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女商人は幕末から歴史を変える  作者: ネムノキ
女商人は幕末から歴史を変える
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 二回目の長州征伐は幕府軍が大負けしたようですね。その時私は山形藩からの要請で山形盆地の端の方でワイナリーを作っていた最中なので動けなかったのだけれど、幕府から「四斤山砲の砲弾を輸入してくれ」と長州征伐の直前に言われたのでそんな気はしてたよ。

 それに、奥州各藩も「そんなことより領内の開発したい」と反対姿勢だったので、資金とか兵とかが足りなかったみたい。まあ、裏で色々やったんだけどね。

 例えば、知り合いの藩主やその重臣に「国内で争うより内政に力を入れるべき」と熱弁した上で貧村や要請のあった地に商品作物を中心に育てる『農園』を設立して多額の利益を上げて藩の財政改善に貢献したり。アメリカやロシアとの交易の場にスパイに来ている人をわざと同行させて今の世界の現状を理解させたり。

 そうして心に余裕が出来た上で正しい情報を仕入れれば、後は聡明な藩主のこと。日の本内で争うより協力して内政に励み、国力を着けた方が日の本を守れることに気が付く。そうすると、無理に現状に合っていない幕藩体制を維持する気もなくなり、奥州各藩は穏健な倒幕派となった。予想外。

 それはさておき、二回目の長州征伐の影響で、江戸や大阪なんかでは米の値段ががた落ちして打ち壊しが多発しているみたいだけれど、奥州は私の奥州屋が各地に投資した『農園』のお陰でそこそこ潤っているので、そこまで混乱はしなかった模様。頑張った甲斐があったよ。

 奥州の混乱が落ち着いた翌年二月。仙台藩藩主の伊達慶邦から頼まれて、安芸国でカキの養殖場を造ることになったので下見に来た。

「長州征伐で荒れた人心に希望を持たせて欲しい」

 そう言っていた筈の慶邦に広島城下で遭遇し、何故かそのまま茶屋まで連行され。着いた先では西郷隆盛やら木戸孝允やら、果ては坂本龍馬と名乗る男までいた。帰っていいですか?

「おんしがこの状況をつくったんじゃから帰らせんぜよ!」

 龍馬さんそんなに怒らなくても。

 わいのわいのと三日間の話し合いが行われ、それを半分聞き流し、慶邦と隆盛と孝允が何やら紙にサインして拇印を押し、ほっとした空気が流れた時、隆盛に尋ねられた。

「おまんは日の本をどうしたいんでごわすか?」

 そうだねえ。みんなが飢えない国にしたいかな?

「飢えん、と?」

 うん。とりあえず米を品種改良して寒冷地でももっと育つようにしたいなあ。そしたらもっと蝦夷の開拓に力を入れて。ああそうするには農具とかもっと作らないといけないから、製鉄に投資しないと。で、日の本中に鉄道や舗装された道を通して、新鮮な野菜や魚を届けられるようにもしたい。鉄道は私のところだけでやるのは無理だから、そのためには藩とか他の商会に力を付けて貰わないとなあ。

 そんなことをつらつらと述べると、何故かみんなに爆笑された。

「女子というだけあって、視点が違う。だが、これより無い視点だろう?」

 慶邦の言葉にみんなして頷く。褒められた?

「じゃが、わしも日の本をそんな国にしたい!」

「おいも同意でごわす」

「だな」

 何だか嬉しくなり、「じゃあみんなで頑張ろうか!」と言うと、「応!」と返事が返ってきた。

 この後は、何か商売になりそうなものが無いか話し合い、広島城下には結局半月程滞在することになった。

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