動音は必要な栄養を吸収した後の残渣やガスが腸管を通過する時に鳴る音で、正常な場合には5~15秒ごとに不規則に生じゴロゴロした音「グル音」といわれる音。聴診器を当て、1分間経過しても音が聞こえない場合を「腸蠕動音の減少」5分間続けてまったく音がしなければ「腸蠕動音の消失」と判断できます。
4. ベッド上に足をまっすぐ延ばして、仰臥位になるように指示した。
不正解
腹部の筋肉の緊張を防ぐため、両足は膝を曲げて、仰臥位になる姿勢にします。
【天野教授からの評価】
腹部の診察は「視診→聴診→打診→触診」の順番で行うため。これだけでは説明が不十分です。何故ですか?
解答の補足を求められる。
【よつ葉の再解答】
先に打診や触診などを行うと、腹部を刺激してしまい、蠕動音などに変化が起こり、正確な情報が収集できない可能性があるから。
【天野教授の評価2】
そうですね。そこまで答えられると良いですね。
やっと合格をいただきました。