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女商人は幕末から歴史を変える  作者: ネムノキ
女商人は幕末から歴史を変える
3/29

さん

 瀬戸内海の因島や小豆島で除虫菊の『農園』を造って栽培を行い、『蚊取り線香』の生産工場の初稼働を視察していた七月八日。幕府は『大政奉還』を行った。

 何か引っかかるな、と思いつつ、慶邦が送ってきた資料を見ると、『幕府の廃止』と書かれていた。

「え?」

 読み進めると、どうやら将軍の徳川慶喜は、バックに付いていた会津藩が第二次長州征伐やら何やらで壊滅的打撃を受け、仲の良かった筈の奥州各藩が倒幕派に回ったことで心が折れたらしい。「食っていけるだけの扶持があるならば徳川の領地を取り上げて貰って構わない。むしろそうしろ」という発言も慶喜から出たそうな。

「……ま、いっか」

 なったものは仕方ない。そう諦めて商売に励む。

 海援隊から強請られて海外向けの蚊取り線香の販売を任せたり、甲斐盆地に大規模な果樹園を造ったりしていた十月。慶邦から三職会議、つまり今の政府に顔を出すよう言われた。

 嫌々顔を出すと、「本当に女子なのか」だの「何故男装?」だの小声で言われたい放題だったので早速帰りたくなった。

 で、用件は?

「奥州各藩と共に蝦夷地の大規模な開拓をして貰いたいのでおじゃる」

 それはこちらとしても願ったりだけど、人手とか資金は?

「人手は元徳川に仕えていた武士でおじゃる」

 なるほど合理的。で、資金は?

「確か、奥州屋はかなりの額の積立金があると聞いておじゃるが?」

 誰が漏らしたのか心当たりがありすぎるけど、それは『農園』が不作になった時とか社員が怪我した時の積み立てだから無理。というか今すぐ使える形ではないのが大部分だからどのみち使えないよ。

「使える形でない?」

 うん。貸し付けだったり株式だったり。引き上げるにしても色々根回ししないといけないし、下手に引き上げると奥州が傾くかも?

「……そんなにでおじゃるか?」

 具体的に幾ら、とかは言えないけどね。

「むう……」

 とりあえず、何人送る予定?

「女子供含めて最低四万人でおじゃろうか?」

 ……それ絶対浪人含んでるよね。まあいいや。三年目までの給与を現物払いで、なおかつ場所をこっちが決めていいなら、五千人は面倒見るよ?

「……豪快でおじゃるな」

 勝算はあるからね。そのうち千人は成人男性ならなお良し。

「分かったでおじゃる」

 後は開拓する場所決めと各藩との調整で終わった。

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